求職者支援制度の職業訓練受講給付金は、雇用保険給付が受けられない人が、ハローワークの支援で職業訓練をしつつ、給付金を受け取るものです。
職業訓練受講給付金は、申請して審査に通れば給付が受けられます。基本的に給付の条件を満たし、申込に不備がなければ審査に通るはずです。
給付の条件は後述しますが、かなり厳しいので、その点では審査が厳しいと言えますが、貸付ではなく給付なので、厳しいのは当然とも言えます。
世帯収入や世帯の金融資産額なども条件になるため、失業者なら誰でも給付が受けられるわけではありません。
離職者訓練・求職者支援訓練のことを「ハロートレーニング」と言います。
職業訓練受講給付金の審査は厳しい
受給条件を満たしていなければ給付金はもらえないので、審査に通るかどうかは受給条件を満たしているかどうか次第です。
改めて、職業訓練受講給付金を受けるための要件を載せておきます。
- 雇用保険受給資格者ではない人
- ハローワークの指示で、ハロートレーニングを受講する人
- 収入が月8万円以下の人
- 世帯収入が月30万円以下の人
- 世帯の金融資産が300万円以下の人
- 住まい以外に土地・建物を所有していない人
- 全ての訓練実施日に出席する人(やむを得ない理由がある場合8割以上)
- 定期的にハローワークに来所し職業相談を受ける人
- 世帯の中にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいない
- 過去にこの給付金を受給したことがある合は、前回の受給から6年以上経過している
- 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けたことがない
貸付ではなく給付金なので、一般的なローン審査とは全く条件が異なりますが、一定の収入があっても受けられるのが大きなメリットです。
訓練期間中は毎月審査が実施され、受給要件を満たさなくなった人は給付金が受け取れなくなります。
審査に落ちる理由(給付金がもらえない)
- 世帯の中に収入の多い人がいる
- 収入は少ないが金融資産が多い
- アルバイトをして収入が増えた
給付金の受給要件に「世帯収入が月30万円以下の人」があるので、同一世帯の中に収入の多い人がいれば審査に落ちます。
給付金を受け取るために世帯を分離しようと考える人もいるかもしれませんが、偽装がバレれば給付金が受け取れないだけではなく、詐欺罪に問われる可能性も出てきます。
職業訓練受講給付金のデメリット
- 経済的に助かる
- スキルアップにつながる
- スキルが転職の手助けになる
給付金の審査は、受給用件を満たしているかが厳しくチェックされるので、審査に通り給付金を受け取るまでに時間がかかります。
給付金は職業訓練を受けることで受け取れますが、労働の対価ではないので、仕事よりも楽に感じる人が多いと思います。
言わば仕事せずにお金がもらえる状態になるので、就職に対するモチベーションが落ちる原因になります。
職業訓練を受けることや、定期的にハローワークへ通わないといけないので、生活保護よりは就職に対するモチベーションはなくなりません。
職業訓練受講給付金をもらう場合でも、必ず就職活動は並行して行い、できるだけ早く就職できるように頑張りましょう。
職業訓練受講給付金とは
求職者支援制度の職業訓練受講給付金とは、雇用保険給付(失業手当)を受給できない人が、ハローワークの支援で職業訓練を受講し、その期間中に給付金を受け取るものです。
失業してハローワークへ行った時に、再就職しやすくするために資格習得を目指しつつ給付金を受け取る「技能習得手当」がありますが、これとは別の制度です。
求職者支援資金融資は、ハローワーク経由で申し込むので、支援制度を受けたい人はハローワークで申し込みます。
職業訓練受講給付金は、「月額10万円+交通費」です。
貸付ではなく給付金なので、返済の必要はありません。
給付金だけでは足りない時は、求職者支援資金融資で月5万円~10万円借りられます。融資なので返済の必要があり、金利は年2.5%です。
職業訓練受講給付金の条件
- 雇用保険受給資格者ではない人
- ハローワークの指示で、ハロートレーニングを受講する人
- 収入が月8万円以下の人
- 世帯収入が月30万円以下の人
- 世帯の金融資産が300万円以下の人
- 住まい以外に土地・建物を所有していない人
- 全ての訓練実施日に出席する人(やむを得ない理由がある場合8割以上)
- 定期的にハローワークに来所し職業相談を受ける人
- 世帯の中にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいない
- 過去にこの給付金を受給したことがある合は、前回の受給から6年以上経過している
- 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けたことがない
これらの条件を満たす必要があるので、一緒に住んでいる家族がフルタイムで働いている場合、④の条件に引っかかり受けられないケースもあると思います。
職業訓練の内容
職業訓練とは、労働しようとする人に、職業に必要な技能と知識を習得させるための訓練のことです。
求職者支援制度の職業訓練では、「求職者支援訓練」または「公共職業訓練」が無料で受けられます。
基礎 | ビジネスパソコン科、オフィスワーク科など | |
IT | Webアプリ開発科、Android/JAVAプログラマ育成科など | |
営業・販売・事務 | OA経理事務科、営業販売科など | |
医療事務 | 医療・介護事務科、調剤事務科など | |
介護福祉 | 介護職員実務者研修科、保育スタッフ養成科など | |
デザイン | 広告・DTPクリエーター科、Webデザイナー科など | |
その他 | 3次元CAD活用科、ネイリスト養成科など |
求職者支援訓練とは、民間の企業・学校・NPOなどが実施する職業訓練のことで、基礎コース、実践コースがあり、訓練期間は3~6ヶ月間です。
公共職業訓練とは、都道府県や雇用・能力開発機構が実施する職業訓練のことで、訓練期間は6ヶ月~1年になります。
求職者支援資金融資
月10万円の給付だけでは足りないという人は、求職者支援資金融資が利用できます。こちらは、貸付なので、返済する必要があります。
窓口 | ハローワーク | |
貸付条件 | 職業訓練受講給付金を受け取っている人 | |
貸付限度額 | 同居の配偶者あり:月額10万円×受講予定訓練月数 同居の配偶者なし:月額5万円×受講予定訓練月数 | |
金利 | 2.5% | |
返済方法 | 訓練終了までは利息のみ返済し、その後は元利均等で返済 | |
連帯保証人 | 不要 |
金利が年2.5%かかるので、それほど好条件とは言えませんが、消費者金融や銀行カードローンで借りるよりは全然低い金利になります。
上限金利が低い低金利のカードローンでも年3.5~13.5%の金利です。下限金利は低いですが、しばらくの間は上限金利での貸付になります。
職業訓練受講給付金や求職者支援資金融資は、あくまで次の職が決まるまでの繋ぎなので、給付金を受け取る為に訓練を受けるわけではありません。
失業保険の給付金もそうですが、働く意志がないにもかかわらず給付金を受け取るのは不正受給と同じです。
求職者支援制度を利用するときの流れ
お住まいの地域のハローワークで制度の説明を受ける
相談員に話を聞きながら受けたい訓練コースを選択する
コースが決まったら受講の申し込みを行う
面接や筆記試験を受ける
訓練実施機関の選考に合格したらハローワークが訓練受講を斡旋する
訓練を開始する。月に1回ハローワークに来所する
給付金の受給を希望する人は、職業相談の後に支給申請を行う
1週間程度で指定した口座に振り込まれる
職業訓練受講給付金の支給額
訓練受講手当が月10万円支給される
通所手当や寄宿手当の支給もある
その他訓練実施施設までの交通費(通所手当)と、状況によって寄宿手当が支給されます。
訓練受講手当 | 月10万円 |
通所手当 | 訓練実施施設までの交通費 月上限42,500円 |
寄宿手当 | 月10,700円 |
職業訓練受講給付金は、上記の「訓練受講手当」「通所手当」「寄宿手当」の3つがセットになっています。通所手当や寄宿手当のみを受けることはできません。
寄宿する必要のない方は、訓練受講手当と通所手当の2つが支給されます。
訓練受講手当
月10万円支給
職業訓練中の生活支援のための給付金
訓練期間 | 支給額合計 |
---|---|
2ヶ月 | 20万円 |
3ヶ月 | 30万円 |
4ヶ月 | 40万円 |
5ヶ月 | 50万円 |
6ヶ月 | 60万円 |
訓練期間が2ヶ月の場合は支給額が合計20万円、6ヶ月の場合は支給額の合計が60万円となります。
訓練受講手当の月10万円で生活費が足りない場合には、求職者支援資金融資制度で月5万円または月10万円まで借入きる制度もあります。
通所手当
月上限42,500円まで訓練実施施設までの交通費を支給
経済的、合理的な通所経路・方法による料金
通所手当として、訓練実施施設まで公共交通機関や自動車等を利用する方に支給されます。
公共交通機関 | 1ヶ月の定期乗車券代 |
---|---|
自動車等(片道10km未満) | 3,690円 |
自動車等(片道10km以上) | 5,850円 |
自動車等(片道15km以上) | 8,010円 |
公共交通機関を利用する場合には、施設まで最も安い金額となる経路が適用されます。通常は1ヵ月の定期乗車券の金額となり、定期券を発行していない場合には、通所21回分の運賃で、最も安い経路となる金額になります。
自動車やバイクで通所する場合には、距離によって3,690円~8,010円が支給されます。
寄宿手当
月10,700円支給
同居している配偶者・子・親等と別居して寄宿する場合
寄宿する必要があるとハローワークが認める場合
寄宿手当は、同居している配偶者や子などと別居してアパートなどに入居する場合に支給されるものです。
希望すれば誰でも支給される手当ではなく、通所するために片道2~3時間かかるなど、ハローワークが住居の変更が必要だと認めた場合に支給されます。
職業訓練は欠席できない
- 原則、訓練実施日全てに出席する必要がある
- やむを得ない理由がある場合は欠席が認められる
- 欠席する場合はやむを得ない理由の証明が必要
職業訓練は訓練実施日の全てに出席する必要があります。ただし、やむを得ない理由がある場合に限り欠席が認められています。
やむを得ない理由とは、具体的にどんなことが認められるかまとめてみました。
- 本人の病気や怪我
- 天災(防風雨雪、列車遅延、交通事故)
- 採用試験等の面接
- 国家試験や検定など資格試験を受験
- 親族の病気や怪我の看病、介護
- 本人や親族の結婚
- 親族の危篤、死亡、葬儀
- 子(中学生以下)の入学式または卒業式に出席
- 求職者支援資金融資の手続で労働金庫へ行く
- ハローワークの指定来所日
給付金の支給を受けている本人の病気や怪我はもちろんですが、子や親の病気の看病、介護もやむを得ない理由として認められます。
インフルエンザや新型コロナに感染した場合も、やむを得ない理由になります。
子どもの入学式や卒業式で訓練を欠席する場合にもやむを得ない理由です。小学生や中学生のお子さんを持つ方に嬉しい配慮ですね。
また、求職者支援制度を利用する場合には、毎月指定された日にハローワークへ行くことが義務となっていますので、その指定来所日と訓練実施日が重なった際には、ハローワークへの来所を優先して大丈夫だそうです。
やむを得ない理由の証明書類
やむを得ない理由で訓練を欠席した場合には、その理由を証明する書類の提出が必要です。
- 医師または医療機関の処方箋・証明書
- 医療機関または調剤薬局の領収書
- 公共交通機関の遅延証明書
- 子が学校を欠席したことを証明できる書類
- 介護施設の証明書
- 労働金庫の手続書類
- 就職支援計画書のハローワーク確認印
- 葬儀の証明書(葬儀証明書、会葬御礼のコピー等)
- 結婚式の証明書(招待状、契約書類等)
職業訓練は、実施日の全日程に出席することが基本です。どうしても休まなければならない理由があるときには、上記のような証明書を提出しましょう。
証明書の提出が必要になっているのは、虚偽の理由や仮病で欠席する方がいるからです。
学校や勤務先によっては「親族の葬儀」等と伝えればOKとするところもありますが、求職者支援制度は国が行っている支援ですので、正式な書類の提出が必要です。
やむを得ない理由がある場合には、事前にハローワークで相談して、どのような書類を提出すればよいか確認しておきましょう。
訓練実施日から除外される場合
以下の場合は訓練実施日から除外することができますが、除外した場合でも出席率が8割に満たない場合には給付金が支給されないので注意しましょう。
- インフルエンザや新型コロナ等に感染した場合
- 母子家庭や父子家庭の場合、子の突発的な傷病で看病が必要な場合
- 大規模な災害が起こり訓練施設へ行くのが困難な場合
- 裁判員に選任された場合
- ハローワークの指定来所日に来所する場合
- ハローワークに支持された求職活動を行う場合