iDeCoは、60歳以降に給付請求を行い、積み立てたお金を老齢給付金として受け取ります。
受取方法は、「一時金」と「年金」の2つの方法があります。一時金は一括で受け取ることです。一時金と年金の併用も可能です。
年金は最長20年間の分割で受け取ります。年金の受け取り開始年齢は60歳~75歳です。受給期間は5年、10年、15年、20年の中から選びます。年間の支給回数は1回、2回、4回、6回の4パターンがあります。
退職金とiDeCoを同時に受け取るときは、合計額が退職金として課税の対象になります。退職所得控除を超える部分に所得税と住民税がかかります。
iDeCoは一時金と年金のどちらが得か
一般的に、iDeCoは年金で受け取るよりも一時金で受け取るほうが得とされています。
ただし、退職金の額が多い人は年金で受け取った方がよい場合もあります。
- 退職金がないまたは少ない人は一時期で受け取るのが得
- 退職金が多い人は年金で受け取るのが得
社会保障審議会の資料では、89%の人が個人型確定拠出年金を一時金で受け取っています。
高額な給付金になる人は少ないでしょうし、よくわからずに「みんなが一時金の方が得と言ってた!」という感じで決めている人も多い気がします。
一時金の退職所得控除
iDeCoで積み立てたお金を一時金で受け取るときは、退職金と同じ扱いになります。
退職金は、勤続年数によって退職所得控除額の金額が決まりますが、iDeCoは加入年数に応じて控除額が決まります。
加入年数 | 退職所得控除額 |
---|---|
20年以下 | 40万円×加入年数 |
20年超 | 800万円+70万円×(加入年数-20年) |
この計算式で出された金額よりも「iDeCo+退職金」の給付額が小さければ税金はかかりません。
退職所得控除は、加入年数が長いほど非課税額も増えるので、勤続年数が長い人やiDeCoの加入期間が長い人は得です。
iDeCoと退職金を同じタイミングで受け取るときは、両方を足した金額が退職所得控除の対象となります。年数については、勤続年数と加入年数のどちらか長い方で計算します。
加入年数(勤続年数)ごとの控除額
年数 | 退職所得控除額 |
---|---|
10年 | 40万円×10年=400万円 |
15年 | 40万円×15年=600万円 |
20年 | 40万円×20年=800万円 |
25年 | 800万円+70万円×(25年-20年)=1,150万円 |
30年 | 800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円 |
38年 | 800万円+70万円×(38年-20年)=2,060万円 |
40年 | 800万円+70万円×(40年-20年)=2,200万円 |
42年 | 800万円+70万円×(42年-20年)=2,340万円 |
45年 | 800万円+70万円×(45年-20年)=2,550万円 |
22歳で入社して60歳で退職する人は、勤続年数が38年なので、非課税額が2,060万円になります。高卒の18歳から60歳まで勤務すれば42年になります。
iDeCoに20歳で加入して60歳で退職金とiDeCoを受け取る人は、iDeCoの加入期間が40年なので、非課税額が2,200万円にもなります。iDeCoは65歳まで加入できるので、最長で45年の加入期間になります。
退職金とiDeCoの一時金で受け取る金額の合計が、退職所得控除額以下の金額なら税金はかかりません。
iDeCoを一時金で受け取るときの所得税
退職所得控除を超える分が課税所得となり、課税所得金額に応じて所得税がかかります。
課税所得=iDeCoの給付額-退職所得控除
所得税=課税所得×税率-控除額
所得税の税率と控除額は、課税所得金額によって変わります。
所得税率(速算表)
所得税は計算式が複雑になるため速算表を使って計算するのが一般的です。
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円~1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円~ | 45% | 4,796,000円 |
所得金額が195万円未満なら5%、195万円~330万円未満なら10%になります。
1,949,000円は5%、1,950,000円は10%で計算されますが、所得が1,000円増えるだけで税金が大幅に増えるわけではありません。
税率が変わる境目の金額を超えると損をすると思っている人も多いですが、所得税は超過累進課税なのでそうはなりません。
たとえば所得が680万円の人でも、195万円未満の部分は5%、195~330万円未満の部分は10%、330~695万円未満の部分は20%といったように、段階的に課税されています。
1,949,000円×5%=97,450円
1,950,000円×10%-97,500円=97,500円
税率が上がると控除額も上がるので、税率が変わる境目の金額で大きな差が出ることはありません。
所得税と住民税の計算例
退職金のない人が、iDeCoに30年加入して、500万円、1,000万円、2,000万円受け取る場合の税金は以下のようになります。
iDeCo500万円 | |
---|---|
iDeCo | 500万円 |
退職所得控除 | 800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円 |
課税所得 | (1,000万円-1,500万円)÷2=0円 |
所得税 | 0円 |
住民税 | 0円 |
税金合計 | 0円 |
iDeCo1,000万円 | |
---|---|
iDeCo | 1,000万円 |
退職所得控除 | 800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円 |
課税所得 | (1,000万円-1,500万円)÷2=0円 |
所得税 | 0円 |
住民税 | 0円 |
税金合計 | 0円 |
退職所得控除よりもiDeCoの給付額が小さい場合は課税所得が0円となり、所得税も住民税もかかりません。
iDeCo2,000万円 | |
---|---|
iDeCo | 2,000万円 |
退職所得控除 | 800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円 |
課税所得 | (2,000万円-1,500万円)÷2=250万円 |
所得税 | 250万円×10%(税率)-97,500円(控除)=152,500円 |
住民税 | 250万円×10%(税率)=250,000円 |
税金合計 | 402,500円 |
2,000万円受け取っても加入期間が30年あると控除が1,500万円もあるので、課税所得は250万円しかありません。
退職金の課税所得は、「受取額-退職所得控除」の50%なので、給与所得などよりも課税額は少なくなります。
しかし、これはiDeCoのみを受け取った場合なので、iDeCoと退職金を同時(同じ年)に受け取るときは注意が必要です。
iDeCoを一時金として受け取る場合は、退職金と同じ扱いになります。iDeCoと会社の退職金を同時に受け取る場合は、両方を足した金額が課税対象になります。
iDeCoと退職金を同時に受け取る場合
勤続年数38年の人が、退職金とiDeCoを同じタイミングで受け取る場合の課税額は以下のようになります。
退職金とiDeCoを同時に受け取る場合は、勤続年数とiDeCoの加入年数を比較して長い方で計算します。
退職金2,000万円 iDeCo500万円 | |
---|---|
退職金 | 2,000万円 |
iDeCo | 500万円 |
退職所得控除 | 800万円+70万円×(38年-20年)=2,060万円 |
課税所得 | (2,500万円-2,060万円)÷2=220万円 |
所得税 | 220万円×10%(税率)-97,500円(控除)=122,500円 |
住民税 | 220万円×10%(税率)=220,000円 |
税金合計 | 342,500円 |
勤続年数が長くてiDeCoの給付額が少なければ、ほとんどが控除されるので支払う税金も少なくて済みます。
退職金2,000万円 iDeCo1,000万円 | |
---|---|
退職金 | 2,000万円 |
iDeCo | 1,000万円 |
退職所得控除 | 800万円+70万円×(38年-20年)=2,060万円 |
課税所得 | (3,000万円-2,060万円)÷2=470万円 |
所得税 | 470万円×20%(税率)-427,500円(控除)=512,500円 |
住民税 | 470万円×10%(税率)=470,000円 |
税金合計 | 982,500円 |
退職金とiDeCoの合計で3,000万円になるので、退職所得控除があってもそれなりの税金額になります。
退職金2,000万円 iDeCo2,000万円 | |
---|---|
退職金 | 2,000万円 |
iDeCo | 2,000万円 |
退職所得控除 | 800万円+70万円×(38年-20年)=2,060万円 |
課税所得 | (4,000万円-2,060万円)÷2=970万円 |
所得税 | 970万円×33%(税率)-1,536,000円(控除)=1,665,000円 |
住民税 | 970万円×10%(税率)=970,000円 |
税金合計 | 2,635,000円 |
退職金とiDeCoでそれぞれ2,000万円ずつ受け取れる人はほとんどいないと思いますが、これだけの金額になるとiDeCoの節税効果はほぼなくなります。
一時金と退職金の受け取り時期をずらす
iDeCoと退職金の受け取りタイミングをずらすことで、最大限の退職所得控除を受けることができます。
iDeCoを一時金で受け取った後に、5年以上タイミングをずらして退職金を受け取ると、税制優遇を最大限活かせることになります。
65歳以降に退職金が受け取れる会社なら、60歳でiDeCoを一時金で受け取って、65歳で退職金を受け取るような形が理想的です。
退職金がたくさん受け取れるような企業に勤めている人は、iDeCoの掛け金上限額も低くなるので、高額な給付金を受け取るケースは少ないかもしれません。ただ、運用期間が長かったり、運用成績が良い場合は高額になることもあります。
退職金を先に受け取る場合、そこから19年以内にiDeCo受け取ると、iDeCoの加入年数と雇用期間の重複期間は、退職所得控除の年数から差し引かれます。
以下の例で同時に受け取る場合と、時間を空けて受け取る場合で、どれだけの差が出るのかをシミュレーションしてみます。
22歳~60歳まで勤務:勤続年数38年
40歳~60歳までiDeCo加入:加入年数20年
勤続年数と加入年数の重複期間:20年
退職金:2,000万円
iDeCo一時金:1,000万円
iDeCoと退職金を同時に受け取る
退職金2,000万円 iDeCo1,000万円 | |
---|---|
退職金 | 2,000万円 |
iDeCo | 1,000万円 |
退職所得控除 | 800万円+70万円×(38年-20年)=2,060万円 |
課税所得 | (3,000万円-2,060万円)÷2=470万円 |
所得税 | 470万円×20%(税率)-427,500円(控除)=512,500円 |
住民税 | 470万円×10%(税率)=470,000円 |
税金合計 | 982,500円 |
同じタイミングで受け取る場合は、勤続年数と加入年数のどちらか長いほうが控除の対象年数になるので、勤続年数の38年が採用されます。
先に退職金を受け取る
先に退職金を受け取り、19年以内にiDeCoの給付金を受け取る場合です。
退職金2,000万円 | |
---|---|
退職金 | 2,000万円 |
退職所得控除 | 800万円+70万円×(38年-20年)=2,060万円 |
課税所得 | (2,000万円-2,060万円)÷2=0円 |
所得税 | 0円 |
住民税 | 0円 |
税金合計 | 0円 |
iDeCo1,000万円 | |
---|---|
iDeCo | 1,000万円 |
退職所得控除 | 40万円×0年=0円 |
課税所得 | (1,000万円-0円)÷2=500万円 |
所得税 | 500万円×20%(税率)-427,500円(控除)=572,500円 |
住民税 | 500万円×10%(税率)=500,000円 |
税金合計 | 1,072,500円 |
この例では、iDeCoの加入期間が雇用期間と丸かぶりしているので、控除の対象年数が0年になります。
退職金の税金は0円ですが、iDeCoの税金がそのままかかるので、107万円の税金を支払うことになります。同時に受け取った場合よりも税金額が少し増えています。
iDeCoの受け取り開始年齢は75歳までですが、60歳で退職金を受け取っても75歳まで15年しかないため、退職金を先に受け取ってしまうと損をします。
55歳で早期退職して退職金を受け取り、75歳でiDeCoを受け取れば20年経っているので退職金控除はフル活用できます。
先にiDeCoを受け取る
先にiDeCoを受け取り、5年後に退職金を受け取る場合です。
iDeCo1,000万円 | |
---|---|
iDeCo | 1,000万円 |
退職所得控除 | 40万円×20年=800万円 |
課税所得 | (1,000万円-800万円)÷2=100万円 |
所得税 | 100万円×5%(税率)=50,000円 |
住民税 | 100万円×10%(税率)=10,000円 |
税金合計 | 60,000円 |
退職金2,000万円 | |
---|---|
退職金 | 2,000万円 |
退職所得控除 | 800万円+70万円×(38年-20年)=2,060万円 |
課税所得 | (2,000万円-2,060万円)÷2=0円 |
所得税 | 0円 |
住民税 | 0円 |
税金合計 | 0円 |
iDeCoを先に受け取る場合、そこから4年以内に退職金を受け取ると、重複期間が控除の年数から差し引かれます。
iDeCoを受け取ってから5年後以降に退職金を受けると、退職所得控除がフルに使えるので、支払う税金はほとんどなくなります。
勤続年数とiDeCoの加入年数が長い人は、どちらも0円になるケースが多いと思います。
問題はiDeCoの受け取り開始年齢である60歳の5年後以降に退職金が受け取れるかどうかです。iDeCoの受け取り年齢を60歳より早めることはできません。65歳以降に退職金が受け取れる会社ならこの方法が最適です。
公的年金やiDeCoにかかる税金
公的年金とiDeCoの年金を受け取る場合は、両方を足した金額に対して税金を計算する必要があります。
年金収入から公的年金等控除を引いて雑所得を計算し、雑所得から社会保険料や各種控除を引いたものが課税所得となり税金額が決まります。
年金受給者の社会保険料は、国民健康保険料(75歳未満)、後期高齢者医療保険料(75歳以上)、介護保険料があります。
実際には、それぞれの年金は別々に支給され、それぞれで所得税が源泉徴収されているため、確定申告しないと正しい納付額になりませんが、税金の目安としてご覧ください。
年金収入150万円の人の税金
65歳、年金収入150万円、社会保険料6.5万円、配偶者控除なしの人の所得税や住民税は以下のようになります。
年金収入 | 150万円 |
雑所得 | 150万円-110万円=40万円 |
所得控除 | 6.5万円+48万円=54.5万円 |
課税所得 | 40万円-54.5万円=-14.5万円⇒0円 |
所得税 | 0円 |
復興特別所得税 | 0円 |
住民税 | 0円 |
税金合計 | 0円 |
年金収入から公的年金控除や所得控除を引いた課税所得が0円なら税金はかかりません。
年金収入200万円の人の税金
65歳、年金収入200万円、社会保険料17万円、配偶者控除なしの人の所得税や住民税は以下のようになります。
年金収入 | 200万円 |
雑所得 | 200万円-110万円=90万円 |
所得控除 | 17万円+48万円=65万円 |
課税所得 | 90万円-65万円=25万円 |
所得税 | 24万円×5%=12,500円 |
復興特別所得税 | 12,000円×2.1%=262円 |
住民税 | 25万円×10%+5,000円=30,000円 |
税金合計 | 42,762円 |
年金収入250万円の人の税金
65歳、年金収入250万円、社会保険料24万円、配偶者控除なしの人の所得税や住民税は以下のようになります。
年金収入 | 250万円 |
雑所得 | 250万円-110万円=140万円 |
所得控除 | 24万円+48万円=72万円 |
課税所得 | 140万円-72万円=68万円 |
所得税 | 68万円×5%=34,000円 |
復興特別所得税 | 34,000円×2.1%=714円 |
住民税 | 68万円×10%+5,000円=73,000円 |
税金合計 | 107,714円 |
年金収入300万円の人の税金
65歳、年金収入300万円、社会保険料29万円、配偶者控除なしの人の所得税や住民税は以下のようになります。
年金収入 | 300万円 |
雑所得 | 300万円-110万円=190万円 |
所得控除 | 29万円+48万円=77万円 |
課税所得 | 190万円-77万円=113万円 |
所得税 | 113万円×5%=56,500円 |
復興特別所得税 | 56,500円×2.1%=1,186円 |
住民税 | 113万円×10%+5,000円=118,000円 |
税金合計 | 175,686円 |
各種控除
所得が2,500万円以下の人は基礎控除があり、2,400万円以下の基礎控除額は48万円です。
配偶者がいると配偶者控除で38万円(70歳未満)または48万円(70歳以上)引かれるので、独身よりも夫婦の方が課税額は少なくなります。
本人と生計を一にする親族(配偶者除く)で、所得が48万円以下の人は、控除対象扶養親族となり、38万円~58万円が控除されます。
また、確定申告することで、生命保険料控除、地震保険料控除、医療費控除、寄附金控除などが適用されます。
控除額は家族構成などによって変わるため、年金収入の手取り額を算出するのは簡単ではありません。
雑所得の計算方法と公的年金等控除額
年金収入がそのまま課税所得になるわけではなく、年金収入から公的年金等控除額を引いた金額が雑所得になります。
雑所得=年金収入-控除額
控除額は年齢や年金収入によって変わります。
公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計金額が1,000万円以下の計算式は以下のようになります。
65歳未満の雑所得計算
年金収入 | 雑所得 |
---|---|
60万円以下 | 0円 |
60万円超130万円未満 | 年金収入-60万円 |
130万円以上410万円未満 | 年金収入×0.75-27万5,000円 |
410万円以上770万円未満 | 年金収入×0.85-68万5,000円 |
770万円以上1,000万円未満 | 年金収入×0.95-145万5,000円 |
1,000万円以上 | 年金収入-195万5,000円 |
雑所得の計算式で、年金収入から引かれている部分が公的年金等控除額です。
65歳以上の雑所得計算
年金収入 | 雑所得 |
---|---|
110万円以下 | 0円 |
110万円超330万円未満 | 年金収入-110万円 |
330万円以上410万円未満 | 年金収入×0.75-27万5,000円 |
410万円以上770万円未満 | 年金収入×0.85-68万5,000円 |
770万円以上1,000万円未満 | 年金収入×0.95-145万5,000円 |
1,000万円以上 | 年金収入-195万5,000円 |
年金収入200万円の人は雑所得が90万円になります。
200万-110万円=90万円(雑所得)
年金収入400万円の人は雑所得が272.5万円になります。
400万円×0.75-27万5,000円=272.5万円(雑所得)
雑所得から各種控除を引いた課税所得に、以下の税率をかけたものが、本来支払うべき所得税額になります。
所得税率(速算表)
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円~1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円~ | 45% | 4,796,000円 |
年金収入ではなく課税所得なので、公的年金とiDeCoを足しても、ほとんどの人が10%以下の税率に収まると思います。
公的年金は支給される時点で、基礎控除、扶養控除、配偶者控除などが控除され、所得税が源泉徴収されます。
課税所得100万円×5%(税率)=50,000円(所得税)
課税所得200万円×10%(税率)-97,500円(控除額)=102,500円(所得税)
課税所得350万円×20%(税率)-427,500円(控除額)=272,500円(所得税)
所得税の計算式は、このような感じになります。課税所得額が増えるほど税率は上がりますが、そのぶん控除額も増えます。
年金収入の住民税
課税総所得金額×10%
年金収入でも住民税を支払う必要があります。所得税よりも住民税の方が多くなる人も多いと思います。
65歳以上の方で住民税の課税対象になる方は、65歳未満の方で108万円以上、65歳以上の方で158万円(老齢基礎年金を受けるときは80万円)以上の場合です。
iDeCoの支給額と確定申告
iDeCoを年金として受け取る場合は、公的年金と同様に雑所得となり、公的年金等控除が受けられます。
公的年金とiDeCo年金は別々に支給されるため、それぞれで源泉徴収された金額が支給されます。
公的年金とiDeCoで源泉徴収された所得税額と、一年間の総所得に対する所得税額に差額があるときは、確定申告することで精算することができます。
これは2個所から給与をもらっていたような人と同様です。それぞれ別の計算で源泉徴収されるので、確定申告することで還付される場合があります。逆に不足額が発生した場合は、納付しなければなりません。
年金の支給年数
- 5年以上20年以下の年数で受け取ることができる
- 受給開始年齢は60歳~75歳
iDeCoの加入年数が10年に満たない人は60歳から受け取れません。
年金の受取方法
年1回 | 12月 |
年2回 | 6月・12月 |
年4回 | 3月・6月・9月・12月 |
年6回 | 2月・4月・6月・8月・10月・12月 |
支給額の計算方法
iDeCoで支給される金額は、支給月の前月末時点の個人別管理資産に応じて算出されます。
受給中の運用結果により金額が変動するため、毎回同じ金額が振り込まれるわけではありません。
受取期間が10年で年1回支給される場合は以下のようになります。
1回目 | 支給月の前月末時点の個人別管理資産×10分の1 |
2回目 | 支給月の前月末時点の個人別管理資産×9分の1 |
3回目 | 支給月の前月末時点の個人別管理資産×8分の1 |
4回目 | 支給月の前月末時点の個人別管理資産×7分の1 |
5回目 | 支給月の前月末時点の個人別管理資産×6分の1 |
6回目 | 支給月の前月末時点の個人別管理資産×5分の1 |
7回目 | 支給月の前月末時点の個人別管理資産×4分の1 |
8回目 | 支給月の前月末時点の個人別管理資産×3分の1 |
9回目 | 支給月の前月末時点の個人別管理資産×2分の1 |
10回目 | 支給月の前月末時点の個人別管理資産×1 |
源泉徴収税額
iDeCoで受け取る年金は、支給額から所得税が源泉徴収された金額が振り込まれます。
支給時には、一律で次の計算式で算出した所得税が源泉徴収されます。
源泉徴収税額=(年金支給額-(年金支給額 × 0.25 ))×0.1×1.021
たとえば年1回の支給で50万円受け取る場合の源泉徴収税額は以下のようになります。
(50万円-(50万円×0.25))×0.1×1.021=38,287円
支給されるときは一律で所得税が引かれるため、本来支払う必要がない税金を支払っている可能性があります。
確定申告が必要な場合
公的年金とiDeCoを受け取っている人は、確定申告することで税金が還付される可能性があります。
多くの場合、本来負担すべき税額よりも多く徴収されるので、確定申告することで税金が戻ってくる可能性が高いです。
確定申告はやったことがないと難しく感じますが、税務署に行って相談員から指導を受けながらやれば難しくはありません。パソコンが得意な人はe-Taxを使って自分で確定申告しても構いません。
確定申告義務のない人が確定申告するかどうかは任意ですが、申告義務のある人はしなければなりません。
- iDeCoを含めた公的年金等の収入合計が400万円を超える人
- 年金以外の所得が20万円を超える人
- 給与と年金を受けている人
- 医療費控除や生命保険料控除を受ける人
公的年金の手取り
年金にかかる税金は所得税と住民税があります。年金から所得税や住民税が引かれた金額が振り込まれますが、同時に社会保険料も引かれるため、手取り金額は少なくなります。
手取り=年金支給額-社会保険料-所得税-住民税
年金は、社会保険料や税金が源泉徴収されて支給されます。
源泉徴収の対象となるのは、その年に受ける支給額が、65歳未満の方で108万円以上、65歳以上の方で158万円(老齢基礎年金を受けるときは80万円)以上の場合です。
源泉徴収税額
公的年金の所得税の源泉徴収税額は以下の計算式で求められます。
源泉徴収税額=(年金支給額-社会保険料-各種控除額)×5.105%
所得税の各種控除
控除の種類 | 月割控除額(1カ月あたり) |
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公的年金等控除、基礎控除相当 | 1ヶ月の年金支払額×25%+65,000円 |
配偶者控除 | 70歳未満の配偶者32,500円、70歳以上の配偶者40,000円 |
扶養控除 | 32,500円×人数 |
特定扶養親族控除 | 52,500円×人数 |
老人扶養親族控除 | 40,000円×人数 |
普通障害者控除 | 22,500円×人数 |
特別障害者控除 | 35,000円×人数 |
同居特別障害者控除 | 62,500円×人数 |
寡婦控除 | 22,500円 |
ひとり親控除 | 30,000円 |
上記の控除は、年金支給時に源泉徴収される際の控除です。生命保険、地震保険、小規模企業共済などに加入している人は、確定申告することでそれらの保険料が控除されます。