会社の健康診断の費用はどこまで無料?胃カメラは自己負担なの?

会社員は年に1回健康診断を受診していると思います。パートやアルバイトでも一定の条件を満たす人は健診を受けているはずです。

協会けんぽの健康診断は、全国健康保険協会が費用の大部分を負担してくれます。一般健診の負担額は5,282円ですが、この費用は会社が全額負担します。オプションや付加健診を申し込まなければ自己負担はゼロ円です。

会社にもよりますが、付加健診や胃カメラなどのオプション料金は自己負担になることが多いです。胃カメラの費用は利用する病院や時期によって変わりますが、5,500円ほどです。胃カメラは予約が取りづらいので早めの予約が必要です。

このページでは、協会けんぽの生活習慣病予防健診の内容や、健診でよくある質問について回答します。

目次

健康診断は企業の義務

協会けんぽに加入していると、年1回このような書類が会社に届きます。

健診を受ける時期は決められていませんが、会社は従業員に健診を受けさせなければなりません。

労働安全衛生法第66条によって、事業者は労働者に対して健康診断を実施しなければならないことが義務付けられています。

(健康診断)
第六十六条 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第六十六条の十第一項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。

※労働安全衛生法

労働者に健康診断を受診させていない使用者は、50万円以下の罰金刑が科されます。

社会保険の健康診断とは
  • 社会保険加入者は年に1回健康診断を受ける
  • 実施時期は決められていない
  • 健診費用は健保が一部補助
  • 一般健診の負担額は会社負担
  • 健保契約の機関で健診を受ける

健診には費用がかかりますが、協会けんぽが一部補助をしているため、比較的安い費用で健診を受けることができます。

健診が受けられる機関は、健康保険と契約している健診機関です。指定した機関・日程で、従業員がまとめて健診を受ける場合と、個別に予約してそれぞれが健診を受ける場合があります。

完全テレワークの当社では、各従業員が個別に予約して健診する形になっています。住まいの近くで健診することができ、バリウムを飲んだあと自宅に戻れるので助かります。

健診を受けない従業員がいる場合

対象者に健診を受けさせることは事業者の義務なので、会社が受けさせなかったり、従業員が拒否した場合には、労働基準監督署から指導が入ります。

健康診断を実施していない企業の従業員は、労働基準監督署に報告してください。指導後も状況が改善されない場合は、50万円以下の罰金が科されます。

健診を受けない従業員がいたら直ちに罰金になるわけではありませんが、健診を受けさせることは努力義務ではなく義務です。仕事が忙しいなどの理由で受診しない従業員がいる場合は、仕事量を調節して健診を受けてもらいましょう。

健診の費用は会社が負担する

健診にかかる費用は会社が負担します。従業員に負担させる会社もあるようですが、あってはならないことです。

従業員は一般健診が無料で受けられます。

Q. 健康診断の費用は労働者と使用者のどちらが負担するものなのでしょうか?

A. 労働安全衛生法等で事業者に義務付けられている健康診断の費用は、法により、事業者に健康診断の実施が義務付けられている以上、当然に事業者が負担すべきものとされています。

※厚生労働省

法律で会社が負担しなければならないと書かれているわけではありませんが、事業者に健診を実施することが義務付けられているので、費用は事業者が負担するものということになります。

会社が負担すべきなのは、労働安全衛生法で定められている定期健康診断の法定項目のみです。協会けんぽの一般健診と呼ばれているものです。

安衛法の定期健康診断
  1. 既往歴及び業務歴の調査
  2. 覚症状及び他覚症状の有無の検査
  3. 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
  4. 胸部エックス線検査及び喀痰検査
  5. 血圧の測定
  6. 貧血検査(血色素量、赤血球数)
  7. 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
  8. 血中脂質検査(LDL・HDLコレステロール、TG)
  9. 血糖検査
  10. 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
  11. 心電図検査

オプション検査や再検査、がん検診、人間ドックなどの費用は個人負担です。場合によっては会社が負担してくれます。

胃カメラは自己負担

一般健診の胃の検査はバリウムですが、上部消化管内視鏡(胃カメラ)に変更することもできます。

バリウムは法定項目なので会社負担になりますが、胃カメラはオプションなので、自己負担になっている会社が多いです。

健診の内容費用負担者
一般健診最高5,282円会社負担
付加健診最高4,802円自己負担
胃カメラ5,500円ほど自己負担

全ての健診費用を会社が全額負担してくれる場合もあります。当社でも付加検診や胃カメラは会社負担にしています。

パート・アルバイトの健康診断

社会保険の加入条件が変更されたことで、パートやアルバイトの方でも社会保険に加入するのが当たり前になっています。

会社員の方は健康診断を受けていると思いますが、パートやアルバイトでも「1年以上の雇用継続が見込まれる」「所定労働時間が正社員の4分の3以上」の人は、健診が受けられます。

社会保険の加入、未加入にかかわらず、条件を満たす人は健診の対象になります。

1年以上の契約期間があり、正社員の週所定労働時間の4分の3以上勤務している
⇒健康診断を受ける

正社員の週所定労働時間の2分の1以上4分の3未満勤務している
⇒健康診断を受けるのが望ましい

正社員の週所定労働時間の2分の1未満の勤務
⇒規定なし

所定労働時間が正社員の2分の1以上の場合は、「健康診断の実施が望ましい」とされているので、健診を受けていない人は会社に確認してみてください。定期健康診断は、従業員が1名の会社でも実施が必要です。

なお、役員や監査役は労働者ではないため健診の実施義務はありません。派遣社員は派遣元の派遣会社が健診を実施します。

健診内容

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健診の種類自己負担額検査内容対象者
一般健診最高5,282円
  • 問診
  • 身体計測
  • 血圧測定
  • 尿検査
  • 便潜血反応検査
  • 血液検査
  • 心電図検査
  • 胸部レントゲン検査
  • 胃部レントゲン検査
  • 眼底検査
35~75歳
子宮頸がん検診最高970円
  • 問診
  • 細胞診
20~38歳
全国健康保険協会

一般健診の費用は本来なら総額18,865円かかるところ、13,583円は協会けんぽが補助してくれるので、自己負担額は5,282円です。以前までは7,169円でしたが、令和5年度から自己負担額が引き下げられました。

追加できる健診

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健診の種類自己負担額検査内容対象者
付加健診最高4,802円
  • 尿沈渣顕微鏡検査
  • 眼底検査
  • 血液学的検査
  • 生化学的検査
  • 肺機能検査
  • 腹部超音波検査
40歳または50歳
乳がん検診50歳以上 最高1,086円
40歳〜48歳 最高1,686円
  • 問診
  • 乳房エックス線検査
  • 視診・触診
40~74歳
子宮頸がん検診最高1,039円
  • 問診
  • 細胞診
36~74歳
肝炎ウイルス検査最高624円
  • HCV抗体検査
  • HBs抗原検査
一般健診を受診される方
全国健康保険協会

追加できる健診は一般健診と合わせて受診するものなので、乳がん検診や子宮頸がん検診だけ受診するようなことはできません。

健診でよくある質問

会社の健康診断はいつ?

会社の健康診断の実施時期は決められていません。いつ実施してもよいことになっています。

6月、7月、9月、10月、11月に実施する企業が多く、混んでいるのは9~12月です。この時期は個人で人間ドックを受ける人も多いため健診全体が混んでいます。

12月~4月は比較的空いています。胃カメラを実施する人はこの時期がおすすめです。

会社の健康診断はどこで受ける?

健康診断は申し込んだ医療機関で実施します。大企業は決められた病院があると思いますが、中小企業は協会けんぽの契約健診機関ならどこでも受けられると思います。

会社の近くの病院で受ける必要はありません。自宅の近くで空いている時期に予約するのがおすすめです。

健康診断は何時間かかる?

病院や混み具合によりますが、一般健診のみなら1〜1.5時間ほどで終わります。

空いている時期なら1時間以内に終わることもあります。人間ドックのように半日かかることはありません。

健康診断を受けている時間は勤務時間になる?

多くの会社が勤務時間として扱っています。健診が終わったら勤務に戻りましょう。

法的に健康診断の業務時間について定めたものはなく、各企業の判断に委ねられています。

半休を取ったり有給を利用して受診することもできます。バリウムを飲むと下剤を飲むことになるので、終わった後の数時間はすぐにトイレに行ける状態にしておくのがよいでしょう。

健診の予約はどうすればいいの?

会社または個人が病院に電話して予約します。その際に、協会けんぽの健康診断であることを伝えてください。

予約の際に、保険証の記号、番号、保険者番号が必要になります。毎年同じ病院で受診すれば会社名と氏名を伝えるだけで予約できるようになります。

費用は後日会社に請求してもらうか窓口で支払い領収書を受け取ります。

会社と違う県で健診を受けたい

全国の契約健診機関ならお住まいの都道府県以外で受診することも可能です。

受診できる医療機関は、生活習慣病予防健診のご案内にあるパンフレットや、協会けんぽの公式サイトでご確認ください

バリウムを胃カメラに変えたいときは?

健診を予約する際に胃カメラを希望してください。予約が混んでいると数ヶ月先の予約になることもあります。

健診を受ける時期は決められていませんが、年に1回受けることになっています。年度をまたぐ場合や、予約がかなり先になるときは会社に確認してみてください。

病院から送られてくる書類は自宅で受け取れる?

健診の2~3週間前になると、受診する病院から書類や検便の検体採取容器などが届きます。健診が終わると1~2週間で結果が届きます。

病院から届く書類は会社または自宅で受け取ります。自宅に郵送して欲しい場合は、予約する際に病院に伝えてください。

人間ドックも会社負担で受けられる?

生活習慣病予防の健康診断と人間ドックは別の検査です。人間ドックは全額自己負担になる事が多いです。

健康診断に費用を追加して人間ドックが受けられる病院もあるので、人間ドックを受ける予定のある人は会社や病院に確認してみてください。

国民健康保険の健診

国民健康保険の場合は、40歳から74歳の方が健康診断(健康診査)の対象です。

毎年、市区町村から自宅に「受診券」「特定健診の案内」「がん健診の申込」などの案内が届きます。

国保の健康診断とは
  • 40歳から74歳までの方は特定健診対象
  • 75歳以上の後期高齢者医療制度に加入している方
  • 毎年健診の案内が自宅に届く
  • 個別健診、集団健診、総合健診がある
  • 予約を入れて受診する
  • 健診費用は無料・一部負担など自治体によって異なる

国民健康保険に加入している40歳から74歳までの方、75歳以上の後期高齢者医療受給者は、健診の対象です。

国民健康保険と75歳以上の後期高齢者医療制度は別の制度ですが、健康診断の内容はほぼ同じです。

健診費用は自治体によって異なります。無料で健診してくれるところもあれば、500円や1,300円などの費用がかかるところもあります。

個別健診か集団健診を決めて自分で予約を入れる形なので、面倒くさいと感じて健診をスルーしてしまう方も多いのではないでしょうか。

健診を自費で受けると費用は約20,000円ほどかかるので、国保の健診がおすすめです。

この記事を書いた人

竹内潤平のアバター 竹内潤平 代表取締役社長

ファイナンシャルプランナー。埼玉県飯能市出身、1978年12月25日生。趣味は登山。Webライター歴23年。
SEO、HTML、CSS、WordPressが得意です。複数のサイトを自分自身で運営・管理しています。当サイトも私がテーマカスタマイズや記事の作成をしています。
個人で自動車ローンや住宅ローンを利用したことがあり、起業してからは法人で銀行融資や日本政策金融公庫の一般貸付、マル経融資でお金を借りた経験があります。
株式投資歴は20年以上で、現在は個別株投資やベンチャー投資をしつつ、NISAつみたて投資枠でオルカン、S&P500、日経225に投資しています。
FP技能士、宅地建物取引士、日商簿記検定、証券外務員の資格を保有。

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