国の教育ローンの使い道は自由?生活費や車購入に使える?年収1000万円の所得制限
入学金や授業料の支払いに使う人が多いですが、学生が利用するパソコンの購入費や定期代に充てることもできます。
国の教育ローン(教育一般貸付)は、生活費としての利用を認めていません。
銀行の教育ローンは「学生が学生生活を送る上で必要な生活費」なら、使い道として認めている場合があります。
ただし、多くの教育ローンで資金使途を証明する書類が必要になるので、生活費だと学生生活を送る上で必要か否かを証明するのが難しいかもしれません。
生活費は学生自身がアルバイトをしたり、親の仕送りで工面するのが一般的です。ローンは借金なので、学生生活にかかる全ての資金をローンで用意するのは現実的ではありません。
教育ローンで借りたをお金を車の購入資金に充てようとする人もいるみたいですが、使用用途が車の購入では教育ローンの審査に通りません。証明書類の提出もできないでしょう。
国の教育ローンとは
国の教育ローンとは、「日本政策金融公庫の教育一般貸付」のことです。最低水準の金利で借りられるので利用者は多いです。
国の教育ローンは、大学や大学院以外の学校で利用することができます。中学卒業以降に通うあらゆる学校で利用できるので、いわゆる専門学校も対象になります。
- 大学、大学院、短期大学
- 専修学校、各種学校(予備校、デザイン学校など)
- 高等学校、高等専門学校、特別支援学校の高等部
- 外国の高等学校、短期大学、大学、大学院、語学学校など
- その他職業能力開発校などの教育施設
教育ローンを利用するのは大学からの家庭が多いと思いますが、高校でも利用できるので私立の高校で入学金や授業料が高額になる時は検討してみてもよいと思います。
専修学校とは、職業または実際生活に必要な能力を育成し、教養の向上を図るために設立された学校のことです。
高等専門学校(高専)とは、実践的・創造的な技術者を養成することを目的とした高等教育機関です。
使い道(資金使途)
- 学校納付金(入学金、授業料、施設設備費など)
- 受験費用(受験料、受験時の交通費・宿泊費など)
- 在学のため必要となる住居費用(アパート・マンションの敷金・家賃など)
- 教科書代、教材費、パソコン購入費、通学費用、修学旅行費用、学生の国民年金保険料など
学校以外に支払う教材費や塾代、学校生活を送る上での生活費などは融資の対象ではありません。
通学費用も認められているので定期代に使うこともできますし、20歳を超えた学生の国民年金保険料に充てることもできます。
奨学金の使い道は教育ローンよりも限定されていて、敷金や家賃に使えないこともあります。※奨学金は実際にどんな支出に使ったのかを調査されないことが多いため、実際には教育と関係ないことに使っている人もいます。
所得制限
国の教育ローンを利用する条件として、年収制限があります。上限額を超えている家庭は利用できません。
子どもの数 | 世帯収入 | 事業所得 |
---|---|---|
1人 | 790万円 | 600万円 |
2人 | 890万円 | 690万円 |
3人 | 990万円 | 790万円 |
4人 | 1,090万円 | 890万円 |
5人 | 1,190万円 | 960万円 |
扶養している子どもの人数によって世帯年収の上限額が異なります。
世帯の年収なので、夫婦共働きの場合は、二人の年収を合算して計算します。
子供が1人または2人の場合に、以下のいずれかの条件を満たせば、年収上限が990万円(790万円)まで緩和されます。
- 勤続(営業)年数が3年未満
- 居住年数が1年未満
- 世帯のいずれかの方が自宅外通学(予定)者
- 借入申込人またはその配偶者が単身赴任
- 今回の融資の資金使途が海外留学資金
- 借入申込人の年収(所得)に占める借入金返済の負担率が30%超
- 親族などに「要介護(要支援)認定」を受けている方がおり、その介護に関する費用を負担
- 大規模な災害により被災された方
融資限度額
融資限度額は、子供1人につき350万円です。
1人目に200万円、2人目に200万円といった借り方もできます。
以下の要件に該当する方は、最大450万円まで借入可能です。
- 自宅外通学
- 修業年限5年以上の大学(昼間部)
- 大学院
- 海外留学
融資限度額の範囲内であれば、複数に分けて借り入れすることも可能です。まずは受験費用を借りて、次に入学金・前期授業料を借りてというような方法もできます。
金利
国の教育ローンの金利は年2.25%(令和6年3月現在)です。
低金利で最長15年の長期返済で融資を受けることができます。固定金利となっていますので、完済まで金利が変わりません。借入時の金利がずっと続いて安心ですね。
下記に該当する場合には優遇制度あり
- 母子家庭または父子家庭
- 世帯年収200万円(所得132万円)以内
- 子ども3人以上で世帯年収500万円(所得356万円)以内
返済期間と返済方法
- 返済期間は18年以内
- 返済方法は元利均等返済、ボーナス月に増額も可能
- 返済は借入日の翌月または翌々月から
- 在学期間は利息のみの返済も可能
返済期間は18年以内で、返済方法は元金と利息を合わせた毎月一定額を返済する元利均等返済となっています。
返済は借入日の翌月または翌々月から始まりますが、在学期間(子どもが卒業するまでの期間)は利息のみの支払いにすることもできます。なお、利息のみ支払っている期間も返済期間に含まれます。
国の教育ローンと奨学金の違い
教育資金の借入先として、国の教育ローンと日本学生支援機構(JASSO)の奨学金はどちらがいいのか迷う方も多いのではないでしょうか。
JASSOの奨学金と国の教育ローンの違いは、まず契約者が学生本人か保護者かという点です。
奨学金は学生本人が借りて卒業後に返していくものであり、国の教育ローンは学生の保護者等が借りて返済するものです。
比較項目 | 国の教育ローン | JASSOの奨学金 |
債務者 | 原則保護者 | 学生本人 |
融資限度額 | 学生1人につき上限350万円 | 月2~6.4万円(第一種) 月2~12万円(第二種) 10~50万円(入学時) |
金利 | 2.40% | 第一種(無利子) 第二種(有利子) |
申込期間 | 資金が必要な2~3ヶ月前 | 高校3年の春(予約採用)、大学等進学後4月(在学採用) |
申込方法 | インターネット、支店窓口、郵送 | 在学中の学校または進学先の学校 |
貸与方法 | 一括 | 毎月 |
返済開始 | 借りた翌月から (在学中は利息のみの返済可能) | 卒業後6ヶ月後から |
返済期間 | 15年以内 | 借入額により変動 |
国の教育ローンは一括で借り入れできるのに対して、奨学金は毎月定額が口座に振り込まれる形です。
例えば入学金と前期授業料の資金を借りたい場合には、入学前に申し込みできる教育ローンでないと間に合いません。奨学金の振込は大学等の生活が始まってから振り込みされます。
ただ、国の教育ローンは350万円までしか借り入れできないので、もっと多くの教育資金が必要な場合には、総額で考えると奨学金の方が借りられます。
国の教育ローンは、一度に受けられる融資額が、1年間に必要になる費用と決められています。授業料の納付通知書やアパートの家賃など、金額がわかるものを提示し借りることになります。
必要な分だけ借りる形になるので、100万円必要だけど念のため200万円借りておくというようなことはできません。銀行のフリーローンやカードローンのように、借りたお金を好き勝手自由に使うこともできません。
国の教育ローンのメリット・デメリット
- 金利が年1.95%と低い(令和5年9月現在)
- 在学中は元金据置で利息のみの返済も可能
- 返済方法は、毎月払い(ボーナス払い)
- 郵送で契約できる(来店不要)
国の教育ローンのデメリットは審査に時間がかかることや、世帯収入によっては利用できないことです。
借りたお金の使い道は、「入学金、授業料、受験費用、教科書代、教材費、パソコン購入費、通学費用、アパート・マンションの敷金・家賃など」多岐に渡ります。
低金利の教育ローンで借りて、余ったお金を生活費にあてようと考える人もいるかもしれませんが、教育ローンは使い道が限定されています。
これは、住宅ローンや自動車ローンなども同じですが、使い道が限定されていることで、金利を低く設定できるのです。生活費や遊びに使いたい時は、フリーローン(多目的ローン)を利用します。
国の教育ローンは民間金融機関の教育ローンと比べてかなり金利が低いですが、利用条件は厳しくなっています。
銀行の教育ローンは最短即日融資も可能です。国の教育ローンは融資までに2~3週間かかるので、すぐにお金が必要な人には向いていません。
銀行の教育ローンは、金利が年4%で返済期間も短いです。国の教育ローンは、銀行よりも有利な条件で借りることができます。
支払いの2~3ヶ月前には申込を済ませておくのがよいと思います。申込に不備があっても慌てずに余裕を持って申し込めます。
奨学金のメリット・デメリット
- 給付型・貸与型の奨学金がある
- 有利子の奨学金は金利が低い
- 経済的に苦しい学生をサポートしてくれる
- 卒業後6ヶ月後から返済が始まる
日本学生支援機構の奨学金は、返済義務のない給付型奨学金があります。経済的に苦しい学生にとって、大変助かる支援ですね。
また、貸与型奨学金も無利息の第一種と有利息の第二種の2種類あります。利息なしで借りられるのはとても助かりますし、利息ありの第二種奨学金の場合も低金利で借りられます。
奨学金は在学中に返済する必要はありません。卒業後6ヶ月後から返済が始まります。卒業後すぐではなく、仕事に慣れてくる6ヶ月後からというところがいいですね。
日本学生支援機構の奨学金は、募集時期が決まっています。予約採用の場合は、高校3年の春に学校から案内され、学校を通じて申込します。(申込時期は1回目が4~5月頃、2回目が6月頃3回目が7月頃で、学校によって採用スケジュールが異なります。)
在学採用の場合は、貸与型奨学金の募集が春にあり、給付型奨学金の募集は春と秋です。教育ローンのようにいつでも申し込みできるわけではありません。
奨学金は家計基準として世帯年収の上限が決まっています。基準よりも世帯年収が多い方は申し込みできません。
また、奨学金は入学後に毎月定額口座に振り込まれる形です。高校3年生のうちに申し込んでも、初回振込日は6月頃となっています。
入学前に納める入学金や前期授業料には間に合いませんし、後期授業料に充てる場合には貯めておく必要があります。(入学時特別増額貸与奨学金も入学後に振り込まれるので、入学金には間に合いません。)
国の教育ローンとJASSOの奨学金は併用可能
国の教育ローンと奨学金のどちらがいいのかは、これはケースバイケースだと思います。併用して借りている方もたくさんいます。
世帯年収の条件に合うなら無利息または低金利の奨学金を借りることが一番です。しかし、入学金や前期授業料として借りたい場合には、入学後に振り込まれる奨学金では間に合わないので、国の教育ローンを借りるのがいいでしょう。
奨学金の年収基準や学力基準を満たさない方は、教育ローンしかありません。
また、親が教育資金を返済したいと思うなら教育ローンがいいでしょうし、学生本人に自覚や責任を持って返済してもらいたいと思うなら奨学金ですね。
入学金や前期授業料の資金は国の教育ローンを借りて、その後は奨学金を借りる方も多いです。
どちらにしても借入額が多くなるほど返済が大変になりますので、計画的に借りることが大切です。
教育ローンの利用を考えるなら、低金利で借りられる日本政策金融公庫の教育一般貸付がおすすめです。国の教育ローンは入学前に借りることができるので、入学金や前期授業料の支払いに充てられます。
入学金の支払いが間に合わない場合
大学の入学金の支払いを試験に受かってから準備する人もいると思います。
本当は試験の前に予約する形で申込みをしておくのが良いのですが、受かってから慌てる人も多いようです。
入学金は合格発表の1~2週間後までに納めなければなりません。合格してから教育ローンを申し込んでもギリギリ間に合うこともありますが、審査に時間がかかれば間に合いません。
そんな時に一時的にカードローンでお金を借りる方法が有効です。三菱UFJ銀行や三井住友銀行などの審査が早い銀行カードローンを利用します。
入学金に必要なお金をカードローンで用意して、教育ローンの審査に通ったら、入学金以外の教育費の支払いを教育ローンで行い、カードローンで借りたぶんは優先して返済していきます。
教育ローンで借りたお金をカードローンの返済に充てたい所ですが、教育ローンは使い道が教育資金に限られています。使い道の範囲が広い教育ローンもありますが、領収書などの提出が求められます。
家族や親戚から借りられる人は身内から借りて入学金を支払うのがよいと思いますが、どうしてもお金が用意できない人はカードローンを活用しても良いでしょう。
幼稚園から大学までの教育資金
子供を幼稚園から大学まで通わせるためには、2,000万円必要と言われますが、公立なのか私立なのかによっても変わってきます。
仮に全て私立に通わせる場合、教育資金だけで2,500万円ほどかかります。その他の費用を加えると軽く3,000万円は超えてきます。
私立に通わせる時点で裕福な家庭だと思いますが、全て公立だとしても1,000万円は必要になり、大学でかかる費用は国立でも500万円ほどになります。
大学入学時には200~300万円は必要なので、子供が生まれた時に18歳の時点で200~300万円の貯金が欲しい所です。
自動積立定期預金や学資保険などで、強制的に貯蓄していくのがよいと思います。