奨学金の滞納で差し押さえ!督促状や裁判による強制執行
奨学金の滞納で給料が差し押さえられる?
返済の必要がある貸与型の奨学金は、返済が遅れて訴訟を起こされ強制執行になると、給与を含めた財産の差し押さえが行われます。
どこの奨学金を利用しているかにもよりますが、日本学生支援機構(JASSO)の貸与型の奨学金は、学生自身が債務者になるので自分で返済しなければなりません。
連帯保証人の親が返済している家もあるようですが、本来は奨学生が働き始めてから自分で返していくものです。
大学を卒業しても就職できなかったり、給料の安い就職先しか見つからずに奨学金を滞納している人もいます。しかし、奨学金を滞納すると銀行や消費者金融と同じように取立てが行われます。
奨学金は滞納しても大丈夫だと思っている人も多いですが、滞納時の流れはカードローンの滞納と同じです。最終的には強制執行で給料が差し押さえられます。
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機関保証:奨学金を滞納した時の差し押さえ
日本学生支援機構の貸与型の奨学金を延滞した時の流れはこのようになります。
保証機関(日本国際教育支援協会)の保証を受けて奨学金を借りた場合です。
- 奨学金の滞納から差押までの流れ
-
- 職員や債権回収会社から電話がかかってくる
- 自宅に督促状が届く
- 一括返済請求される
- 代位弁済請求(機構が保証機関に返済を請求)
- 保証機関が代位弁済し債権が保証機関に移譲される
- 保証機関から返済の催促や一括請求を受ける
- 支払督促申立や訴訟が行われる
- 強制執行による差し押さえ
保証機関の保証を受けている場合、延滞が続いた時点で保証機関が奨学生に変わって借入金を全額返済します。これを代位弁済と言います。
代位弁済が行われると、債権(奨学金の返済を受ける権利)は、日本学生支援機構から保証機関に移り、以後は保証機関が奨学生の取り立てを行います。
最終的に保証機関や債権回収会社が、支払督促申立を行ったり、訴訟を提起して強制執行により財産が差し押さえられます。
取立ての電話や文書
返済が遅れた時の第一段階が催促の電話や督促状の送付です。この時点で返済すれば問題ありません。
日本学生支援機構は、債権回収会社に業務を委託しているので、債権回収会社から電話がかかってくることもあります。
電話は9~21時の間でかかってくるので、夜中に来ることはありません。これは法律で決められた借金取立てのルールで、消費者金融で借りた場合と同じです。
電話は携帯電話、固定電話、勤務先にかかってくる可能性があります。携帯電話や固定電話にちゃんと出ていれば、基本的には勤務先にはかけてこないでしょう。
電話や文書による催促はありますが、自宅や勤務先へ訪問して取り立てを行うことはありません。カードローンの取立てでも勤務先へ来ることはまずありません。
保証機関の取立て
奨学金は、機関保証制度を利用して連帯保証人・保証人なしで借りている人も多いと思います。
機関保証制度を利用している方が奨学金を滞納した場合、保証機関から取り立てられることになります。
日本学生支援機構のサイトにも機関保証制度について書かれています。
Q.機関保証制度を選択すれば、返還しなくてよいのですか。
A.保証機関の保証を受けても、奨学金の貸与を受けたのはあなた自身であり、あなた自身がしっかり返還しなければなりません。
延滞した際に保証機関が日本学生支援機構に対してあなたに代わって返済したような場合でも、その後保証機関はその分の返済をあなたに請求します。
保証料を支払っているからといって、「奨学金の返還をしなくても構わない」といった誤った考えを持たないようにしてください。
保証機関の保証があることで、保証人なしで奨学金が利用できるのはいいことですが、返済が遅れた時は取り立てが行われます。
奨学金は分割払いで返済していくのが普通ですが、保証機関が代位弁済した時点で、一括請求される可能性があります。
取り立ての流れについては、さきほどご説明したとおりで、最終的には財産の差し押さえが行われます。
裁判所の支払督促申立
支払督促申立とは、裁判所に支払督促を申し立てるものです。簡易裁判所の書記官が債務者に支払いを命じます。
支払督促申立に対して異議申し立てすると裁判に移行します。異議を申し立てない場合は強制執行されます。
通常は延滞から3ヶ月以上経過した時点で行われる手続きです。強制執行による差し押さえの前段階と言えるので、この段階で返済していないとかなりまずいです。
保証機関からの取立てに応じなかった場合は、法的措置が取られます。これは人的保証のときも同じです。
支払督促予告
未返済額や利息、延滞金を含め一括返済請求
支払督促を申し立てることの予告
支払督促申立
一括返済に応じなかった場合は支払督促の申立
仮執行宣言付支払督促申立
それでも返済に応じない場合は仮執行宣言付支払督促の申立
強制執行
預金や給与の差し押さえが行われる
まずは、支払督促予告により、借入金+利息の全額一括返還請求の通知が行われます。返還未済額はもちろんですが、利息、延滞金、返還期限が来ていない分も含めて、全てを一括で返還することが求められます。
この予告に応じないと、裁判所に支払督促申立が行われ、それでもなお支払わない場合、裁判所に仮執行宣言付支払督促の申立が行われます。
強制執行による差し押さえ
支払督促申立をしても支払わない場合は、「強制執行」の手続きが行われます。これが最終段階です。
強制執行とは、給与差押えや預金差押えなどで強制的に返還金を徴収するものです。
差押 | 対応 | |
---|---|---|
給与差押 | 裁判所から勤務先に連絡が行く | |
預金差押 | 裁判所から銀行に連絡が行く | |
財産差押 | 車などの資産があるときは差し押さえられる |
給与差押えでは勤務先へ通知が行き、給与が本人に支払われる前に一部が返還に回されます。
給与差押えは、法律上「給料の4分の1まで」と決められているので、給料が全額没収されるわけではありません。
たとえば、給料が30万円で、税金や保険料を除いた手取りが24万円の人の場合、24万円の4分の1である6万円が差し押さえられます。
給料が少ない人ほど滞納していると思うので、4分の1と言ってもかなり厳しい状態になると思います。手取り20万円の人なら37,500円が差し押さえられます。
Q.JASSOに勤務先を教えてないけどバレる?
強制執行する段階になると、裁判所が市区町村などに照会して勤務先を確認します。自治体は住民税の特別徴収をしているので、住民の勤務先を把握しています。
裁判所からの照会があった場合は教えなければいけないことになっています。
Q.JASSOに預金がある口座を教えてないけどバレる?
強制執行する段階になると、裁判所が銀行に照会して支店や口座情報を確認します。
以前は銀行と支店名がわからなければ強制執行できませんでしたが、現在は銀行名だけわかれば後は裁判所が銀行本店に照会して確認できるようになっています。
利用しているであろう銀行は限られているので口座がバレる可能性は高いです。
人的保証:奨学金を滞納した時の差し押さえ
日本学生支援機構の奨学金は、機関保証制度を利用しない場合、父母を「連帯保証人」にして、兄弟・叔父叔母などの親族を「保証人」にするのが一般的です。
日本学生支援機構の貸与型の奨学金を延滞した時の流れは以下のようになります。
連帯保証人を立てて人的保証で借りた場合です。基本的には機関保証と流れは変わりませんが、保証人にも請求が行きます。
- 奨学金の滞納から差押までの流れ
-
- 職員や債権回収会社から電話がかかってくる
- 自宅に督促状が届く
- 連帯保証人に督促状が届く
- 保証人に督促状が届く
- 一括返済請求される
- 支払督促申立や裁判が行われる
- 強制執行による差し押さえ
1や2の電話や文書による取立ての段階で返済すれば特に問題はありません。ただし、3ヶ月以上延滞すると次の段階に入ってきます。
3ヶ月以上延滞した時点で信用情報機関に事故情報が記録されます。返済が遅れてしまった時でも2ヶ月以内に返しておきたいですね。
人的保証で契約した場合、契約者本人と同時に連帯保証人へも返済請求がいくことになります。連帯保証人も支払えないと判断された場合は保証人へも請求がいきます。
保証人ありで契約した人は、奨学生本人、連帯保証人、保証人の全てに申立が行われる可能性があります。
奨学生本人が返済に応じない場合、連帯保証人である親や、保証人である親族へ請求が行くことになります。
人的保証の場合、奨学生が払えなくても連帯保証人や保証人が支払うことになり、裁判まで行かないことも多いです。
連帯保証人への請求
奨学金を借りた学生が返済できない場合、連帯保証人である親などが返済することになります。
学生本人の返済が滞った時点で、連帯保証人に催促の連絡が来ます。連帯保証人は、奨学生本人と同等の返済義務があります。
そのため、奨学生が返済できるできないにかかわらず、機構は連帯保証人に返済請求することができます。
連帯保証人は、本人に請求してくれという権利はなく、返済請求されれば奨学生と共に返済していかなければなりません。
保証人への請求と裁判の結果
奨学生本人と連帯保証人が返済できない場合は、保証人が返済することになります。保証人は、債務者と連帯保証人が返済できない時に返済を求められます。
保証人は、未返還額の半分の支払い義務がありますが、全額請求されて支払ってしまう保証人も多いようです。
日本学生支援機構が半分の支払義務しかない保証人に対して全額請求していることが問題になっています。
学生支援機構は「悪意の受益者」 奨学金返済めぐり、高裁が返金命令
奨学金の返済をめぐり、日本学生支援機構が半額の支払い義務しかない保証人に全額を請求したのは違法だとして、北海道内の保証人ら2人が過払い分の返金と損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が19日、札幌高裁であった。
大竹優子裁判長は「機構は、過払い分が不当利得と認識しながら支払いを受けた『悪意の受益者』というべきだ」と指摘。過払い分に利子を加えた計約200万円を支払うよう機構に命じた。損害賠償請求は一審に続いて退けた。
保証人の返済義務について理解している人が少なくて、全額返済しないといけないと思っている人が多いということですね。
連帯保証人は、全額返済する義務がありますが、保証人は連帯保証人と半分半分で返済する義務があります。これを「分別の利益」といいます。
保証人から分別の利益を主張された場合は減額に応じているようですが、何も言われなければ全額請求していたということですね。
法律上の定義では、「善意=ある事実を知らないこと」「悪意=ある事実を知っていること」を表しています。
今回の場合は、機構は保証人に未返還額の半分しか返済義務がないにも関わらず全額請求し、過払い分が不当利得であると知っていながら利益を得たことを指摘されました。
不当利得とは、正当な理由がないにも関わらず、他人の財産もしくは労務によって利益を受け、他人に損失を与えることです。
奨学金に関わらず保証人になったときに、債権者から全額請求された時は、分別の利益を主張して半分の支払いで済むことを伝えましょう。
判決の中で「悪意の受益者」という言葉が出てきます。この「悪意」とは「知っていること」を意味しています。悪い感情という意味での悪意ではありません。
奨学金返済の過払い者への返金
奨学金の返済に対して半額の支払い義務しかない保証人に対し全額請求した裁判ですが、2022年6月に機構側が最高裁への上告を断念し判決が確定しました。
機構は原告に過払い分にあたる部分の金額を返金し、同じように半額の支払い義務しかないのに全額請求した保証人2000人に対して、過払い金を返金する方針です。
奨学金返済、過払い2千人に10億円返金へ 日本学生支援機構
奨学金の返済をめぐり、半額の支払い義務しかない保証人2人に全額を請求した日本学生支援機構に対して、過払い分と利息の計約200万円の支払いを命じた札幌高裁判決について、機構は2日、最高裁への上告を断念したと発表した。
原告も上告しない方針で、判決は確定する。機構は、原告と同様に半額を超える返済をしてきた保証人約2千人に対して、過払い分として計約10億円を返金する方針も明らかにした。
機構によると、返金対象は、機構にデータが残る2017年4月以降に返済を終えた保証人や返済中の保証人ら。
返金の対象になるのは2017年4月以降に返済を終えた人ですが、返済を証明する資料があればそれ以前に返済を終えた場合でも返金に応じる可能性があるようです。
この裁判によって今後は機構が保証人に対して、奨学金の全額返済を請求することはなくなるでしょう。奨学金は学生本人と連帯保証人に返済義務があり、そのどちらも返済できないときは保証人に半額の返済義務があります。
人的保証による奨学金の契約では、親などが連帯保証人となり、親族が保証人になります。頼まれて仕方なく保証人になるケースも多いと思いますが、最終的に保証人が返済することも多いので、保証人を頼まれたときはよく考えて契約しましょう。
奨学金が返済できないときの対処法
- 奨学金の返済に困ったときは
-
- 返済期限猶予制度で返還を待ってもらう
- 減額返還制度で月々の返還額を少なくする
- 返還免除で返還を免除してもらう
- 債務整理(自己破産)する
奨学金が返済できずに滞納しそうな時は、期限猶予や減額制度を利用して返済を待ってもらうのもよいでしょう。返還免除は死亡や障害などの特別なときに利用できるものです。
債務整理はどうしても返済できないときの選択肢です。連帯保証人を付けた人的保証の場合は、連帯保証人や保証人の返済義務は残ります。
返済期限猶予制度と減額返還制度
自分の懐事情は把握しているはずなので、奨学金が返還できるかできないかはわかっていると思います。
事情がありどうしても返還できない場合は、借入先に相談してみましょう。
日本学生支援機構の奨学金は、返還が難しくなった時に、返還期限を延ばしたり毎月の返済額を減額できる可能性があります。
手続き | 特徴 | |
---|---|---|
返還期限猶予 | 留年、災害、傷病、経済困難、失業などの理由で返還が難しい時に、返還期限を延ばす。承認された場合は、適用期間中は返済の必要がない。猶予期間は最長10年、給付型奨学金は期間の上限なし。 | |
減額返還制度 | 返還が難しくなった場合に、毎月の返還額を減らすことができる。毎月の返還額を2分の1または3分の1に減らし、返還期間が延長される。減額期間は最長10年。 |
返還期限猶予は、1年毎に期限猶予を願い出る必要があります。給付型奨学金は基本的に返還の必要がありませんが、給付型奨学金を受け取っていた人が、後で返還が必要になることがあります。
どちらの方法も、最終的に支払う金額が減ったり無くなるものではありません。あくまで、返還期限を延長したり、毎月の返還額を減らすためのものです。
返還期限猶予制度の利用条件
- 災害、傷病、経済困難、失業などの理由で返還が困難な者
収入の目安 | ||
---|---|---|
給与所得者 | 年間収入金額(税込) 300万円以下 | |
給与所得者以外 | 年間所得金額(必要経費等控除後) 200万円以下 |
延滞したあとに返還期限猶予を願い出ることもできますが、延滞が始まった年月から1年ごとに「奨学金返還期限猶予願」と「所得証明書」などの資料を用意しなければなりません。
延滞している場合、返還期限猶予の申請が難しくなるので、支払えないことが分かっている時は延滞する前に申請しましょう。
減額返還制度の利用条件
- 災害、傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難である
- 願出及び審査の時点で延滞していない
- 口座振替加入者である
- 月賦返還(月額返済)であること
- 個人信用情報の取扱いに関する同意書が提出されている
所得額の目安 | ||
---|---|---|
給与所得者 | 所得証明書等の年間収入金額325万円以下 | |
給与所得者以外 | 所得証明書等の年間所得金額(必要経費等控除後)225万円以下 |
延滞中の人は利用できませんが、延滞を解消すれば申し込めます。
- 返済期限の猶予や減額
返還免除
奨学生本人が死亡したり障害を負った時は、返還未済額の全部又は一部の返還を免除することができます。
- 本人が死亡し返還ができなくなったとき
- 精神若しくは身体の障害により労働能力を喪失、又は労働能力に高度の制限を有し、返還ができなくなったとき
死亡の場合は戸籍抄本、障害の場合は収入証明書と医師の診断書が必要になります。
※平成15年度以前に奨学金を利用していた方は、返還特別免除制度がありましたが、現在は廃止されています。
奨学金が返せないときの債務整理
奨学金が返済できないときの最終手段が、債務整理で借金をなくしたり減らすことです。
一定額以上の財産が没収される上に信用情報機関に異動情報が記録されるので、その後5年~7年はローンを組むことができなくなります。クレジットカードの審査にも通りません。
返済するのが難しいけど給与差押えはどうしても困るという人は、債務整理を検討することになります。
債務整理は、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4つの方法がありますが、自己破産を申し立て、免責が認められれば奨学金の返還はしなくて良くなります。他の方法は、返済額を減らして少しずつ支払っていくものです。
奨学金は自己破産しても免責が認められないと思っている人も多いですが、奨学金も借金なので免責される可能性が高いです。
連帯保証人や保証人への影響
奨学生本人が自己破産した場合でも、人的保証で借りている場合は連帯保証人や保証人の返済義務は残ります。
連帯保証人は引き続き債務全額を返済する義務があります。
自己破産により、本人の免責が認められても連帯保証人には引き続き支払い義務があります。
連帯保証人は債務者と同等の支払い義務があるので、奨学生が自己破産しても借金がチャラになるわけではありません。
当然、連帯保証人が支払えない場合は、連帯保証人が自己破産することはできますが、保証人に迷惑をかける事になります。
奨学生本人と連帯保証人の両方が自己破産した場合でも、保証人の債務は残ります。
奨学生は自己破産することで自分は助かるかもしれませんが、(連帯)保証人に迷惑をかけることになります。
信用情報機関の異動情報
奨学金や教育ローンを長期延滞したときや債務整理したときは、個人信用情報機関に事故情報(異動情報)が記録されます。
日本学生支援機構(JASSO)は、信用情報機関の全国銀行個人信用情報センター(KSC)に加盟しています。
奨学金を3ヶ月以上延滞した場合、KSCに延滞情報が記録されます。これはいわゆるブラックリストと呼ばれているもので、正式には異動情報と言います。
- 奨学金の滞納でブラックになる
-
- 3ヶ月以上の延滞
- 保証機構の代位弁済
- 自己破産や個人再生
奨学金を滞納したときや債務整理手続きをしたときは、これらの情報が記録されます。
KSCでは、延滞情報は5年間記録されます。保証機構による代位弁済や強制回収手続きなどについても5年間記録されます。
クレジットカードや住宅ローンを利用しようと思った時に、奨学金の滞納が原因で審査に落ちることがあります。
JASSOは、CICやJICCには加盟していませんが、情報交流システムのFINEがあるので、延滞情報などは共有しています。銀行系のローンだけではなくクレジットカードの審査に通るのも難しいでしょう。
これは、私のKSCに記録されていた個人情報です。三菱UFJ銀行カードローンの利用情報ですが、特に問題のない状態です。
「残債額・入金区分」には、直近の返済状況について記録されていて、その下に「返済区分、延滞解消日、完了区分」の項目が載ります。
私の場合は遅延なく返済していたので、延滞や代位弁済に関する記録はありません。「代位弁済、保証履行、強制回収手続」などが異動情報と呼ばれるものです。
異動情報が記録されている間は、新たにローンを組んだり借金するのが難しくなります。クレジットカードの契約や携帯機種代金の分割払いなどにも影響が出てきます。住宅ローンやカードローンの契約もできません。
延滞ぐらい大したことないと思っている人も多いですが、3ヶ月以上ローンの支払が滞った時点で、事故情報が記録されると思ったほうが良いでしょう。その後の生活にも影響を与えるので、できれば回避したいものです。
任意整理では奨学金は減額できない
任意整理は、債権者ごとに将来利息や返済回数について話し合います。任意整理では、債権者と債務者が合意すればどのような条件でも構わないのですが、「将来利息のカット」と「3年程度での完済」の条件で和解することが多いです。
結論から言うと、債権者のJASSOは、任意整理の申し出に対して、減額交渉に応じない姿勢です。元々金利が低いため、将来利息をカットしても大幅な減額は見込めません。
損害遅延金の延滞利息は条件によって異なりますが、5%や10%になります。例えそのような延滞金が発生していたとしても、減額交渉に応じない可能性が高いです。
奨学金を任意整理すると保証人が請求される
奨学金の(連帯)保証人として、父母または親族がなっているケースで、その奨学金を任意整理の対象に含むと、請求が保証人にいくので迷惑をかけることになります。
保証協会が保証しているケースでも、JASSOに任意交渉すると、代わりに保証協会が支払うことになり、代位弁済した保証協会から債務者本人へ請求が来るので、負債義務がなくなる訳ではありません。
任意整理では奨学金は対象外にする
他にも複数社からの借金がある場合には、奨学金は任意整理の対象から外すことで、保証人に迷惑を掛けることなく、奨学金以外の債務を減額することができます。
保証人が付いていない債権や、金利の高い債権を任意整理の対象にすることで、生活を立て直すことができるかもしれません。
個人再生で奨学金を減額する
個人再生は、再生計画案で決定した最低弁済額以上の金額を、3年間または5年間で完済すると、残りの債務を免除してもらえる制度です。
個人再生手続きをすると、個人信用情報機関「KSC」の官報情報欄に「民事再生手続開始決定」の記録がされ、7年間保有されます。
最低弁済額基準に沿って返済する場合
最低弁済額基準は次のように定められています。
借入額 | 最低弁済額基準 |
---|---|
100万円以上500万円以下 | 100万円 |
500万円超1,500万円以下 | 債務額の5分の1 |
1,500万円超3,000万円以下 | 300万円 |
3,000万円超5,000万円以下 | 債務額の10分の1 |
例えば、毎月12万円の奨学金を4年間借りたとすると、卒業時には総額で600万円弱になります。
個人再生で最低弁済額基準に照らし合わせてみると、5分の1の120万円以上を3年で返済することができれば、残りの480万円を免除してもらえます。1ヶ月の返済金額を計算すると毎月3万円程になります。
個人再生で減額した奨学金は減額分を保証人が返済する
奨学金の主契約者である受給者が、個人再生した場合には、債権者のJASSOは、主契約者の代わりに保証人から返済してもらうことになります。ただし、圧縮された金額は、受給者の主契約者本人が支払うため、個人再生で免除される金額を保証人が返済することになります。
自己破産のときと同様に、一括返済が求められますが、交渉次第で分割払いに応じてくれる可能性があります。
先程のケースで例えると、主契約者は再生計画によって120万円を返済し、保証人から480万円返済されることで、債権者は奨学金を全額回収することができます。
このときに、保証人と主契約者の支払った合計金額が債務総額に達した時点で、支払い義務がなくなることをきちんと理解しなければなりません。先に保証人が負担金額分を払い終わったとしても、主契約者が返済途中の場合には、まだ返済義務があるので注意しなければなりません。
自己破産した奨学金は保証人が責任を負う
自己破産は、債務者の財産を全て充てても借金が完済できない状態のときに、負っている借金をゼロにしてもらう制度です。そのため、債権者を選別して、特定の債権者だけに返済する行為は認められません。
自己破産すると、個人信用情報機関のKSCの官報情報の欄に「破産手続開始」と記録されます。情報機関の記録期間は、破産手続開始から7年間です。
自己破産は、全ての債権者が対象になるため、奨学金だけを返済して、他の債務を免除してもらうことはできません。
そのため、自己破産で免除対象になった奨学金の返済は、保証人や連帯保証人が請求されることになります。保証人には自己破産の効力は及ばないので、保証人の父母や親族に返済義務が生じるのです。
連帯保証人へ債権が移ったときには、「期限の利益損失」により、契約上は一括返済が求められます。
保証人が奨学金を返還できない場合には、保証人も含めて債務整理を検討しなければならないため、契約者本人は保証人に相談する必要があります。
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この記事の著者(専門家)
-
株式会社アルビノ代表取締役。ファイナンシャルプランナー。埼玉県飯能市出身、1978年12月25日生。趣味は登山。Webライター歴23年。カードローン利用歴16年。現在は消費者金融3社、銀行カードローン3社の契約あり。
個人で自動車ローンや住宅ローンを利用したことがあり、起業してからは法人で銀行融資や日本政策金融公庫の一般貸付、マル経融資で借りた経験があります。
FP技能士、宅地建物取引士、日商簿記検定、証券外務員の資格を保有。
運営者情報
会社名 | 株式会社アルビノ |
---|---|
代表者 | 竹内潤平 |
住所 | 〒160-0023 東京都新宿区西新宿3-3-13 西新宿水間ビル6階 |
電話番号 | 03-6914-6178 ※電話対応はしていません。 |
お問合せ | メールフォーム |
設立 | 2014年10月20日 |
資本金 | 1000万円 |
事業内容 | Webマーケティング支援 ライフプラン・コンサルティング メディア運営 |
主要取引銀行 | 三菱UFJ銀行 住信SBIネット銀行 |
法人番号 | 7011101071501 |
本社所在地 | 〒176-0012 東京都練馬区豊玉北4-4-5 |
インボイス登録番号 | T7011101071501 |