年金収入に加えて事業所得がある場合の税金や手取り額が計算できるシミュレーションツールです。
自営業やフリーランスなど、個人事業主として事業をしながら公的年金等を受け取る場合にご利用ください。
「年金+給与収入がある方」「年金+その他の所得がある方」は別の計算ツールをご利用ください。
社会保険料は、東京都品川区の保険料率で計算しています。均等割の軽減は考慮していません。
住民税非課税世帯の判定は以下のとおりです。
65歳未満(配偶者控除あり)で年金収入171.3万円以下。
65歳未満(配偶者控除なし)で年金収入105万円以下。
65歳以上(配偶者控除あり)で年金収入211万円以下。
65歳以上(配偶者控除なし)で年金収入155万円以下。
扶養親族の人数に応じて非課税になる金額が変わります。
免責事項
本計算ツールは、簡易的な方法で算出しているため正確な金額ではありません。
本計算ツールを利用した結果により生じた損害、損失、不利益等に対し、当社はいかなる責任も負いません。
正確な金額については、日本年金機構、税務署、全国健康保険協会、税理士、社会保険労務士、公認会計士、弁護士などにご相談ください。
働きながら国民年金を受け取る場合
個人事業主は受け取れる年金が少ないため65歳以降でも働いている人は多いです。
65歳以降に年金を受け取りながら働く場合、年金額が減額されることを心配する方もいますが、個人事業主の場合は、事業所得が高くても年金が減らされることはありません。
会社員などが対象の厚生年金は、働きながら受け取ると減額される可能性がありますが、国民年金は全額支給されます。
保険料の納付月数が480月(40年)に満たない場合、60歳~64歳までは国民年金に任意加入することができますが、この期間に老齢基礎年金の繰上げ支給を受けることはできません。
事業所得が多くても年金は満額支給
事業所得が多くても老齢基礎年金の金額が減らされることはありません。
給与所得と年金を受け取る場合、在職老齢年金に該当すると、受け取る年金額が減る可能性があります。
在職老齢年金とは、60歳以降に厚生年金保険に加入しながら、老齢厚生年金を受け取ることを指します。
具体的には、総報酬月額相当額(月給+1年間の賞与を12で割った額)と基本月額(老齢厚生年金を12で割った額)の合計額が月50万円を超える場合は、50万円を超えた金額の半分が支給停止されます。
減る可能性のある年金は、老齢厚生年金のみで、老齢基礎年金は対象ではありません。
会社員だった方が定年後に個人事業主として働く場合、受け取る年金は老齢厚生年金+老齢基礎年金となりますが、在職老齢年金は「厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受け取る方」が対象なので、個人事業主として働く方は対象になりません。
家族への給与と必要経費
青色申告とか白色申告では、家族への給与の取り扱いが異なります。
青色申告 | 同一生計の配偶者や家族、親族への給与は経費にできる |
白色申告 | 経費にできないが一定の金額が控除される |
青色申告の場合
青色申告をしている場合は、青色事業専従者として届け出ると、配偶者や親族の給与も全額経費にできます。これを青色事業専従者給与と言います。
- 青色事業専従者の給与に上限なし
- 青色事業専従者の人数に上限なし
- 赤字でも給与額が適正なら全額経費として認められる
給与に上限はないと言っても「事務職の配偶者に月給50万円を払う」といったように、社会通念上妥当とは言えない金額を設定した場合、税務調査などで指摘される可能性が高いです。
特殊技術が必要な仕事に対する対価として、配偶者や家族へ高額な給与を支払う分には問題ありません。
事業専従者給与の金額について考えるときは、仮に家族でなくても同じ給与を支払うかという視点が大切です。これは法人として家族を雇用する場合の給与設定でも同様です。
白色申告の場合
白色申告の場合は、配偶者や親族への給与を経費にすることはできませんが、一定額を控除できます。これを事業専従者控除と言います。
事業専従者控除額は、次のイまたはロの金額のいずれか低い金額です。
イ 事業専従者が事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ専従者一人につき50万円
ロ この控除をする前の事業所得等の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額
※国税庁
事業専従者控除額は、事業所得が少ない場合、専従者の人数が増えると控除額が減るのが特徴です。
控除前の事業所得が200万円で、配偶者を雇っている場合は、以下の計算になります。
イ:86万円
ロ:200万円÷(1+1)=100万円
イまたはロのいずれか低い方なので、86万円が事業専従者控除となります。
事業所得によって控除額が変わり、事業所得が100万円の場合、控除額は50万円になります。
2人以上の事業専従者がいる場合の控除額は以下のようになります。
控除前の事業所得が200万円で、配偶者+親族1人を雇っている場合は、以下の計算になります。
イ:86万円+50万円=136万円
ロ:200万円÷(2+1)=66.6万円
イまたはロのいずれか低い方なので、66.6万円が事業専従者控除となります。
控除前の事業所得が200万円で、配偶者+親族2人を雇っている場合は、以下の計算になります。
イ:86万円+50万円+50万円=186万円
ロ:200万円÷(3+1)=50万円
イまたはロのいずれか低い方なので、50万円が事業専従者控除となります。
このように同じ事業所得の場合、専従者の人数が増えることで、事業専従者控除額が下がることになります。
専従者に支払う給与を事業専従者控除の金額内に収めれば、全額経費にできるのと同じ状態になります。
一般的に、事業所得が多い場合や、配偶者以外を雇う場合は、白色ではなく青色申告にするはずです。青色申告特別控除もあるので、青色申告の方が手取り額は増える可能性が高いです。
青色事業専従者や事業専従者控除の対象になる人の条件は、国税庁の「青色事業専従者給与と事業専従者控除」をご覧ください。
事業所得と年金収入の税金計算
個人事業主が公的年金やiDeCoの年金を受け取る場合、事業所得と年金所得を合算して税金を計算します。
青色申告と白色申告では、課税所得の計算方法が異なります。
事業所得の計算
事業所得=事業収入-必要経費
事業収入から必要経費を引いたものが事業所得です。
必要経費とは、地代家賃、水道光熱費、旅費交通費、通信費、広告宣伝費などのことです。
青色申告特別控除
青色申告特別控除は、青色申告している人が受けられる特別な控除です。10万円、55万円、65万円の控除が受けられます。
最大で65万円の控除を受けるには、「複式簿記で記帳している」、「貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付している」などの条件があります。
詳しくは、国税庁の「青色申告特別控除」をご覧ください。
青色申告と白色申告の大きな違いは、青色申告特別控除と家族への給与を経費にできるか否かです。
青色申告の場合は、確定申告を税理士に依頼するケースが多いと思いますが、税理士費用を支払っても控除額が多くなることで、利益は増えると思います。
年金所得の計算
年金所得=年金収入-公的年金等控除
年金所得は、年金収入から公的年金等控除を差し引いたものです。年齢や受け取る年金額によって公的年金等控除の金額が変わります。
公的年金等控除とは、公的年金やiDeCo、企業年金などの年金収入を受け取るときに利用できる控除のことです。個人事業主の場合は、公的年金とiDeCoの年金の合計額が年金収入になります。
65歳未満で年金を受け取ると、年金額が減額されますが、公的年金等控除の金額も少ないので、年金の手取りがかなり減る可能性があります。
年金所得の計算式は以下のとおりです。※年金所得以外の合計所得金額が1,000万円以下の場合
65歳未満の年金所得
年金収入 | 年金所得 |
---|---|
60万円以下 | 0円 |
60万円超130万円未満 | 収入金額-60万円 |
130万円以上410万円未満 | 収入金額×0.75-27万5千円 |
410万円以上770万円未満 | 収入金額×0.85-68万5千円 |
770万円以上1,000万円未満 | 収入金額×0.95-145万5千円 |
1,000万円以上 | 収入金額-195万5千円 |
65歳以上の年金所得
年金収入 | 年金所得 |
---|---|
110万円以下 | 0円 |
110万円超330万円未満 | 収入金額-110万円 |
330万円以上410万円未満 | 収入金額×0.75-27万5千円 |
410万円以上770万円未満 | 収入金額×0.85-68万5千円 |
770万円以上1,000万円未満 | 収入金額×0.95-145万5千円 |
1,000万円以上 | 収入金額-195万5千円 |
年金所得以外の合計所得金額が1,000万円超~2,000万円以下の場合や2,000万円超の場合は、公的年金等控除の金額が変わります。
課税所得の計算
課税所得=合計所得-各種所得控除
事業所得と年金所得を合計したものが合計所得です。合計所得から各種所得控除を差し引いたものが課税所得になります。
各種所得控除とは、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除、生命保険料控除などのことです。
個人事業主の社会保険料とは、国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料、国民年金保険料のことです。
65歳以上になると、健康保険料と介護保険料が分かれています。75歳以上の方は後期高齢者医療保険料です。
60歳以上でも任意加入で国民年金保険料を支払う場合があります。65歳以上で国民年金に加入することはできません。
所得税の計算
所得税=課税所得×所得税-控除額
課税所得が算出できたら所得税の速算表を使って所得税を計算します。
事業所得と年金所得は総合課税なので、合計した所得が課税の対象になります。
年金が少なくても事業所得が多ければ所得税も多くなります。
所得税の速算表
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円~1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円~ | 45% | 4,796,000円 |
住民税の計算
住民税=課税所得×所得割10%+均等割
住民税の所得割は、全国一律で10%です。都道府県民税が4%、市区町村民税が6%の合計10%です。
個人事業税の計算
事業所得が290万円を超える場合は個人事業税がかかります。
個人事業税=事業所得-各種控除×税率
個人事業税の計算式にある各種控除は、以下の控除を指します。
事業主控除 | 290万円 |
青色事業専従者給与 | 全額 |
白色事業専従者控除 | 配偶者86万円、それ以外は1人50万円 |
損失の繰越控除 | 事業所得の赤字の繰越(最大3年間) |
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株式会社アルビノ代表取締役。ファイナンシャルプランナー。埼玉県飯能市出身、1978年12月25日生。趣味は登山。Webライター歴23年。 個人で自動車ローンや住宅ローンを利用したことがあり、起業してからは法人で銀行融資や日本政策金融公庫の一般貸付、マル経融資でお金を借りた経験があります。 株式投資歴は20年以上で、現在は個別株投資やベンチャー投資をしつつ、NISAつみたて投資枠でオルカン、S&P500、日経225に投資しています。 FP技能士、宅地建物取引士、日商簿記検定、証券外務員の資格を保有。