個人事業主の税金計算シミュレーション

個人事業主(自営業)が支払う所得税や住民税が計算できます。国民健康保険料は簡易計算です。

計算結果をPDF出力できるようにしました。

個人事業主が支払う所得税や住民税、手取りが計算できるシミュレーションツールです。

国民健康保険料は自動計算されますが、簡易計算のため金額がわかる場合は入力してください。

青色申告特別控除は65万円で計算しています。
給与を支払う家族は青色事業専従者の届け出を出しているものとして計算しています。
国民健康保険料は東京都大田区の単身者、介護分なしで計算しています。
個人事業税は5%で計算しています。
手取り額は収入から経費、税金、保険料を差し引いた金額です。

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免責事項

本計算ツールは、簡易的な方法で算出しているため正確な金額ではありません。
本計算ツールを利用した結果により生じた損害、損失、不利益等に対し、当社はいかなる責任も負いません。
正確な金額については、日本年金機構、税務署、全国健康保険協会、税理士、社会保険労務士、公認会計士、弁護士などにご相談ください。

目次

事業所得を計算する

個人事業主(自営業者)が支払う所得税や住民税は、1年間の収入から経費や控除額を差し引いた金額をもとに計算します。

個人事業主は、事業所得、不動産所得、山林所得、一時所得、譲渡所得などが所得税の対象になります。

事業所得=収入-経費

事業から得た収入から使った経費を差し引いたものが事業所得になります。

経費にできるもの

個人事業主が経費にできるものの一例をご紹介します。

経費の種類主な経費
地代家賃事業用建物の家賃や駐車場代
水道光熱費水道代、ガス代、電気代
旅費交通費旅費、交通費、宿泊費
通信費ネット回線、電話料金、切手
広告宣伝費Web広告、チラシ
接待交際費取引先への接待費用
消耗品費パソコン、デスク、文房具
減価償却費建物、自動車、機械などの固定資産
福利厚生費健康診断、慰安旅行、トレーニングジム費用
給料賃金従業員の給料
外注工賃外注にかかる費用
租税公課個人事業税、自動車税、固定資産税、印紙税

事業に関係する費用のみが経費になります。個人で利用した分は経費にできないので注意しましょう。

スーツや靴など事業以外に使えるものは経費になりません。事業主自身が行う健康診断やトレーニングジム費用は福利厚生にできません。

取得価額が10万円以上、耐用年数が1年以上のものは減価償却の対象になりますが、「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」を利用すると、30万円未満までは損金に算入することができます。

家族への給与

配偶者や親など事業主と生計を同じくする親族への給与は経費になりません。ただし、開業届を提出し、青色申告を行い、青色事業専従者として届け出ると、家族の給与も全額経費にできます。これを青色事業専従者給与と言います。

白色申告では、家族への給与は経費にできませんが、一定額を所得金額から控除できます。これを事業専従者控除と言います。

事業専従者控除は、事業に従事している配偶者や親族に支払う給与の一部を必要経費とみなすことができる制度です。控除という名前が付いていますが、計算上は経費と同一に考えて問題ありません。

事業専従者控除=事業所得÷ (事業専従者の数+1)

事業専従者控除は上限額が設けられており、配偶者は86万円、配偶者以外は1人あたり50万円が控除の上限になります。

青色事業専従者給与は全額を経費にできますが、事業専従者控除は全額を控除できないので注意してください。

なお、事業専従者として給与を受け取った者は、配偶者控除や扶養控除の対象から外れます。

青色事業専従者や事業専従者控除の対象になる人の条件は、国税庁の「青色事業専従者給与と事業専従者控除」をご覧ください。

生計を同じくしない家族や親族への給与は、青色事業専従者の届け出をしなくても経費になります。

青色申告特別控除

青色申告特別控除は、青色申告している者が受けられる特別な控除です。10万円、55万円、65万円の控除が受けられます。

最大で65万円の控除を受けるには、「複式簿記で記帳している」、「貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付している」などの条件があります。

詳しくは、国税庁の「青色申告特別控除」をご覧ください。

所得控除を計算する

収入から経費を差し引いたものが事業所得ですが、事業所得に所得税がかかるわけではなく、事業所得から所得控除を差し引いたものが課税所得になります。

課税所得=事業所得-各種所得控除

所得控除とは社会保険料控除や配偶者控除、基礎控除などのことです。

社会保険料控除

社会保険料控除は、国民健康保険料(介護保険料)を支払っている場合に受けられる控除です。

1年間で支払った国民健康保険料が全額控除されます。介護保険料は40歳になると徴収されます。

国民健康保険料は、世帯の年間最高限度額が設定されており、世帯で支払う国民健康保険料の上限は106万円になります。上限は毎年見直しが行われています。

基礎控除

基礎控除額は事業所得が2,500万円以下の人が受けられる控除です。所得金額が多いと減額されたり0円になります。

所得金額控除額
2,400万円以下48万円
2,400万円超2,450万円以下32万円
2,450万円超2,500万円以下16万円
2,500万円超0円
国税庁

配偶者控除

配偶者控除は、事業主の所得金額と配偶者の年齢で金額が変わります。

所得金額70歳未満70歳以上
900万円以下38万円48万円
900万円超950万円以下26万円32万円
950万円超1,000万円以下13万円16万円
1,000万円超0円0円
国税庁

自動計算ツールでは配偶者の年齢を確認していないため、70歳未満として計算しています。

青色事業専従者の届け出をしている配偶者は、配偶者控除が受けられません。

扶養控除

子どもや高齢者などを扶養している方は、扶養控除が受けられます。16歳未満の子どもは児童手当の対象になるため扶養控除は受けられません。

区分控除額
一般の控除対象扶養親族38万円×人数
特定扶養親族63万円×人数
老人扶養親族(同居老親等以外の者)48万円×人数
老人扶養親族(同居老親等)58万円×人数
国税庁

特定扶養親族は19歳以上23歳未満の子が対象で、老人扶養親族は70歳以上の方が対象になります。

青色事業専従者の届け出をしている扶養親族は、扶養控除が受けられません。

2024年10月から児童手当が18歳まで(高校生まで)延長されます。その関係で、2026年以降は、16歳~18歳の子どもがいる家庭の扶養控除が縮小されます。

生命保険料控除

生命保険料控除は、生命保険や個人年金保険の保険料を支払っている人が受けられる控除です。

生命保険と個人年金保険の両方に加入している人は、それぞれで控除が受けられます。

(新)生命保険料控除平成24年以降に契約した生命保険
(旧)生命保険料控除平成23年以前に契約した生命保険
(新)個人年金保険料控除平成24年以降に契約した個人年金保険
(旧)個人年金保険料控除平成23年以前に契約した個人年金保険
(新)介護保険料控除平成24年以降に契約した介護保険

(新)は最大4万円、(旧)は最大5万円、合計最大12万円が控除されます。

地震保険料控除

地震保険料控除は、自身や生計を共にする配偶者や親族が所有する建物や家財を対象とする地震保険料を支払っている人が受けられる控除です。

地震保険料の金額が5万円以下の場合は全額控除され、5万円超の場合は5万円が控除されます。

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除は、小規模企業共済などの掛金を支払っている人が受けられる控除です。

小規模企業共済は、経営者のための退職金制度です。掛け金は月額1,000円~70,000円の範囲内で設定できます。

企業型確定拠出年金や個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛け金も小規模企業共済等掛金控除の対象になります。

小規模企業共済等掛金控除の上限額は年間84万円です。

医療費控除

医療費控除は、年間に支払った医療費が多い場合に受けられる控除です。

所得金額が200万円以上の場合
医療費控除額=(医療費の合計額-保険金などで補填される金額)-10万円

所得金額が200万円未満の場合
医療費控除額=(医療費の合計額-保険金などで補填される金額)-(所得金額×5%)

この場合の医療費とは、実際に負担した医療費の金額になります。保険診療であれば自己負担した金額です。

医療費の対象になるのは、医師や歯科医師が行う診療、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の費用です。

出産費用、レーシック手術、不正咬合の歯列矯正、差額ベッド代、通院にかかる交通費なども対象になります。

医療費控除の上限額は年間200万円です。

所得控除は、他にも雑損控除、寄附金控除、障害者控除、ひとり親控除、勤労学生控除などがあります。

所得税を計算する

収入から経費や所得控除を差し引いたものが課税所得なり、課税所得をもとに所得税を計算します。

所得税=課税所得×税率-控除額

収入が多く控除額が少ない人ほど所得税額は多くなります。

日本の所得税は超過累進課税で、所得金額に応じて税率が変わります。計算式が複雑になるため、速算表を使って計算するのが一般的です。

所得税の速算表

課税所得金額税率控除額
1,000円~1,949,000円5%0円
1,950,000円~3,299,000円10%97,500円
3,300,000円~6,949,000円20%427,500円
6,950,000円~8,999,000円23%636,000円
9,000,000円~17,999,000円33%1,536,000円
18,000,000円~39,999,000円40%2,796,000円
40,000,000円~45%4,796,000円
国税庁

速算表では課税所得金額が増えると控除額も増える仕組みになっています。

復興特別所得税

平成25年から令和19年までは、東日本大震災の復興のための税金として、復興特別所得税が徴収されます。

所得税額に2.1%を掛けた金額が復興特別所得税です。所得税がかからなければ復興特別所得税もかかりません。

住民税を計算する

住民税は、1年間の所得をもとに支払う地方税で、都道府県と市区町村が徴収します。

住民税=所得割+均等割

住民税は所得割と均等割があり、所得割は課税所得の10%です。均等割は5,000円ほどの金額になります。

住民税の課税所得

課税所得=事業所得-所得控除

住民税の所得控除は、所得税の所得控除とは異なる金額になっているため、住民税の課税所得と所得税の課税所得は同じ金額ではありません。

雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済掛金控除は、所得税も住民税も同じ控除額です。

所得控除住民税所得税
基礎控除43万円48万円
配偶者控除11~33万円13~38万円
老人配偶者控除13~38万円16~48万円
配偶者特別控除1~33万円1~38万円
扶養控除33万円38万円
特定扶養親族45万円63万円
老人扶養親族(同居)38万円48万円
老人扶養親族(同居外)45万円58万円
障害者控除26~53万円27~75万円
寡婦控除26万円27万円
ひとり親控除30万円35万円
勤労学生控除26万円27万円
生命保険料控除(上限)7万円12万円
地震保険料控除(上限)2.5万円5万円

所得割の税率

所得割の税率は全国一律で合計10%です。

住民税税率
都道府県民税4%
市区町村民税6%
合計10%

均等割

住民税の均等割は、住んでいる地域によって税額が異なります。

住民税令和6年度以降令和5年度まで
都道府県民税1,000円1,500円
市区町村民税3,000円3,500円
森林環境税1,000円-
合計5,000円5,000円
東京都23区

個人事業税を計算する

個人事業税は都道府県に納付する地方税の一つです。前年の事業所得が一定の金額を超えた場合に個人事業税の納付義務が発生します。

個人事業税の対象になるのは、法律で定められた70業種のみで、これらの業種に該当しない場合は課税されません。

個人事業税=事業所得-290万円×税率

所得は収入から経費や青色申告特別控除を引いた金額になります。

事業所得が290万円以下の場合は、個人事業税が発生しません。個人事業主は3年分の赤字が繰り越せるため、所得から赤字繰越分を引いた金額が290万円以下なら課税されません。

個人事業税の税率

個人事業税の税率は業種によって異なります。

税率主な業種
5%物品販売業、運送業、飲食店業、倉庫業、不動産売買業、広告業、製造業、旅館業、医業、コンサルタント業、美容業、士業など
4%畜産業、水産業、薪炭製造業
3%あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復その他の医業に類する事業、装蹄師業
東京都主税局
Webマーケター/ファイナンシャルプランナー。埼玉県飯能市出身、1978年12月25日生。趣味は登山。Webライター歴23年。 個人で自動車ローンや住宅ローンを利用したことがあり、起業してからは法人で銀行融資や日本政策金融公庫の一般貸付、マル経融資でお金を借りた経験があります。 株式投資歴は20年以上で、現在は個別株投資やベンチャー投資をしつつ、NISAつみたて投資枠でオルカン、S&P500、日経225に投資しています。 FP技能士、宅地建物取引士、日商簿記検定、証券外務員の資格を保有。
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