年金収入に加えて、その他の所得がある場合の税金や手取り額が計算できるシミュレーションツールです。
給与所得、事業所得、不動産所得、雑所得、一時所得、譲渡所得に対応しています。
事業所得、不動産所得、譲渡所得の損失は他の所得と損益通算できます。雑所得の損失は年金所得と損益通算できます。
社会保険ありの給与収入を受け取っている方は、年金と給与を同時に受け取るときの税金計算ツールをご利用ください。
国民健康保険料は、東京都品川区の保険料率で計算しています。均等割の軽減は考慮していません。
住民税非課税世帯の判定は以下のとおりです。
65歳未満(配偶者控除あり)で年金収入171.3万円以下。
65歳未満(配偶者控除なし)で年金収入105万円以下。
65歳以上(配偶者控除あり)で年金収入211万円以下。
65歳以上(配偶者控除なし)で年金収入155万円以下。
扶養親族の人数に応じて非課税になる金額が変わります。
免責事項
本計算ツールは、簡易的な方法で算出しているため正確な金額ではありません。
本計算ツールを利用した結果により生じた損害、損失、不利益等に対し、当社はいかなる責任も負いません。
正確な金額については、日本年金機構、税務署、全国健康保険協会、税理士、社会保険労務士、公認会計士、弁護士などにご相談ください。
所得の種類
総合課税の対象になる所得をご紹介します。
所得 | 主な収入 |
---|---|
年金所得(雑所得) | 公的年金、企業年金、iDeCo |
給与所得 | 給与収入 |
事業所得 | 事業収入 |
不動産所得 | 家賃、共益費など |
雑所得 | 副業、個人年金、仮想通貨、海外FXなど |
一時所得 | 公営ギャンブルの儲け、懸賞金、クイズの賞金、保険の満期金 |
譲渡所得 | 車両、船舶、競走馬、貴金属、宝石などの売却益 |
不動産を売却した時の利益も譲渡所得にあたりますが、不動産売却の損益は分離課税の対象になるため、通常の譲渡所得の計算方法とは異なります。
損益通算できる所得
損失が出たときに損益通算できる所得は4つあります。
- 事業所得
- 不動産所得
- 譲渡所得
- 山林所得
それぞれの頭文字を取って富士山上(不事山譲)と憶えるのが一般的です。
雑所得は損益通算できないため、雑所得にあたる副業収入は、給与所得や事業所得と損益通算することはできません。
副業が事業と認められれば事業所得となり、給与所得などと損益通算することができます。帳簿保存や事業実態があれば事業として認められます。
同一所得で総合課税の対象になる収入は損益通算できるので、雑所得の総合課税である年金、副業、仮想通貨、海外FXなどは損益通算できます。
年金収入+その他の所得の税金計算
年金受給者がその他の所得を受け取る場合は、年金所得とその他の所得を合算して税金を計算します。
損益通算できる所得とできない所得があり、損益通算できる所得については、赤字が出たときに他の所得と損益通算することができます。
年金所得の計算
年金所得=年金収入-公的年金等控除
年金所得は、年金収入から公的年金等控除を差し引いたものです。年齢や受け取る年金額によって公的年金等控除の金額が変わります。
年金所得以外の合計所得金額が1,000万円以下の場合の年金所得(雑所得)の速算表は以下のとおりです。
65歳未満の年金所得
年金収入 | 年金所得 |
---|---|
60万円以下 | 0円 |
60万円超130万円未満 | 収入金額-60万円 |
130万円以上410万円未満 | 収入金額×0.75-27万5千円 |
410万円以上770万円未満 | 収入金額×0.85-68万5千円 |
770万円以上1,000万円未満 | 収入金額×0.95-145万5千円 |
1,000万円以上 | 収入金額-195万5千円 |
65歳未満の方は、65歳以上の方と比べて控除額が少なくなっています。
65歳以上の年金所得
年金収入 | 年金所得 |
---|---|
110万円以下 | 0円 |
110万円超330万円未満 | 収入金額-110万円 |
330万円以上410万円未満 | 収入金額×0.75-27万5千円 |
410万円以上770万円未満 | 収入金額×0.85-68万5千円 |
770万円以上1,000万円未満 | 収入金額×0.95-145万5千円 |
1,000万円以上 | 収入金額-195万5千円 |
65歳以上の方は、最低110万円の年金所得控除があり、配偶者控除や基礎控除などにより、所得税が0円になることも珍しくありません。
年金以外の所得が1,000万円を超える場合は、公的年金等控除の金額が変わります。詳しくは、国税庁の「公的年金等に係る雑所得の速算表」をご覧ください。
その他の所得の計算
給与所得
給与所得=給与収入-給与所得控除
給与所得と年金所得の合計額が10万円を超える場合は、上限10万円の所得金額調整控除が受けられます。
事業所得
青色申告の事業所得=事業収入-事業専従者給与-青色申告特別控除
白色申告の事業所得=事業収入-事業専従者控除
不動産所得
不動産所得=不動産収入-必要経費
雑所得
雑所得=収入-必要経費
雑所得で赤字が出たときは、年金所得と損益通算することができます。
一時所得
一時所得=収入-必要経費-特別控除額50万円
譲渡所得
譲渡所得=譲渡益-特別控除額(50万円)
短期譲渡所得 | 収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除50万円 |
長期譲渡所得 | (収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除50万円)×1/2 |
課税所得の計算
課税所得=合計所得-各種所得控除
年金所得とその他の所得の金額を合計したものが合計所得です。
各種所得控除とは、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除、生命保険料控除などのことです。
所得税の計算
所得税=課税所得×所得税-控除額
課税所得が算出できたら所得税の速算表を使って所得税を計算します。
所得税の速算表
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円~1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円~ | 45% | 4,796,000円 |
住民税の計算
住民税=課税所得×所得割10%+均等割
住民税の所得割は、全国一律で10%です。都道府県民税が4%、市区町村民税が6%の合計10%です。
雑所得とは
雑所得とは以下の所得に該当しない所得のことです。
- 給与所得
- 事業所得
- 不動産所得
- 利子所得
- 配当所得
- 退職所得
- 山林所得
- 譲渡所得
- 一時所得
ネットショップやアフィリエイトの収入、ネットオークションやフリマアプリの収入、印税、原稿料、講演料などが雑所得です。
仮想通貨や海外FXなどで利益が出た場合も雑所得に該当します。
※ネットオークションやフリマアプリで、自分が利用している日用品を売る場合は非課税です。
副業収入と呼ばれるものの多くは雑所得にあたります。年間の収入が300万円超で帳簿を保存している場合は、事業所得として認められる可能性が高いです。
雑所得の種類と損益通算
公的年金等 | 公的年金、iDeCo、確定給付企業年金(DB)、確定拠出企業年金(DC)、退職金の年金受け取り |
業務 | ネットショップやアフィリエイトの売上、フリマアプリやネットオークションの収入、原稿料、印税、講演料 |
その他 | 仮想通貨(暗号資産)、海外FX、外貨預金の為替差による損益、個人年金保険の年金、非営業用貸金の利子、確定申告の還付加算金 |
雑所得は内部通算できるので、公的年金の収入と仮想通貨の損失を損益通算することもできます。
給与所得や事業所得などと雑所得を損益通算することはできません。
総合課税の雑所得内の損益通算や、分離課税(先物取引に係る雑所得)内の損益通算はできますが、総合課税と分離課税の損益通算はできません。
総合課税と分離課税
雑所得は、総合課税と分離課税に分けられます。
総合課税 | 年金収入、副業収入、仮想通貨(暗号資産)、海外FX、個人年金保険の年金など |
分離課税 | 株式、国内FX、先物取引、オプション取引など |
計算ツールで計算できる雑所得は総合課税のものだけです。分離課税の雑所得は、一律20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかります。
分離課税で損益通算できるのは、先物取引に係る雑所得等なので、株式の売却損益とは通算できません。国内FXと先物取引は通算できます。
株式の売却益は譲渡所得と解説される事が多いですが、取引手法や保有期間によっては雑所得や事業所得になる場合もあります。ただし、譲渡所得でも雑所得でも、他の所得と損益通算することはできません。
雑所得の計算
雑所得=収入-必要経費
雑所得に控除はありませんが、必要経費は収入から差し引くことができます。
具体的には、個人年金保険の保険料、ネットショップで販売したものの原価、セミナー代や書籍代、パソコン代や通信費の一部などが経費に該当します。
ネットショップの利益:30万円
アフィリエイト収入:20万円
個人年金の年金:20万円
仮想通貨の損失:50万円
30万円+20万円+20万円-50万円=20万円(雑所得)
総合課税の雑所得同士は損益通算できるので、雑所得で損失が出た場合には、公的年金等の収入から差し引くことができます。
給与所得+雑所得の場合は、雑所得で損失が出ても給与所得と損益通算はできません。
事業所得+雑所得は、雑所得で損失が出ても給与所得と損益通算はできませんが、事業所得で損失が出た場合には雑所得と損益通算することができます。
不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得の4つは、損失が出た時に他の所得と損益通算することができます。
個人年金の収入と必要経費
個人年金を年金として受け取る場合は、雑所得に該当しますが、受け取る年金額が全て雑所得になるわけではありません。
雑所得=総収入額-必要経費
個人年金における総収入額とは、年金の支給額のことで、必要経費は払込保険料のことです。
年金額から保険料を差し引いたものが雑所得になるため、利率の低い個人年金で雑所得が大きな金額になることは稀です。
ただし、契約者と年金受取人が異なり、個人年金を年金として受け取る場合は、初年度に贈与税の対象になるため、高額な税金が発生する可能性があります。※一括で受け取る場合も贈与税はかかる
2年目以降は雑所得となり、契約者と年金受取人が同一のときと同様に、1年毎の雑所得に応じて税金がかかります。
個人年金の雑所得の計算例
保険の種類:確定年金
年金の支給額:100万円×10年間
保険料払込合計額:900万円(30万円×30年間)
払込保険料の総額は900万円で、年金の総支給額は1,000万円です。
払い込んだ保険料900万円を支給年数の10年で割ると、年間の必要経費は90万円になります。
年金100万円-必要経費90万円=雑所得10万円
この場合の雑所得は10万円です。
個人年金保険は返戻率が低いものが多く、場合によっては払い込んだ保険料よりも受け取る年金の総額の方が少ないときもあります。
個人年金の確定申告と源泉徴収
総所得金額が48万円以内なら確定申告は不要なので、所得が個人年金のみなら、多くの場合で確定申告は必要ありません。
公的年金を受け取っている場合は、公的年金等が400万円超の場合や、他の所得が20万円超の場合は確定申告しなければなりません。
公的年金等が400万円以下で、個人年金の雑所得を含む他の所得が20万円以下なら確定申告は不要です。
個人年金は、年金額から必要経費(その年金額に対応する払込保険料)を差し引いた額が25万円以上の場合は、保険会社が10.21%の所得税を源泉徴収します。25万円未満の場合は源泉徴収されません。
公的年金の受給者で、個人年金から所得税が源泉徴収されている方は、他の所得が20万円を超えていることになるので、確定申告が必要になります。
確定申告することで払いすぎた税金が還付される可能性があります。※逆に不足していた場合は納税します
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株式会社アルビノ代表取締役。ファイナンシャルプランナー。埼玉県飯能市出身、1978年12月25日生。趣味は登山。Webライター歴23年。 個人で自動車ローンや住宅ローンを利用したことがあり、起業してからは法人で銀行融資や日本政策金融公庫の一般貸付、マル経融資でお金を借りた経験があります。 株式投資歴は20年以上で、現在は個別株投資やベンチャー投資をしつつ、NISAつみたて投資枠でオルカン、S&P500、日経225に投資しています。 FP技能士、宅地建物取引士、日商簿記検定、証券外務員の資格を保有。