競馬などの一時所得の税金計算シミュレーションツール

競馬、競艇、競輪などの公営ギャンブルで利益が出たときは、一時所得として確定申告し、税金を納める必要があります。

計算結果はPDF出力できます。

一時所得の税金が計算できるシミュレーションツールです。

競馬、競輪、競艇などの公営ギャンブルの利益、懸賞金、クイズの賞金、保険の満期金や解約返戻金などが一時所得に該当します。

社会保険料は令和6年度の保険料率をもとに計算しています。

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免責事項

本計算ツールは、簡易的な方法で算出しているため正確な金額ではありません。
本計算ツールを利用した結果により生じた損害、損失、不利益等に対し、当社はいかなる責任も負いません。
正確な金額については、日本年金機構、税務署、全国健康保険協会、税理士、社会保険労務士、公認会計士、弁護士などにご相談ください。

一時所得競馬・競輪・競艇などの公営ギャンブルの払戻金、懸賞金、クイズの賞金、保険の満期金や解約返戻金など
雑所得仮想通貨(暗号資産)、FX、先物取引、年金収入、印税、講演料、副業から得た所得など
目次

一時所得の税金の計算方法

一時所得の税金は、一時所得とその他の所得を合計した金額をもとに算出します。

一般的には生命保険や損害保険の満期保険金、解約返戻金の税金を計算する際に使用します。

競馬、競輪、競艇などの公営ギャンブルで利益が発生した場合にも、一時所得として税金計算することになります。

一時所得の金額を計算する

一時所得=総収入-必要経費-特別控除額50万円

一時所得は、特別控除額50万円があるので、50万円以下の利益なら一時所得に対する所得税は発生しません。

総収入とは一時所得のもとになった収入のことです。生命保険なら保険金、競馬・競輪なら払戻金が収入になります。

必要経費は、その収入を得るために支出した経費のことです。生命保険なら保険料、競馬や競輪なら払い戻しを受けた馬券を購入した金額が経費になります。

ハズレ馬券は経費にりません。利益が出た投票に対する購入費用のみが経費になります。

課税所得の金額を計算する

課税所得=一時所得の金額 × 1/2 +その他の所得-各種控除

一時所得の半分の金額とその他の所得を合計した金額が課税所得になります。その他の所得とは、給与所得や事業所得などのことです。

給与所得者は、給与を受け取る際に源泉徴収税が引かれているため、確定申告の際に一時所得をプラスした所得で所得税を計算し、納税または還付を受けることになります。

各種控除とは、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除などのことです。給与所得や事業所得と同様に合計所得から各種控除を差し引いたものが課税所得になります。

所得税を計算する

所得税=課税所得×税率-控除額

所得税は速算表を使って計算するのが一般的です。所得税の税率や控除額は、課税所得の金額によって異なります。

課税所得金額税率控除額
1,000円~1,949,000円5%0円
1,950,000円~3,299,000円10%97,500円
3,300,000円~6,949,000円20%427,500円
6,950,000円~8,999,000円23%636,000円
9,000,000円~17,999,000円33%1,536,000円
18,000,000円~39,999,000円40%2,796,000円
40,000,000円~45%4,796,000円
国税庁

競馬の儲けに対する税金を計算してみた

競馬の払戻金で101万円、当たり馬券の購入費用が1万円だった場合の税金を計算してみます。

(払戻金101万円-購入費用1万円-特別控除50万円)×1/2=25万円

この場合の一時所得の課税所得は25万円です。

一時所得はその他の所得と合算した合計所得で税金を計算するため、一時所得のみの税金を計算しても意味がありません。

年収300万円、独身、所得控除は社会保険料控除と基礎控除の人で計算してみます。

一時所得100万円
一時所得の課税所得25万円
年収300万円
給与所得控除980,000円
給与所得2,020,000円
合計所得2,270,000円
社会保険料控除459,168円
基礎控除480,000円
課税所得1,330,000円
所得税66,500円
復興特別所得税1,396円
住民税143,000円
収入4,000,000円
手取り3,329,936円

同じ条件の年収300万円の人の手取り額は、2,367,698円なので、競馬の利益100万円をそのままプラスしたら約337万円です。

実質的な競馬の利益に対する税金は4万円ほどです。100万円の利益が出て税金が4万円なら大した額ではないので申告した方がよいと思います。

ただ、実際の現場では、この金額以上のハズレ馬券があるはずなので、損をしているのに税金を取られる状態になり、申告しない人が多いと思います。

競馬は大勝ちしたときにSNSで発信したり、他人に自慢することでバレるケースがあります。競馬場やWINSで大金を受け取っても個人情報を申告する訳ではないので、そこからバレることはありません。

1,000万円の儲けに対する税金

100万円ほどの利益なら大した税金はかかりませんが、1,000万円の儲けならいくらになるでしょうか。

「払戻金-購入費用=1,000万円」の場合の税金や手取り額をシミュレーションしてみます。

一時所得1,000万円
一時所得の課税所得4,750,000円
年収300万円
給与所得控除980,000円
給与所得2,020,000円
合計所得6,770,000円
社会保険料控除459,168円
基礎控除480,000円
課税所得5,830,000円
所得税738,500円
復興特別所得税15,508円
住民税593,000円
収入13,000,000円
手取り11,193,824円

年収300万円の手取りは2,367,698円なので、1,000万円の儲けをそのままポケットに入れたら約1,237万円です。

実質的な一時所得の税金は118万円になります。さすがに1,000万円もの儲けが出た場合は税金も大きくなります。

個人事業主の場合は、国民健康保険料の金額も上がるのでもっと税負担は大きくなります。

1,000万円以上の払戻を受けると国税に情報提供される

競馬場やWINSで大勝ちしてもそれが税務署や国税にバレる可能性はほぼありませんが、電話やインターネット経由で購入した場合は話が別です。

電話投票の「A-PAT」、インターネット投票の「即PAT」、クレジットカードを利用したインターネット投票の「JRAダイレクト」を利用して1,000万円以上の払い戻しを受けた人の情報は保存されています。

JRAの公式サイトにも情報提供について書かれています。

なお、「電話・インターネット投票」における約定に基づき、法的義務により競馬会が個人情報の提供を求められた場合(含む、「国税通則法 第74条の12第1項に基づく情報提供(注1)」) 、競馬会は電話・インターネット投票加入者(利用者)の個人に関する情報を保護措置を講じた上で提供するものとします。

注1: 「国税通則法 第74条の12第1項に基づく情報提供」・・・1発売単位(100円)当たり1,000万円以上の払戻を受けた電話・インターネット投票会員(利用者)の情報提供

※JRA

一口あたりの払い戻しが1,000万円以上となった場合、的中者の氏名や口座番号、レース情報などが記録されます。

「個人情報の提供を求められた場合に提供する」と書かれているので、自動的に国税に通告しているわけではないようですが、国税が調査すれば個人情報がバレてしまいます。

公営ギャンブルを所管する農林水産省、国土交通省、経済産業省は、2021年から徴税強化しており、競馬、競艇、オートレース、競輪が対象です。

1,000万円以上の高額払戻金を受け取る人は多くありませんが、申告しないと国税が突然やってくるかもしれません。

無申告のペナルティは重加算税などの追徴課税があり、普通に支払うよりも税金額が多くなります。悪質な場合は懲役や罰金もあるので、申告しておいたほうがよいと思います。

ハズレ馬券が経費にならない理由

一時所得における経費とは、「一時所得を得るために支出した金額」のことです。

競馬の払戻金においては、当たり馬券に対する購入費用のみが経費になるため、ハズレ馬券は経費になりません。

ハズレ馬券が経費にならない理由は、ハズレ馬券を購入した費用は、一時所得を得るために支出したとは認められないためです。一時所得とは、その名の通り単発的な行為から得られるもので、偶然性・偶発性が高く、必然的に得られる利益ではありません。

収入を得るための行為とは言えない支出を経費にすることはできません。そもそも収入を得るための行為ならそんなに負けるはずがありません。

また、仮にハズレ馬券が経費になってしまうと、競馬場やWINSに落ちているハズレ馬券も経費に利用できることになります。

馬券は誰が購入したかを特定することは難しいですし、競馬場やWINSで購入した馬券のハズレ馬券が経費になることはありません。

当たり馬券の購入費用は経費になる

当たり馬券の購入費用は経費になりますが、当たり馬券というのは1枚の馬券という意味ではありません。

1️⃣アーモンドアイ1,000円 1.5倍
2️⃣ディープインパクト1,000円 1.3倍
3️⃣イクイノックス1,000円 2.0倍

1枚の馬券で単勝を3通り購入したとして、レースに勝利したのがイクイノックスだった場合、経費になるのは予想が当たった分の購入費用である1,000円だけです。

3,000円分購入して払戻金は2,000円なので損失が出ていますが、イクイノックスの購入1,000円に対する払い戻しが2,000円なので、その投票においては1,000円の利益となるため課税対象になります。

実際には、一時所得には特別控除額の50万円があるので、50万円までは課税されませんが、このような計算方法になります。

雑所得と認められればハズレ馬券は経費になる

競馬などの払戻金による収入が、一時所得ではなく雑所得と認められるとハズレ馬券も経費にすることができます。

ハズレ馬券が経費になるかどうかは、払戻金が一時所得になるか雑所得になるかが重要なポイントで、それを争う裁判も行われています。

競馬や競輪などの公営ギャンブルの儲けは、原則として一時所得になりますが、やり方によっては雑所得と認められる場合があります。

国税庁の一時所得に関するページには「競馬や競輪の払戻金(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除きます。)」と書かれています。

競馬の払戻金が雑所得と認められた有名な裁判があります。

馬券を自動的に購入するソフトを使用して独自の条件設定等に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に網羅的な購入をして,当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げるなどしていた本件事実関係(判文参照)の下では,払戻金は所得税法上の一時所得ではなく雑所得に当たる。

外れ馬券を含む全ての馬券の購入代金という費用が当たり馬券の払戻金という収入に対応するなどの本件事実関係(判文参照)の下では,外れ馬券の購入代金は,雑所得である当たり馬券の払戻金から所得税法上の必要経費として控除することができる。

※裁判所

最高裁の判決で、競馬の払戻金が一時所得ではなく雑所得に当たると判断されたもので、この人についてはハズレ馬券が経費になると認められました。

国税庁の「競馬の馬券の払戻金に係る課税について」においても、雑所得に該当する場合の例が書かれています。

雑所得として認められるポイント

  • 馬券を自動的に購入するソフトウェアを利用
  • 独自の条件設定や計算式により予想を的中
  • 年間を通じてほぼ全てのレースの馬券を購入
  • 年間を通じて利益が得られるように多数の馬券を購入
  • 回収率が100%を超えるように購入し続ける

競馬場やWINSなどで馬券を買っているような人の払戻金は、絶対に雑所得にはなりません。何度も高額配当の馬券を当てたとしても一時所得です。

スマホやパソコンで定期的に購入していても、それだけでは雑所得と認められません。

ネットで購入していても、「回収率が100%を超えている」「ほぼすべてのレースを購入している」という条件を満たすのが難しいと思います。

いずれにしても、裁判をして勝たないと雑所得とは認められないので、ほとんどの人は一時所得として確定申告しておかないと、脱税で逮捕される可能性があるので注意しましょう。

一時所得に該当する所得

一時所得の例
  • 公営ギャンブルの払戻金
  • パチンコやパチスロの利益
  • 保険の一時金や満期返戻金、解約返戻金
  • 懸賞の賞金や商品
  • 拾得物の礼金

パチンコやパチスロの儲けも一時所得

公営ギャンブルだけではなくパチンコやパチスロで勝ったときの儲けも一時所得になります。

パチンコ収入が税務署から突っ込まれたという話は聞かないですし、パチンコで勝った額を確定申告している人はほとんどいないと思います。

パチンコ雑誌などのライターで、仕事でパチンコを打っている人は申告しているかもしれませんが、一般的にパチプロと呼ばれるような人は申告していません。

競馬などの公営ギャンブルはスマホで購入できるので、利益が出ていることがバレる可能性はありますが、パチンコは現金でやりとりするので記録が残りません。

また、パチンコやパチスロは三店方式で現金化されており、パチンコ屋が現金を渡しているわけではないので、公営ギャンブルと同じ扱いではありません。パチンコ屋の店員に換金所の場所を聞いても教えてくれないのは、換金所は別経営で、パチンコ屋が換金に関わっていないためです。

株式会社アルビノ代表取締役。ファイナンシャルプランナー。埼玉県飯能市出身、1978年12月25日生。趣味は登山。Webライター歴23年。 個人で自動車ローンや住宅ローンを利用したことがあり、起業してからは法人で銀行融資や日本政策金融公庫の一般貸付、マル経融資でお金を借りた経験があります。 株式投資歴は20年以上で、現在は個別株投資やベンチャー投資をしつつ、NISAつみたて投資枠でオルカン、S&P500、日経225に投資しています。 FP技能士、宅地建物取引士、日商簿記検定、証券外務員の資格を保有。
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