給与収入と事業収入がある人の税金や手取りが計算できるシミュレーションツールです。
職場の社会保険に加入せずに国民健康保険に加入している人は、タブを切り替えてバイト収入の方で計算してください。
青色申告特別控除は65万円で計算しています。
給与を支払う家族は事業専従者の届け出を出しているものとして計算しています。
社会保険料は東京都品川区の単身世帯の45歳で計算しています。
個人事業税は5%で計算しています。
手取り額は収入から経費、税金、保険料を差し引いた金額です。
免責事項
本計算ツールは、簡易的な方法で算出しているため正確な金額ではありません。
本計算ツールを利用した結果により生じた損害、損失、不利益等に対し、当社はいかなる責任も負いません。
正確な金額については、日本年金機構、税務署、全国健康保険協会、税理士、社会保険労務士、公認会計士、弁護士などにご相談ください。
事業所得に該当する副業とは
給与所得のある人が副業をする場合、副業収入が「雑所得」なのか「事業所得」なのかによって扱いが変わります。
一般的な副業は雑所得に該当するため、雑所得で赤字が出ても給与所得などと損益通算することはできません。
副業が事業所得に該当する場合は、事業所得で出た赤字を給与所得などと損益通算することができます。
サラリーマンが事業所得で損失を出して、給与所得と損益通算する節税スキームが流行った時期がありますが、帳簿の保存義務ができたことで、事業の実態がないと認められなくなりました。
副業収入が事業所得して認められるかどうかは、帳簿の有無や売上規模によります。
副収入ごとの所得の分類
副収入の種類 | 該当する所得 |
---|---|
アルバイト | 給与所得 |
ライター、イラストレーター | 雑所得または事業所得 |
ネットショップ、アフィリエイト | 雑所得または事業所得 |
フリマアプリ、ネットオークション | 雑所得または事業所得 |
株の売買 | 譲渡所得または雑所得 |
仮想通貨、海外FX | 雑所得 |
国内FX | 雑所得(分離課税) |
ギャンブルの儲け | 一時所得または雑所得 |
不動産投資、家賃収入 | 不動産所得 |
「雑所得または事業所得」となっている副業は、多くの場合で雑所得になります。しっかりと事業として行っていて、帳簿の保存などをしている場合は事業所得となります。
フリマアプリ、ネットオークションで利用している日用品を売る場合は、税金はかかりません。※30万円を超える貴金属や宝石、骨董品などを売る場合は、譲渡所得の対象になります。
帳簿の保存があれば原則として事業所得
令和4年の国税庁の通達で、雑所得と事業所得に関する見解が示されました。
次に掲げるような所得は、事業所得又は山林所得と認められるものを除き、業務に係る雑所得に該当する。
(7)営利を目的として継続的に行う資産の譲渡から生ずる所得
事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。
なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に係る収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く。)には、業務に係る雑所得(資産(山林を除く。)の譲渡から生ずる所得については、譲渡所得又はその他雑所得)に該当する ことに留意する。
※国税庁
副業が事業所得として認められるかどうかのポイントは2つです。
- 社会通念上事業と言えるものか
- 帳簿書類が保存されているか
社会通念上事業と言えるもので、帳簿書類が保存されていれば事業所得に該当します。
社会通念上事業と言えるかどうかについては、明確な基準があるわけではないので、重要になるのは「帳簿保存」の部分です。
原則として、収入金額に関わらず帳簿が保存されていれば事業所得して認められる可能性が高いです。
帳簿を見れば、その業務が事業なのかを判断することは難しくありません。
事業所得と業務に係る雑所得等の区分
収入金額 | 帳簿あり | 帳簿なし |
---|---|---|
300万円超 | 概ね事業所得 | 概ね業務に係る雑所得 |
300万円以下 | 業務に係る雑所得 |
収入金額が300万円以下でも、帳簿があれば事業所得として認められる可能性が高いです。
収入金額が300万円を超えていないと事業所得として認められなくなってしまうと、小規模な事業者は困ってしまいます。
帳簿書類が保存されている場合でも以下の場合は、事業として認められるかは個別に判断されます。
- その所得の収入金額が僅少と認められる場合
- その所得を得る活動に営利性が認められない場合
帳簿書類の保存義務
帳簿書類の保存義務については、国税庁の以下のページに書かれています。
2022年(令和4年)以降は、前々年分の業務にかかる雑所得の収入金額が300万円を超える場合には、現金預金取引等関係書類の保存が義務付けられました。
現金預金取引等関係書類とは、請求書や領収書などのうち、現金や預貯金の預入れ・払出し・引出しに際して作成されたものを指します。
副業収入が300万円以下の人については、帳簿の保存義務はありませんが、その場合は事業所得として認められないため、雑所得になります。
給与所得と事業所得がある場合の社会保険
日本では必ず何らかの健康保険に加入しなければならないことになっています。
会社員なら職場の健康保険に加入し、個人事業主(自営業)なら国民健康保険に加入するのが一般的です。
副業をしていて、給与所得と事業所得の2つがある人の健康保険の選択肢は3つあります。
- 会社の社会保険に加入
- 配偶者の社会保険の扶養に入る
- 自身で国民健康保険に加入
職場の社会保険に加入するには、労働時間や月給など一定の条件を満たす必要があります。
年収が130万円未満なら配偶者の社会保険の扶養に入れます。
①と②の条件を満たさない場合は、自身で国民健康保険・国民年金に加入します。この場合は、給与所得と事業所得を合算したものに対して保険料を計算するため、保険料が高くなる可能性があります。
社会保険の加入条件
正社員として働いている場合や、正社員の4分の3の労働時間や労働日数で勤務している場合は、社会保険に加入することになります。
パート・アルバイトなどの短時間労働者の社会保険の加入条件は以下のようになっています。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上
- 2か月を超える雇用の見込みがある(フルタイムで働く方と同様)
- 学生ではない
※2024年10月から従業員51人以上の企業に適用されます
50人未満の従業員数の会社については、強制加入の条件に該当しません。この場合は、配偶者の社会保険の扶養に入るか、自身で国民健康保険・国民年金に加入します。
事業所得と給与収入の税金計算
給与所得者が個人事業主として事業収入を得る場合、給与所得と事業所得を合算して税金を計算します。
青色申告と白色申告では、控除などの関係で課税所得の計算方法が異なります。
事業所得の計算
事業所得=事業収入-必要経費
事業収入から必要経費を引いたものが事業所得です。
必要経費とは、地代家賃、水道光熱費、旅費交通費、通信費、広告宣伝費などのことです。
自宅を事務所として利用する場合、自宅の使用割合によって家賃を按分して経費にすることができます。水道光熱費や通信費も同様です。
青色申告の場合は、家族への給与を経費にすることができます。白色申告では、家族への給与を経費にできませんが、一定額を控除できる事業専従者控除があります。
青色申告特別控除
青色申告している人は、青色申告特別控除が受けられます。10万円、55万円、65万円のいずれかの控除が受けられます。計算ツールでは、65万円で計算しています。
最大で65万円の控除を受けるには、「複式簿記で記帳している」、「貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付している」などの条件があります。
詳しくは、国税庁の「青色申告特別控除」をご覧ください。
白色申告の場合は、特別控除が受けられないことに加え、家族への給与を経費にすることができません。事業専従者控除はありますが、配偶者や同一生計の家族を従業員として雇うのであれば青色申告をするのがおすすめです。
給与所得の計算
給与所得=給与収入-給与所得控除
給与収入から給与所得控除を差し引いたものが給与所得です。給与には月給と賞与が含まれます。
給与所得控除の金額は以下のとおりです。
給与所得控除
給与等の収入金額(A) | 給与所得控除額 |
---|---|
~1,625,000円 | 550,000円 |
1,625,001円~1,800,000円 | (A)×40%-100,000円 |
1,800,001円~3,600,000円 | (A)×30%+80,000円 |
3,600,001円~6,600,000円 | (A)×20%+440,000円 |
6,600,001円~8,500,000円 | (A)×10%+1,100,000円 |
8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) |
給与所得控除の最低額は55万円で、所得税には基礎控除48万円があるので、合計した103万円までは所得税がかかりません。
課税所得の計算
課税所得=合計所得-各種所得控除
事業所得と給与所得を合計したものが合計所得です。合計所得から各種所得控除を差し引いたものが課税所得になります。
各種所得控除とは、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除、生命保険料控除などのことです。
配偶者控除は、納税者本人の年収や配偶者の収入に応じて金額が変わります。配偶者の所得が48万円を超えると配偶者特別控除の対象になります。
所得税の計算
所得税=課税所得×所得税-控除額
事業所得と給与所得から各種所得控除を差し引いたものが課税所得です。
課税所得に所得税率を掛けて控除額を引いたものが所得税になります。
所得税は超過累進課税のため計算が難しく、速算表を使って算出するのが一般的です。
所得税の速算表
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円~1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円~ | 45% | 4,796,000円 |
住民税の計算
住民税=課税所得×所得割10%+均等割
住民税の所得割は、全国一律で10%です。都道府県民税が4%、市区町村民税が6%の合計10%です。
個人事業税の計算
一定以上の事業所得がある場合は、個人事業税が課されます。
個人事業税=事業所得-各種控除×税率
個人事業税の計算式にある各種控除は、所得控除のことではありませんが、事業主控除として290万円があります。
事業主控除 | 290万円 |
青色事業専従者給与 | 全額 |
白色事業専従者控除 | 配偶者86万円、それ以外は1人50万円 |
損失の繰越控除 | 事業所得の赤字の繰越(最大3年間) |
事業所得が290万円以下なら個人事業税はかかりません。
家族への給与(青色事業専従者給与)を支払っている場合は、「290万円+家族への給与」を超える事業所得がなければ個人事業税はかかりません。
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株式会社アルビノ代表取締役。ファイナンシャルプランナー。埼玉県飯能市出身、1978年12月25日生。趣味は登山。Webライター歴23年。 個人で自動車ローンや住宅ローンを利用したことがあり、起業してからは法人で銀行融資や日本政策金融公庫の一般貸付、マル経融資でお金を借りた経験があります。 株式投資歴は20年以上で、現在は個別株投資やベンチャー投資をしつつ、NISAつみたて投資枠でオルカン、S&P500、日経225に投資しています。 FP技能士、宅地建物取引士、日商簿記検定、証券外務員の資格を保有。