パート・アルバイトなどの収入がある個人事業主の税金が計算できるシミュレーションツールです。
給与を受け取っている職場では社会保険に加入せず、自身で国民健康保険や国民年金に加入する場合を想定しています。
職場で社会保険に加入している方は、タブを切り替えて給与収入(社保)の方で計算してください。
青色申告特別控除は65万円で計算しています。
給与を支払う家族は事業専従者の届け出を出しているものとして計算しています。
国民健康保険料は東京都品川区の保険料率をもとに計算しています。
個人事業税は5%で計算しています。
手取り額は収入から経費、税金、保険料を差し引いた金額です。
免責事項
本計算ツールは、簡易的な方法で算出しているため正確な金額ではありません。
本計算ツールを利用した結果により生じた損害、損失、不利益等に対し、当社はいかなる責任も負いません。
正確な金額については、日本年金機構、税務署、全国健康保険協会、税理士、社会保険労務士、公認会計士、弁護士などにご相談ください。
給与と事業収入がある人の社会保険の選択肢
日本では、必ず何らかの健康保険に加入しなければならないことになっています。年金保険料の支払いも義務です。
給与収入と事業収入がある人の場合、健康保険と年金の加入方法はいくつか選択肢があります。
- 職場の社会保険に入る
- 国民健康保険・国民年金に入る
- 配偶者の社会保険の扶養に入る
年収が130万円以上になると、配偶者の社会保険の扶養から外れるため、職場の社会保険に入るか、国民健康保険に入ることになります。
短時間労働者の社会保険の加入条件
パート・アルバイトなどの短時間労働者の社会保険の加入条件は以下のようになっています。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上
- 2か月を超える雇用の見込みがある(フルタイムで働く方と同様)
- 学生ではない
※2024年10月から従業員51人以上の企業に適用されます
従業員数の条件に満たない小さな会社で働いている人は、強制加入ではなく任意加入になります。
そういった会社では、業績が良くないとパート・アルバイトの社会保険の加入は認めていないかもしれません。
勤め先にお願いしても社会保険に入れない場合は、自身で国民健康保険に加入します。自身で加入する場合は、全額自己負担となるため保険料が高くなります。
職場の社会保険に加入する場合、給与や賞与に対して保険料が決まるため、個人事業主としての収入が増えても保険料は変わりません。
国民健康保険に加入する場合、給与所得(バイト収入)と事業所得を合算した額に対して保険料が計算されるため、どちらの収入が増えても保険料は上がります。
会社員と個人事業主の社会保険を比較
会社員 | 個人事業主 | |
---|---|---|
保険 | 社会保険 | 国民健康保険 |
年金 | 厚生年金 | 国民年金 |
出産手当金 | あり | なし |
傷病手当金 | あり | なし |
保険料の基準 | 標準報酬月額 | 前年の所得 |
支払い方法 | 給与から天引き | 自身で支払う |
標準報酬月額とは、4月~6月の給与の平均額のことです。(標準報酬月額の計算ツール)
社会保険でも国民健康保険でも、40歳になったら介護保険に加入することになります。
社会保険では、40歳~64歳の方は会社の健康保険に介護保険分が追加され、毎月の給与や賞与から天引きされます。
国民健康保険では、40歳~64歳の方は介護保険の第2号被保険者となり、国民健康保険料の医療分、介護分、後期高齢者支援金分を合算して徴収されます。65歳以上では、国民健康保険と別で介護保険料を支払います。
75歳以上になると、後期高齢者医療制度へ加入することになり、健康保険料と介護保険料を支払います。
バイト収入と事業所得の税金計算
バイト収入と事業収入がある場合、給与所得と事業所得を合算して合計所得を算出し、税金を計算することになります。
給与収入には給与所得控除があるので、年収が55万円以下なら給与所得は0円になります。
給与所得控除の55万円と基礎控除48万円を足した年収103万円以下なら税金はかかりませんが、国民健康保険や国民年金は年収103万円以下でも発生します。
事業所得の計算
事業所得=事業収入-必要経費
青色申告の場合は、家族への給与を経費にすることができます。白色申告の場合は、家族への給与を経費にできませんが、一定額を控除できる事業専従者控除があります。
事業収入400万円、必要経費100万円の場合
400万円-100万円-65万円=235万円(事業所得)
青色申告者で事業収入が300万円だった場合、青色申告特別控除が最大65万円あるので、事業所得は235万円になります。
白色申告の場合は65万円の控除がありません。青色申告を利用するには、複式簿記で帳簿を付ける必要があります。自身でやることもできますが、税理士に確定申告のみを依頼した場合は、10万円以下が相場なので、それほど高額ではありません。
給与所得の計算
給与所得=給与収入-給与所得控除
給与収入から給与所得控除を差し引いたものが給与所得です。
給与所得控除
給与等の収入金額(A) | 給与所得控除額 |
---|---|
~1,625,000円 | 550,000円 |
1,625,001円~1,800,000円 | (A)×40%-100,000円 |
1,800,001円~3,600,000円 | (A)×30%+80,000円 |
3,600,001円~6,600,000円 | (A)×20%+440,000円 |
6,600,001円~8,500,000円 | (A)×10%+1,100,000円 |
8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) |
パートやアルバイトの収入では、年収162.5万円以下になることが多いと思います。この場合は給与所得控除が55万円です。
年収103万円の場合
103万円-55万円=48万円(給与所得)
年収103万円以下に抑えている人も多いと思いますが、年収103万円だと、給与所得は基礎控除と同額の48万円になります。
合計所得の計算
合計所得=給与所得+事業所得
給与収入から給与所得控除を引いた給与所得と、事業収入から必要経費を引いた事業所得を足したものが合計所得です。
雑所得や不動産所得などがある場合は、それらの所得も合算します。
合計所得金額とは、給与所得、事業所得、不動産所得、雑所得、配当所得などを合計した金額のことです。
総所得金額とは、合計所得金額から、純損失または雑損失等の繰越控除を適用した後の合計所得のことです。
普段の生活であまり触れる機会はないと思いますが、2つ以上の所得がある場合は、合計所得金額で所得税や住民税を計算することになります。
事業所得が赤字の場合は損益通算できる
事業所得は損益通算できる所得なので、事業所得がマイナスになった場合は、給与所得などと損益通算することができます。
事業所得が100万円の損失、給与所得200万円の場合
200万円-100万円=100万円(合計所得)
副業収入が事業所得にあたるか雑所得にあたるかは、事業の実態と帳簿の有無などで判断されます。
詳しくは、「事業所得に該当する副業とは」をご覧ください。
帳簿を保存している場合は、多くのケースで事業所得して認められます。帳簿がない場合は雑所得になる可能性が高いです。
雑所得は損益通算できない所得なので、赤字になったとしても給与所得などから差し引くことはできません。
雑所得が100万円の損失、給与所得200万円の場合
200万円+0円=100万円(合計所得)
雑所得がプラスなら給与所得と合算した金額が合計所得となりますが、雑所得がマイナスの場合は、給与所得がそのまま合計所得になります。
課税所得の計算
課税所得=合計所得-各種所得控除
合計所得から各種所得控除を差し引いたものが課税所得になります。
各種所得控除とは、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除、生命保険料控除などのことです。
各種控除額
主な控除 | 控除額 |
---|---|
社会保険料控除 | 健康保険、介護保険、年金保険の保険料 |
配偶者控除 | 最大38万円(70歳以上は最大48万円) |
扶養控除 | 38万円 |
特定扶養親族 | 63万円 |
老人扶養控除 | 58万円(非同居は48万円) |
基礎控除 | 48万円 |
生命保険料控除 | 最大12万円 |
地震保険料控除 | 最大5万円 |
医療費控除 | 支払った医療費-10万円 |
配偶者の所得が48万円を超えると配偶者特別控除が適用され、配偶者特別控除は所得95万円以下で38万円の控除にあります。
70歳未満の方については、所得が48万円でも95万円でも控除額は変わりません。給与収入なら年収150万円までは満額の控除が受けられます。所得が95万円を超えると段階的に控除額が減額されます。
医療費控除は所得200万円未満の場合は、「支払った医療費-所得の5%」が控除額になります。
所得税の計算
所得税=課税所得×所得税-控除額
課税所得に所得税率を掛けて控除額を引いたものが所得税になります。
所得税の速算表
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円~1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円~ | 45% | 4,796,000円 |
住民税の計算
住民税=課税所得×所得割10%+均等割
住民税の課税所得も所得税と同じように計算しますが、配偶者控除や扶養控除などの金額が、所得税と住民税では異なるため、全く同じ課税所得になるわけではありません。
住民税の所得割は、全国一律で10%です。都道府県民税が4%、市区町村民税が6%の合計10%です。
個人事業税の計算
事業所得が290万円を超える場合には、個人事業税が課されます。
個人事業税=事業所得-各種控除×税率
個人事業税を計算する際の事業所得は、事業収入から必要経費を差し引いたものです。
各種控除は、所得控除のことではなく、以下の控除のことを指します。
事業主控除 | 290万円 |
青色事業専従者給与 | 全額 |
白色事業専従者控除 | 配偶者86万円、それ以外は1人50万円 |
損失の繰越控除 | 事業所得の赤字の繰越(最大3年間) |
この計算においては、青色申告特別控除は含まれませんが、青色申告者の家族への給与は青色事業専従者給与として全額控除されます。
事業主控除が290万円あるおかげで、事業所得が290万円以下なら個人事業税はかかりません。
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株式会社アルビノ代表取締役。ファイナンシャルプランナー。埼玉県飯能市出身、1978年12月25日生。趣味は登山。Webライター歴23年。 個人で自動車ローンや住宅ローンを利用したことがあり、起業してからは法人で銀行融資や日本政策金融公庫の一般貸付、マル経融資でお金を借りた経験があります。 株式投資歴は20年以上で、現在は個別株投資やベンチャー投資をしつつ、NISAつみたて投資枠でオルカン、S&P500、日経225に投資しています。 FP技能士、宅地建物取引士、日商簿記検定、証券外務員の資格を保有。