不動産所得の税金が計算できるシミュレーションツールです。
家賃や共益費、更新料などの不動産収入は不動産所得の対象です。一般的に不動産投資と呼ばれるものは不動産所得に該当します。
建物や土地を売るときは譲渡所得となります。不動産売却については、不動産売却の税金シミュレーションをご利用ください。
社会保険料は令和6年度の保険料率をもとに計算しています。
免責事項
本計算ツールは、簡易的な方法で算出しているため正確な金額ではありません。
本計算ツールを利用した結果により生じた損害、損失、不利益等に対し、当社はいかなる責任も負いません。
正確な金額については、日本年金機構、税務署、全国健康保険協会、税理士、社会保険労務士、公認会計士、弁護士などにご相談ください。
不動産所得の税金の計算方法
不動産所得=総収入金額-必要経費
家賃や共益費など不動産の貸付によって得た収入が総収入金額です。不動産所得を得るために支出した金額が必要経費になります。
総収入金額から必要経費を差し引いたものが不動産所得です。
不動産所得とは、不動産の貸付によって得た所得のことで、不動産の売却によって得た所得は譲渡所得に分類されます。
不動産所得は、給与所得や事業所得と合算して合計所得を算出し、税金を計算します。不動産の貸し付けを事業的規模で行っている場合は事業所得になります。
総収入金額よりも必要経費の多い場合は不動産所得がマイナスになります。不動産所得の赤字は、他の所得と損益通算できるので、黒字の給与所得や事業所得がある場合は、不動産所得の赤字を差し引くことができます。
総収入金額を算出する
- 家賃、共益費、駐車場代、更新料、頭金など
- 名義書換料、承諾料
- 敷金、礼金、保証金などのうち返還しないもの
不動産所得の収入は、家賃や共益費、更新料などが中心になりますが、賃貸する上で得たものは基本的に収入に含まれます。
敷地内に設置した自販機の収入、携帯電話のアンテナ基地設置による収入、共同テレビの電柱設置による収入なども不動産所得の収入になります。
敷金や保証金のうち返還するものは預り金となるため収入にはなりません。
必要経費を算出する
- 減価償却費、修繕費、水道光熱費、広告宣伝費
- 不動産取得税、登録免許税、固定資産税、印紙税、事業税
- 損害保険料
- 借入金の利息
- 地代家賃
- 管理費、業務委託料
- 事業専従者給与(青色申告する場合)
不動産所得が事業的と判断される場合は青色申告の対象となります。青色申告では配偶者や家族などを雇い、給与を支払ったときに事業専従者給与として経費にすることができます。
所得税を計算する
所得税=合計所得-各種控除×所得税率-控除額
不動産所得と他の所得を合計し、各種控除を差し引いたものが課税所得です。
各種控除とは、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除などのことです。生命保険料や地震保険料、10万円を超える医療費を支払っていればそれらの控除も受けられます。
課税所得に応じた所得税率を掛けて控除額を引いたものが支払う所得税になります。所得税の税率や控除額は課税所得によって変わります。
日本の所得税は超過累進課税となっており、速算表を使って計算するのが一般的です。
税率は5%~45%で、課税所得金額が4,000万円以上のときに最も税率が高くなります。
平成25年から令和19年までは、東日本大震災の復興のために使われる復興特別所得税がかかります。基準所得税額の2.1%です。
住民税を計算する
住民税=合計所得-各種控除×所得割10%+均等割
住民税は所得割と均等割に分かれており、所得割の税率は10%です。内訳は、道府県民税が4%、市町村民税が6%です。
均等割は、市区町村によって金額は異なりますが、5,000円~6,000円です。
住民税を計算する際にも合計所得から各種控除が差し引かれますが、所得税の控除額とは異なる金額になっています。
給与が少なくても不動産所得が多ければ住民税の金額は増えます。翌年の住民税に影響するので、不動産所得がある人は住民税の支払いに注意してください。
社会保険料を計算する
サラリーマンの社会保険料(厚生年金保険、健康保険、介護保険、雇用保険)は標準報酬月額によって決まるため、不動産所得があることで所得が増えても社会保険料が増えることはありません。
個人事業主の社会保険料(国民健康保険、介護保険)は、所得によって決まるため、不動産所得によって所得が増えると社会保険料も増えることになります。
国民健康保険料には限度額がありますが、不動産所得や雑所得など、事業所得とは別の所得が増えたときに、健康保険料のことを忘れている人も多いので注意しましょう。
計算ツールでは、不動産所得が増えると、国民健康保険料も自動的に増額されるようになっています。
不動産所得の確定申告
会社員などの給与所得者で、不動産所得が年間20万円を超える場合には、確定申告が必要です。
不動産所得以外の所得がある場合は、不動産所得とその他の所得(給与所得除く)の合計額が20万円を超える場合に確定申告が必要になります。
- 給与所得者で年収が2,000万円を超えている
- 2箇所以上から給与を得ている
- 給与所得者で不動産所得が20万円を超えている
- 給与所得者以外で不動産所得が48万円を超えている
不動産所得の青色申告
不動産所得が事業的規模と認められる場合は、青色申告が受けられるます。必要経費として計上できる範囲が広がったり、65万円の特別控除が受けられるなどのメリットがあります。
不動産所得が事業として認められるには、原則として社会通念上、事業といえる規模である必要があります。
事業的規模と判断される基準は以下のようになっています。
- アパートやマンション10室以上
- 戸建ての貸家5棟以上
- 駐車場50台以上
あくまで基準なので、これらの規模以下の取り扱いでも、賃料収入の規模が大きいなどの理由で事業として認められる可能性はあります。
詳しくは、国税庁の「事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分」をご覧ください。
不動産所得が事業的規模と判断されることで、個人事業主と同様に個人事業税の支払いが発生します。複式簿記での帳簿が必要になるなどのデメリットもあるので、わからないときは税理士や公認会計士などに相談してみてください。
不動産所得は損益通算できる
総収入金額から必要経費を引いた不動産所得が赤字になったときは、他の黒字の所得と損益通算することができます。
全ての所得が赤字になったときに損益通算できるわけではなく、できる所得とできない所得があります。
損益通算できる | 不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得 |
損益通算できない | 配当所得、給与所得、一時所得、雑所得の損失、利子所得、退職所得 |
損益通算できる所得は、頭文字を取って「不事山譲(富士山上)」で憶えておくと便利です。
配当所得、給与所得、一時所得、雑所得は赤字があっても0と見なされるため、他の種類の所得と損益通算できません。利子所得や退職所得は赤字になることがないので損益通算の対象外です。
不動産所得の赤字は他の所得と損益通算できるので、不動産所得の赤字と給与所得は損益通算できます。ただし、損失の内容によっては損益通算が認められない場合があるので注意しましょう。
詳しくは、国税庁の「不動産所得が赤字のときの他の所得との通算」をご覧ください。
譲渡所得に該当する土地建物等、申告分離課税の株式等、別荘やゴルフ会員権等は、赤字になっても他の所得と損益通算できません。
雑所得の損失は損益通算できないので、仮想通貨やFXで損失が出ても、給与所得や事業所得と損益通算することはできません。
総合課税と分離課税
日本の所得税の課税方式は、総合課税と分離課税の2種類があります。
総合課税 | 他の所得と合算した合計所得に対して所得税を課税 |
分離課税 | 他の所得とは分離して所得税を課税 |
給与所得、事業所得、不動産所得などは総合課税です。
上場株式の売却益、国内FX、先物取引、オプション取引などが分離課税です。分離課税は、源泉分離課税と申告分離課税に分かれます。
総合課税になる所得
- 給与所得
- 事業所得(株式等の譲渡による所得を除く)
- 不動産所得
- 譲渡所得
- 雑所得(副業、年金、仮想通貨、海外FX)
- 一時所得(公営ギャンブルの払戻金)
- 利子所得、配当所得(源泉分離課税分を除く)
これらの所得は合算して所得税が課税されます。
総合課税の所得税
総合課税の所得税率は速算表で計算するのが一般的で、課税所得金額に応じて5%~45%の税率となっています。
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円~1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円~ | 45% | 4,796,000円 |
給与所得、事業所得、不動産所得、雑所得などの所得税を計算するときはこの速算表を使います。
分離課税になる所得
分離課税は、申告分離課税と源泉分離課税の2種類があります。
源泉分離課税 | 所得税が源泉徴収される。確定申告しなくてもよい。 |
申告分離課税 | 確定申告することで納税額が決まる。 |
株式の特定口座(源泉あり)や、譲渡所得、配当所得、利子所得などが源泉分離課税です。
株式の特定口座(源泉なし)や一般口座は、源泉徴収されていないので確定申告する必要があります。
配当所得や利子所得は、源泉分離課税と申告分離課税が選択できるようになっています。
国内FX、先物取引、オプション取引、CFD取引などが申告分離課税です。
分離課税の税率
株式、FX、先物取引など | 所得税:15.315% 住民税:5% |
配当所得、利子所得 | 所得税:15.315% 住民税:5% |
不動産の売却(長期譲渡所得) | 所得税:15.315% 住民税:5% |
不動産の売却(短期譲渡所得) | 所得税:30.63% 住民税:9% |
不動産を売却した時の譲渡所得は、所有期間が5年超なら長期譲渡所得となり税率は20.315%ですが、所有期間が5年以下だと短期譲渡所得となり、税率が39.63%になります。
分離課税は、所得額に関わらず同じ税率になるので、所得額が大きい場合は総合課税よりも有利な税率になります。逆に所得額が少ない場合は不利な税率になります。
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株式会社アルビノ代表取締役。ファイナンシャルプランナー。埼玉県飯能市出身、1978年12月25日生。趣味は登山。Webライター歴23年。 個人で自動車ローンや住宅ローンを利用したことがあり、起業してからは法人で銀行融資や日本政策金融公庫の一般貸付、マル経融資でお金を借りた経験があります。 株式投資歴は20年以上で、現在は個別株投資やベンチャー投資をしつつ、NISAつみたて投資枠でオルカン、S&P500、日経225に投資しています。 FP技能士、宅地建物取引士、日商簿記検定、証券外務員の資格を保有。