東京都に事業所を置く企業の法人税が計算できるシミュレーションツールです。
法人税、地方法人税、法人事業税、特別法人事業税、法人住民税の金額がわかります。資本金1億円超の企業が対象になる外形標準課税にも対応しています。
タブを切り替えると個人事業主(青色申告・白色申告)の税金も計算できます。
法人事業税、法人住民税は東京都の税率で計算しています。
免責事項
本計算ツールは、簡易的な方法で算出しているため正確な金額ではありません。
本計算ツールを利用した結果により生じた損害、損失、不利益等に対し、当社はいかなる責任も負いません。
正確な金額については、日本年金機構、税務署、全国健康保険協会、税理士、社会保険労務士、公認会計士、弁護士などにご相談ください。
ざっくり法人税を計算したい時
法人税をざっくりとした金額で知りたいときは、以下の計算式を使うと便利です。
法人税額=税引き前当期純利益×実行税率
消費税を除く、「法人税、地方法人税、事業税、住民税」を合計した金額です。
実効税率は、事業所の所在地や企業の形態などによって変わります。
東京都に事業所を置く企業の2024年度の実効税率は以下のようになっています。
企業の形態 | 実効税率 |
---|---|
大企業(資本金1億) | 30.62% |
中小企業 | 33.58% |
中小企業(所得2500万円以上または収益2億円以上) | 34.59% |
法人税の種類
- 法人税(国税)
- 地方法人税(国税)
- 法人事業税(地方税)
- 法人住民税(地方税)
法人税の種類の中に法人税という名の税金があるのでややこしいですが、地方法人税や法人事業税、法人住民税なども法人税の一種です。
地方法人税は、2014年度の税制改正で創設されたものです。地域ごとの税収のばらつきをなくすために、地方自治体に納めていた地方税の一部を国に納め、国から地方自治体に地方交付税を交付する仕組みになりました。
会社が支払う税金では、他にも「消費税、固定資産税、源泉徴収税」などがあります。
課税所得の計算方法
法人税は課税所得をもとに計算します。
課税所得=益金-損金
課税所得は、会計上は税引前利益と呼ばれるものですが、課税所得と利益は同じものではありません。
一般的な会話の中では、課税所得が利益、益金が収益、損金が費用と置き換えることもできますが、会計や税務においては「課税所得≠利益」「益金≠収益」「損金≠費用」ということになります。
益金=会計上の収益+益金算入項目-益金不算入項目
損金=会計上の費用+損金算入項目-損金不算入項目
益金とは、商品やサービスの売上に対する報酬のことで、一般的に収益と呼ばれているものです。本業の収益だけではなく、固定資産や有価証券の売却益なども含まれます。
収益は会計上の言葉で、益金は税務上の言葉です。会計上は収益になるが、税務上は益金にならないものもあります。
会計上は収益に計上しないが、税務上は益金に計上するものを「益金算入」と言います。逆に税務上は益金に計上しないものは「益金不算入」と言います。
損金とはいわゆる費用のことですが、すべての費用が損金として認められるわけではありません。
会計上は費用に計上するが、税務上は損金に計上しないものを「損金不算入」と言います。交際費や役員報酬などは損金不算入です。逆に税務上は損金に計上するものは「損金算入」と言います。
繰越欠損金
前期以前に発生した赤字を今期以降の利益から控除できる制度が繰越欠損金です。
繰越欠損金は損金に含めますが、大企業は全額を損金にできないため、計算ツールでは損金と別に入力項目を設けています。
繰越欠損金が繰り越せる期間は10年です。(平成30年4月1日以前に開始した事業年度の繰越期間は9年)
繰越欠損金は、最も古い事業年度のものから損金に参入していきます。繰越欠損金がいつの年度に発生したかによって繰り越せる期間が異なります。
年度 | 繰越欠損金 | 課税所得 |
---|---|---|
2021 | 500万円 | 0円 |
2022 | 1,000万円(合計1,500万円) | 0円 |
2023 | 1,200万円(合計2,700万円) | 0円 |
2024 | 500万円(合計3,200万円) | 0円 |
2025 | 1,700万円繰越 | 1,500万円-1,500万円=0円 |
2026 | 0円 | 2,000万円-1,700万円=300万円 |
4年連続赤字で繰越欠損金の合計額が3,200万円です。2025年度に1,500万円の利益が出ていますが、過去の繰越欠損金と相殺できるため課税所得が0円になり、残りの1,700万円は翌期に繰り越され、2026年度に繰越欠損金がなくなりました。
資本金1億円以下の企業は、繰越欠損金の全額が繰り越せますが、資本金1億円超の大企業は繰越控除前の所得金額の50%が上限となります。
開始事業年度 | 控除限度額 |
---|---|
平成30年4月1日以降 | 50% |
平成29年4月1日~平成30年3月31日 | 55% |
平成28年4月1日~平成29年3月31日 | 60% |
平成27年4月1日~平成28年3月31日 | 65% |
平成24年4月1日~平成27年3月31日 | 80% |
大企業における繰越欠損金の控除限度額は何度も見直されており、現在は50%となっています。
コロナ禍で発生した繰越欠損金は、控除上限額が最大100%に拡大されています。(繰越欠損金の控除上限の特例)
法人税の計算方法
法人税は、法人が事業活動によって得た所得に対して課される税金です。
法人税額=課税所得×税率-税額控除額
課税所得は、さきほど説明した通り「益金-損金」で算出します。
法人税の税率
法人税の税率は法人の種類や所得によって変わります。普通法人の税率は以下のようになっています。
区分 | 所得 | 税率 |
---|---|---|
資本金1億円以下 | 年800万円以下の部分 | 15% |
年800万円超の部分 | 23.2% | |
上記以外の普通法人 | 23.2% |
適用除外事業者の場合は、年800万円以下の部分が19%になります。適用除外事業者とは、前3年の事業年度の所得金額の平均が15億円を超える法人のことです。
公益社団法人、公益財団法人、非営利型法人などの場合は税率が異なります。
区分 | 所得 | 税率 |
---|---|---|
資本金1億円以下 | 800万円以下の部分 | 15% |
800万円超の部分 | 19% | |
公益社団法人 公益財団法人 非営利型法人など | 800万円以下の部分 | 15% |
800万円超の部分 | 23.2% |
税額控除額
法人税額から控除されるものは、以下のようなものがあります。
- 所得税額の控除(預金利息や受取配当金)
- 外国税額の控除(外国で生じた外国税額)
- 租税特別措置法上の控除
地方法人税の計算方法
地方法人税額=法人税額×税率(10.3%)
地方法人税は、法人税額に10.3%の税率を掛けて算出します。
"地方"法人税という名前が付いているので、地方自治体に支払う税金のように感じますが、国税です。
地方法人税は、令和元年9月までは4.4%でした。令和元年10月に税率が5.9ポイント上がり10.3%になりましたが、同時に法人住民税の税率が5.9ポイント引き下げられました。
法人事業税の計算方法
法人事業税は、法人が行う事業に対する課税です。
法人事業税=課税所得×税率
法人事業税は、資本金、所得、売上(収益)などによって適用される税率が変わります。
法人事業税の税率
資本金1億円以下の普通法人の東京都の法人事業税の税率は以下のようになっています。普通法人は所得割のみです。
区分 | 所得 | 標準税率 | 超過税率 |
---|---|---|---|
所得割 軽減税率適用 | 400万円以下の部分 | 3.5% | 3.75% |
400万円超800万円以下の部分 | 5.3% | 5.665% | |
800万円超の部分 | 7.0% | 7.48% | |
所得割 軽減税率不適用 | 7.0% | 7.48% |
軽減税率適用の企業は、800万円以下の部分と800万円超の部分で税率が異なります。
軽減税率不適用の企業は、所得にかかわらず同じ税率になります。
標準税率は全国一律ですが、超過税率は都道府県によって異なり、超過税率が適用される条件もそれぞれ異なります。
標準税率と超過税率の判定
区分 | 税率 |
---|---|
資本金額等が1億円超の法人 | 超過税率 |
資本金額等が1億円以下かつ所得が2,500万円超または収入が2億円超の法人 | 超過税率 |
それ以外の法人 | 標準税率 |
資本金額等が1億円超の企業は、外形標準課税法人の超過税率が適用されます。
資本金額等が1億円以下かつ所得が2,500万円超または収入が2億円超の企業は、普通法人の超過税率が適用されます。
それ以外の企業は標準税率になります。
軽減税率の判定
区分 | 軽減税率 |
---|---|
外形標準課税法人 | 不適用 |
資本金額等が1,000万円以上かつ事業所等がある都道府県が3以上 | 不適用 |
それ以外の法人 | 適用 |
外形標準課税法人
資本金が1億円超の企業は外形標準課税法人となり、資本金が1億円以下の企業とは異なる税率になります。外形標準課税とは、事業規模に応じて負担する税金のことです。
外形標準課税では、所得割の他に付加価値割と資本割もあるため、事業が赤字でも税金が発生します。軽減税率はありません。
区分 | 超過税率 |
---|---|
所得割 | 1.18% |
付加価値割 | 1.26% |
資本割 | 0.525% |
所得割=課税所得×所得割の税率
所得割は、普通法人の計算式と同じです。税率は低くなります。
付加価値割=(収益配分額+単年度損益)×付加価値割の税率
付加価値割は、「収益配分額」と「単年度損益」が課税の対象になります。
収益配分額とは、「報酬給与額+純支払利子+純支払賃借料」のことで、単年度損益とは、繰越欠損金控除前の法人事業税の所得金額(益金-損金)のことです。
資本割=資本金などの額×資本割の税率
資本割は、「資本金等の金額」が課税の対象になります。
付加価値割と資本割がある関係で、所得割の税率は普通法人の事業税の税率よりも低くなっています。
詳しくは、東京都主税局の「法人事業税に係る外形標準課税の概要」をご覧ください。
法人事業税の区分
計算ツールでは普通法人の計算方法を採用していますが、法人事業税の税率は法人区分によって異なります。
区分 | 対象法人 | 税金の種類 |
---|---|---|
1号 | 普通法人、協同組合、医療法人、公益法人、投資法人等 | 所得割 |
2号 | 電気供給業、ガス供給業、保険業、貿易保険業 | 収入割 |
3号 | 小売電気事業等、発電事業等、特定卸供給事業 | 収入割+所得割 |
4号 | 特定ガス供給業 | 収入割+付加価値割+資本割 |
特別法人事業税の計算方法
特別法人事業税=法人事業税の所得割×税率
特別法人事業税は、法人事業税の所得割(収入割)に税率を掛けて算出します。
税率は法人の種類や資本金の額によって変わります。
特別法人事業税の税率
課税標準 | 法人の種類 | 税率 |
---|---|---|
基準法人所得割額 | 外形標準課税法人・特別法人以外の法人 | 37% |
外形標準課税法人 | 260% | |
特別法人 | 34.5% | |
基準法人収入割額 | 小売電気事業等、発電事業等、特定卸供給事業*又は特定ガス供給業を行う法人以外の法人 | 30% |
小売電気事業等、発電事業等又は特定卸供給事業*を行う法人 | 40% | |
特定ガス供給業を行う法人 | 62.5% |
普通法人の場合は、法人事業税の所得割の37%が税額になります。
外形標準課税法人は、法人事業税の所得割の税率が低いため、特別法人事業税の税率は高くなっています。
基準法人所得割額とは、標準税率で計算した法人事業税の所得割額のことです。法人事業税で超過税率が適用された場合でも特別法人事業税を算出する際の所得割額は標準税率で計算します。
特別法人事業税ができた経緯
特別法人事業税は、地方の税源の偏りを小さくすることを目的に、法人事業税の一部を切り離す形で導入されたものです。法人事業税の所得割・収入割の税率を引き下げ、新たに特別法人事業税が創設されました。
特別法人事業税は国税で、国が徴収した特別法人事業税を都道府県に再分配することで、地方間の税収偏在を是正しました。
令和元年10月1日以後に開始する事業年度から適用され、その際に地方法人特別税は廃止されました。
法人事業税の納付義務がある法人は、特別法人事業税についても納付義務があります。
特別法人事業税を法人事業税の一部と考えることもできますが、計算ツールではそれぞれの税額を分けて表示しています。
法人住民税の計算方法
法人住民税は、個人の住民税と同様に、事業所がある都道府県及び市町村に納める税金です。
法人住民税は、法人税割と均等割の2つを足した金額になります。均等割は課税所得に関わらず発生します。
法人税割の税率
法人住民税(法人税割)=法人税額×税率(7.0%)
税率の内訳は都道府県が1.0%、市町村が6.0%ですが、東京23区では都と区の合計7%を都に支払うことになっています。
都民税の税率は以下のようになります。
区分 | 標準税率 | 超過税率 |
---|---|---|
23区内に事務所等がある | 7.0% | 10.4% |
市町村に事務所等がある | 1.0% | 2.0% |
市町村に事務所等がある企業は、1.0%を都に支払い、残りの6.0%は市町村に支払います。
均等割の税額
法人住民税の均等割の金額は以下のようになります。事業所が東京23区内に1つある場合の金額です。
資本金等 | 主たる事業所 | 従たる事業所 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 70,000円 | 50,000円 |
140,000円 | 120,000円 | |
1,000万円超1億円以下 | 180,000円 | 130,000円 |
200,000円 | 150,000円 | |
1億円超10億円以下 | 290,000円 | 160,000円 |
530,000円 | 400,000円 | |
10億円超50億円以下 | 950,000円 | 410,000円 |
2,290,000円 | 1,750,000円 | |
50億円超 | 1,210,000円 | 410,000円 |
3,800,000円 | 3,000,000円 |
上段が従業員数が50人以下で、下段が従業員数が50人超の場合の税金額です。
-
株式会社アルビノ代表取締役。ファイナンシャルプランナー。埼玉県飯能市出身、1978年12月25日生。趣味は登山。Webライター歴23年。 個人で自動車ローンや住宅ローンを利用したことがあり、起業してからは法人で銀行融資や日本政策金融公庫の一般貸付、マル経融資でお金を借りた経験があります。 株式投資歴は20年以上で、現在は個別株投資やベンチャー投資をしつつ、NISAつみたて投資枠でオルカン、S&P500、日経225に投資しています。 FP技能士、宅地建物取引士、日商簿記検定、証券外務員の資格を保有。