この春長女が高校生になり、児童手当の支給が終了したとの通達が届きました。そういえば児童手当は、高校生になるともらえない手当だったと再認しました。
15年間児童手当の支給を受け、18歳までの医療費は市が負担してくれるので、子育て世帯の我が家は本当に助かっています。
子どもがいる世帯には、国や地方自治体が様々な手当や助成で支援してくれます。子どもが受けられる手当・助成の種類や内容、対象者などを詳しくご紹介します。
子どもの手当・助成の種類
子どもや子どもを養育している親が受けられる手当・助成は、以下の通りです。
子どもの手当・助成 | 支給対象等 |
---|---|
児童手当 | 中学修了までの児童を養育している方 |
子ども医療費助成 | 0歳から中学生まで |
ひとり親等の手当・助成 | |
児童扶養手当 | 18歳までの児童を監護しているひとり親または養育している方 |
ひとり親家庭等医療費助成 | 18歳未満の子がいるひとり親家庭の親又は子 |
障がい児等の手当・助成 | 支給対象者 |
特別児童扶養手当 | 精神又は身体に障害を有する児童を養育している方 |
障害児福祉手当 | 20歳未満の重度障害児 |
特別障害者手当 | 20歳以上の重度障害がある方 |
心身障害者福祉手当 | 難病や心身に障害がある方 |
東京都の助成 | 支給対象者 |
児童育成手当(育成手当) | 東京都民・18歳までの児童を養育しているひとり親または父母に重度の障害がある方 |
児童育成手当(障害手当) | 東京都民・20歳未満の障がい児を養育している方 |
特別障害者手当は20歳以上の方で子どもではありませんが、特別児童扶養手当や障害児福祉手当を受給した後に受けられる手当として載せてあります。
手当・助成は、支給対象者や支給額、所得制限の有無など内容が様々ですし、申請や届出をしないと支給してもらえません。
それぞれの手当をもっと細かく見てみましょう。
児童手当
児童手当とは、中学校卒業までの児童を養育している方に支給される手当です。
- 児童手当とは
-
- 中学校卒業までの児童を養育している方が支給対象
- 支給額は10,000円または15,000円
- 6月・10月・2月に手当を支給される
- 子どもが生まれたときに申請する(市区役所の窓口)
- 毎年6月に現況届を提出(令和4年度から現況届の提出が原則不要)
児童手当は、1972年から実施されている制度で、「子どもを養育している家庭の生活の安定」と「次代の社会を担う児童の健やかな成長」を目的としています。
支給額は年齢によって異なり、毎年6月・10月・2月に4ヵ月分がまとめて支給されます。
児童手当は子どもが生まれたときに出生届と共に申請します。申請した翌月から支給が始まります。さかのぼっての支給はできませんので、お子さんが生まれたらすみやかに手続きをしましょう。
支給額
児童手当の月額支給額は以下の通りです。前年の所得が一定以上あると支給されません。
児童の年齢 | 支給額(1人あたり月額) |
---|---|
0~3歳未満 | 15,000円 |
3歳~小学校修了まで | (第1子・第2子)10,000円 (第3子以降)15,000円 |
中学生 | 10,000円 |
所得制限限度額以上 | 5,000円 |
所得上限限度額以上 | 支給なし |
0歳から3歳未満は月額15,000円で、3歳から小学校修了までは月額10,000円(第1子・第2子)または15,000円(第3子以降)、中学生は月額10,000円です。
所得制限限度額以上の方は特例給付として月額5,000円支給されます。
令和4年に児童手当法が一部改正となり、所得上限限度額以上の方は支給されなくなりました。
所得制限
児童手当の所得制限は以下の通りです。所得とは収入の額ではなく、収入から給与所得控除等を引いた額のことです。
扶養親族の数 | 所得制限限度額 | 収入の目安 |
---|---|---|
0人 | 622万円 | 833.3万円 |
1人 | 660万円 | 875.6万円 |
2人 | 698万円 | 917.8万円 |
3人 | 736万円 | 960万円 |
4人 | 774万円 | 1002万円 |
5人 | 812万円 | 1040万円 |
児童手当の所得制限は、扶養人数によって異なります。扶養人数は同一生計配偶者と扶養親族の人数のことで、例えば夫婦、子ども2人いる場合には、「配偶者1人+子ども2人=扶養人数3人」となります。
児童手当法が一部改正(令和4年6月施行)
これまで児童手当は、所得制限を超えていても一律5,000円が支給されていましたが、「所得上限限度額」が設けられ所得上限限度額以上の場合には支給対象外となりました。
扶養親族の数 | 所得制限限度額 | 所得上限限度額 |
---|---|---|
0人 | 622万円 | 858万円 |
1人 | 660万円 | 896万円 |
2人 | 698万円 | 934万円 |
3人 | 736万円 | 972万円 |
扶養親族の数によって所得上限限度額は異なりますが、該当の方は児童手当を支給されないので注意しましょう。
申請に必要なもの
- 認定請求書
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証等)
- マイナンバー確認書類
- 申請者の預金通帳またはキャッシュカード
- 申請者の健康保険証(国家公務員共済・地方公務員共済加入者)
児童手当の認定請求書は、市区町村の本庁舎に置いてあります。(ホームページから書類をダウンロードすることもできます。)
児童手当は口座に振込となりますので、口座情報のわかるもの(普通預金通帳、キャッシュカード)を持参しましょう。
令和4年度から現況届の提出が原則不要
児童手当の受給を続けるには、毎年6月に現況届を提出していましたが、令和4年度から現況届の提出が原則不要となりました。
- ポイント
-
- 以前は毎年6月に現況届の提出が必要だった
- 令和4年度から現況届の提出は原則不要
- 状況が変わった方は提出が必要
毎年現況届を提出していた私からすると、確かに現況届は何で提出するのだろう…と思っていました。何も状況は変わっていなくても、毎年提出することを手間に感じていました。
令和4年度からは現況届は原則不要で、養育状況が変わった方だけ現況届を提出するようになりました。
現況届の提出が必要な例
- 住民票と住所が違う方
- DV等で住民票と異なる市区町村で児童手当を受給している方
- 戸籍や住民票に記載がない児童を養育している方
- 離婚協議中で配偶者と別居している方
- 法人の施設や里親
上記のような場合には、現況届の提出が必要です。現況届については毎年市区町村から案内がありますので、該当する方は提出するようにしましょう。
子ども医療費助成制度
子ども医療費助成制度とは、子どもにかかる医療費を都道府県と市町村で助成する制度です。健康保険が適用される医療費(通院・入院)が無料となります。
- 子ども医療費助成制度とは
-
- 子どもの医療費無料
- 国民健康保険または社会保険に加入している方が対象
- 通院治療、入院費用等が無料
- 対象年齢や助成内容は自治体によって異なる(約半数が中学3年まで)
- 子どもが生まれたときに申請する(市区役所、町村役場)
子ども医療費の助成は、「子育て世帯の経済的負担を軽減」することを目的とした制度です。
医療費助成は、医療機関の窓口での支払いがなくなる「現物支給」と、医療機関の窓口でいったん医療費を支払い、あとから口座に振り込んでもらう「償還払い(払い戻し)」があります。
対象年齢、助成内容、所得制限は自治体によって大きく異なります。
対象年齢と助成内容
対象年齢は自治体の懐事情が大きく関係しているようです。
私の住んでいる地域は通院・入院ともに18歳まで無料となっていますが、約半数の市町村が対象年齢を15歳までとしています。
岡山市の場合
対象年齢 | 通院 | 入院 |
---|---|---|
小学校就学前 | 無料 | 無料 |
小学生 | 1割負担 (自己負担上限月額44,400円) |
無料 |
中学生 | 3割負担 | 無料 |
横浜市の場合
対象年齢 | 通院 | 入院 |
---|---|---|
0歳~小学3年生 | 無料 | 無料 |
小学4年生~中学3年生 | 無料 (通院1回につき500円負担) |
無料 |
日進市の場合
対象年齢 | 通院 | 入院 |
---|---|---|
0歳~中学3年生 | 無料 | 無料 |
高校1年~高校3年 | 自己負担 | 無料 |
守口市の場合
対象年齢 | 通院 | 入院 |
---|---|---|
0歳~18歳 | 無料 (1医療機関につき500円負担) |
無料 (1医療機関につき500円負担) |
加古川市の場合
対象年齢 | 通院 | 入院 |
---|---|---|
0歳~18歳 | 無料 | 無料 |
市町村によって子ども医療費助成の対象年齢、助成内容はこんなにも違いがあります。中には所得制限を設けている自治体もあります。
子育てしやすい地域への引越を考えている方は、子ども医療費の助成内容も確認しておくことをおすすめします。
支給対象となる医療費
支給対象となる医療機関は、病院、診療所、クリニック、歯科医院、調剤薬局、接骨院(整骨院)などです。
- 健康保険が適用になる通院・入院・調剤の自己負担金
- 保険適用の治療用装具
- ※入院の食事代(入院時食事療養標準負担額)
入院時の食事代については、自治体によって支給対象・支給対象外と異なりますのでご確認ください。
支給対象外となる医療費
子ども医療費助成の対象外となる医療費は以下の通りです。
- 薬の容器代
- 文書料、診断書料
- 入院時の差額ベッド代、個室料、おむつ代等
- 検診料、予防接種料
- 医療機関までの交通費
- 日本スポーツ振興センターなど他の制度で助成を受けるとき
- 交通事故等
小さなお子さんに処方されるシロップ薬の容器代や、皮膚科等で処方される保湿剤の容器代は、支給対象外で実費となります。(容器代は50円程度です。)
申請場所
子ども医療費助成の申請は、市区役所や町村役場が窓口です。出生届や児童手当の手続きと同時に申請しましょう。
- 市区役所、町村役場の窓口で申請する
- 受給資格者証を発行してもらう
申請すると子ども医療費助成の「受給資格者証」が発行されます。医療機関を受診する際には、この「受給資格者証」と「健康保険証」を提示することで自己負担額が無料になります。
申請に必要なもの
- 子どもの健康保険証(加入予定の父母の健康保険証でも可)
- 保護者名義の預金通帳・キャッシュカード等
- 申請する保護者の本人確認書類
申請には、子どもの健康保険証が必要です。子どもが生まれたばかりで健康保険加入手続き中のため手元に健康保険証がない場合には、父親または母親の健康保険証で申請することができます。
所得制限のある自治体では、マイナンバーカードや所得証明書など、所得がわかる書類の提出が必要です。
児童扶養手当
児童扶養手当とは、ひとり親世帯に支給される手当です。以前はよく母子手当と言われていましたが、父子家庭でも受給できるので正式には児童扶養手当と言います。
児童扶養手当の目的は、「ひとり親世帯等の生活の安定と自立の促進、当該児童の福祉の増進」です。
- 児童扶養手当
-
- ひとり親世帯の子に支給される手当
- 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの児童
※障がい児の場合は20歳未満 - 所得制限あり
- 毎年8月中に現況届を提出
- 受給者数877,702人(令和2年度)
児童扶養手当を受給している方は、令和2年度で877,702人です。そのうち母子世帯が803,179人で、父子世帯が43,412人です。
厚生労働省が行った調査「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、母子家庭の平均年収は243万円、父子家庭の平均年収は420万円という状況ですので、児童扶養手当を受給する割合は母が多くなっています。
児童扶養手当は、一度申請したら終わりではなく、毎年8月に現況届を提出する必要があるので注意しましょう。
支給条件
児童扶養手当は、次のいずれかに該当する児童(18歳になって最初の3月31日まで)を監護する父または母、もしくは父または母にかわって養育する祖父母等に支給されます。(障がい児の場合は20歳未満が支給対象です。)
- 支給要件
-
- 父母が離婚した児童(事実婚の解消を含む)
- 父または母が死亡した児童
- 父または母が政令で定める障害の状態にある児童
- 父または母から1年以上遺棄されている児童
- 父または母が裁判所からDV保護命令を受けた児童
- 父または母が1年以上拘禁されている児童
- 船舶や飛行機の事故等によって父または母の生死が3ヵ月以上不明な児童
- 婚姻によらないで生まれた児童
- 父母が不明な児童(棄児など)
上記に該当する場合でも、以下に該当する場合には児童扶養手当を受けることはできません。
- 支給対象外
-
- 児童が日本国内に居ないとき
- 児童が児童福祉施設や少年院などに入所しているとき
- 児童が里親に委託されているとき
- 児童が父および母と生計を同じくしているとき
- 児童が父または母の配偶者(事実婚を含む)に養育されているとき
児童扶養手当を受給するために、偽装離婚をして実際には同居している状態等では受給できないようになっています。
支給額(令和4年4月分から)
児童扶養手当は、令和4年4月分から手当額が改正されました。
児童の数 | 全部支給 | 一部支給 |
---|---|---|
1人 | 43,070円 | 43,060円~10,160円 |
2人目加算 | 10,190円 | 10,160円~5,090円 |
3人目以降加算 | 6,100円 | 6,090円~3,050円 |
申請者の所得に応じて、全部支給か一部支給になります。
所得制限
児童扶養手当の所得制限限度額は以下の通りです。
扶養人数 | 受給者本人 (全部支給) |
受給者本人 (一部支給) |
扶養義務者・配偶者・孤児などの養育者 |
---|---|---|---|
0人 | 49万円 | 192万円 | 236万円 |
1人 | 87万円 | 230万円 | 274万円 |
2人 | 125万円 | 268万円 | 312万円 |
3人 | 163万円 | 306万円 | 350万円 |
4人 | 201万円 | 344万円 | 388万円 |
5人 | 239万円 | 382万円 | 426万円 |
所得制限の限度額を見てこんなに少ない所得でないと手当が貰えないのかと驚いたかもしれませんが、所得とは「収入から給与所得控除等を控除して養育費の8割相当を加算した額」です。少しわかりにくいですね。
埼玉県春日部市のホームページに収入の目安が載っていました。
例えば母親が子を1人扶養している場合には、年収160万円未満だと児童扶養手当が全部支給となります。
父親が子ども3人、祖母1人を扶養している場合には、扶養人数が4人となり、年収324.3万円未満なら全部支給、年収507.5万円未満は一部支給となります。
所得が限度額以上の場合には、手当は支給されません。
扶養親族「0人」とは
扶養親族に「0人」があることが変だと思うかもしれませんが、「離婚して子どもは父親の扶養のままで母親と子どもで生活している場合」として設定しています。
所得制限限度額表の扶養親族等「0人」とは何ですか?
扶養親族の人数が「0人」という設定があるのは、例えば離婚後もお子さんは父親の扶養となっているまま、母親と2人で生活している場合、母親の扶養親族は0人となります。
なお、受給資格者本人の親(お子さんにとっては祖父母)などの親族を扶養している場合は、扶養親族として数えますので、扶養している人数によって限度額が異なります。
※引用元:かすみがうら市保健福祉部ホームページ
離婚直後で子どもの扶養は父親のまま母親と生活し、そして母親が児童扶養手当の申請者という状況ですと、扶養人数は0人になります。
申請窓口と必要書類
児童扶養手当の申請は、市区町村が窓口です。市区役所、町村役場の子育て支援課や子ども家庭支援課等(名称は自治体によって異なる)で申請手続きをしましょう。
- 住まいの市区町村の窓口
- 必要書類(請求者と対象児童の戸籍謄・抄本、住民票、個人番号カード、預貯金通帳、本人確認書類等)
- 原則として認定請求した翌月から支給開始
申請に必要な書類は、請求者と対象児童の戸籍謄本・抄本、世帯全員の住民票の写し、個人番号カード(または個人番号がわかるもの)、請求者名義の預貯金普通口座通帳、本人確認書類等が必要です。
児童扶養手当は審査して認定を受けてから支給となります。原則として認定請求した翌月から支給が開始されますので、早めに手続をしましょう。
児童扶養手当の減額
児童扶養手当は、受給から5年または7年経過すると手当が2分の1が減額されます。
- 受給から約5年経過すると手当が2分の1に減額される
- 5年経過する前に案内が届く
- 就労・就職活動をしている書類を提出すれば減額されない
児童扶養手当はひとり親家庭のための自立支援を目的としていますので、条件を満たしていない場合には支給額が半分に減額となります。
ただし、減額とならない事由(就労中・就職活動中など)に該当する場合には、期限内に届出書を提出することで減額されません。
児童扶養手当受給世帯の優遇制度
児童扶養手当受給世帯は、バス・電車の無料乗車券発行や通勤定期券の割引などの優遇制度があります。優遇制度の内容は自治体によって異なるためよく確認しましょう。
- 東京都の場合
-
- JR通勤定期券の割引
- 都営交通の無料乗車券発行
- 水道・下水道料金の減免
- 粗大ごみ等収集手数料の免除
東京都の場合は、上記のような優遇制度があります。都電・都バス・都営地下鉄等の無料乗車券やJR通勤定期券3割引の優遇は助かりますね。
優遇制度を受ける場合には、それぞれ申請する必要があります。市区役所・町村役場の子育て支援課や、福祉事務所、水道局営業所、粗大ごみ受付センター等に問い合わせて手続きしましょう。
ひとり親家庭等医療費助成
ひとり親家庭等医療費助成とは、ひとり親家庭の父または母と児童の医療費の助成をする制度です。
- ひとり親家庭等医療費助成とは
-
- ひとり親家庭の父または母と子(児童)で健康保険に加入している方が対象
- 一部自己負担金あり
- 所得制限あり
- 受診の際に「ひとり親家庭等医療証」と「健康保険証」を提示
ひとり親家庭等医療費助成は、一定の所得制限限度額未満の方が対象となっています。
医療機関や薬局等で保険証とひとり親家庭等医療証を提示すると、自己負担額が軽減されます。(医療費は一部自己負担があります。)
支給対象者
支給対象者は、ひとり親家庭の親と高校生以下の児童、父または母に重度の障害がある児童と親です。
- 母子家庭の母と児童
- 父子家庭の父と児童
- 父母のいない児童と児童を養育している養育者
- 父または母に一定以上の障害がある児童と父または母
重度の障害とは、身体障害者手帳1級・2級程度の障害をいいます。
対象外
- 健康保険に加入していない方
- 所得制限限度額以上の方
- 生活保護を受けている方
- 里親に養育されている方
- 児童福祉施設等に入所している方
- 心身障害者療養費助成制度を利用できる方
ひとり親家庭等医療費助成は、健康保険に加入している方が対象の制度ですので、健康保険に加入していない方は対象外となります。
所得制限
ひとり親家庭等医療費助成の所得制限は、児童扶養手当の所得制限と同じです。
扶養親族等の数 | 養育者 | 配偶者・扶養義務者 |
---|---|---|
0人 | 192万円 | 236万円 |
1人 | 230万円 | 274万円 |
2人 | 268万円 | 312万円 |
3人 | 306万円 | 350万円 |
4人 | 1人につき38万円加算 | 1人につき38万円加算 |
例えば母と子2人の場合は、扶養親族が2人ですので、所得が268万円未満の場合はひとり親家庭等医療費助成制度が受けられます。
ひとり親家庭等医療費助成と子ども医療費助成の違い
ひとり親家庭等医療費助成は子ども医療費助成と同じではないのかと思う方がいるかもしれません。
子ども医療費助成は「子」だけが対象なのに対して、ひとり親家庭等医療費助成はひとり親家庭の「子」「父または母」「子を養育する祖父または祖母等」が対象の制度です。
比較項目 | 子ども医療費 | ひとり親家庭医療費 |
---|---|---|
対象者 | 子ども | 子ども、親、養育者 |
所得制限 | なし又は高めに設定 | 児童扶養手当に準ずる |
自己負担 | 自治体によって異なる | あり |
2つの制度は所得制限も大きく違います。
子ども医療費の所得制限は自治体によって異なりますが、所得制限を設けていない市町村や所得制限を高めに設定している市町村があり、多くの子どもが助成の対象となっています。
一方、ひとり親家庭等医療費助成は、児童扶養手当の所得制限に準じた所得が設定されているので、低所得世帯の方が助成の対象となります。
どっちを使えばいい?
ひとり親家庭等医療費助成と子ども医療費助成のどちらも受給対象になっている場合には、両方使うことはできないのでどちらかを優先して使うことになります。
- ひとり親家庭等医療費助成と子ども医療費助成はどちらかしか使えない
- 自治体によって優先順位が異なる
どちらを優先して使うかは自治体によって異なります。多くの自治体は子ども医療費助成の受給年齢までは子ども医療費を優先して、その後はひとり親家庭等医療費助成を受給する形にしているようです。
ひとり親家庭等医療費助成の受給資格証を発行する際に、どちらを優先するべきかよく確認しましょう。
特別児童扶養手当
特別児童扶養手当とは、20歳未満の障がい児を監護する父母または養育者に支給される手当です。法令で定める程度以上の障がい児が対象となっています。
- 特別児童扶養手当とは
-
- 20歳未満の障がい児を監護している父母または養育者が受給
- 法令で定める程度以上の障がい児が対象
- 所得制限あり
- 有期認定(1~2年)、有期期限までに診断書等を提出
特別児童扶養手当は「有期認定」といって、一定の期間を設けて受給資格を認定しています。一定期間を過ぎると、引き続き特別児童扶養手当が受けられるかどうか再認定が必要です。
障害の種類や程度によって異なりますが、有期認定の期間は1~2年です。
支給対象となる障害の状態
受給できる障害の程度は、「特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令別表第3」に定められている障害認定基準の通りで、障害の程度に応じて障害等級が1級または2級となります。
どの程度の障害が対象となるのか、群馬県のホームページでは障害者手帳の等級を参考に障害等級1級・2級を紹介していました。
1級
身体障害者手帳1・2級程度の身体障害、療育手帳の判定がA程度の知的障害、又は精神障害者保健福祉手帳1級程度の精神障害2級
身体障害者手帳3級程度の身体障害又は日常生活が著しい制限を受ける程度の知的障害もしくは精神障害※引用元:群馬県ホームページ
身体障害者手帳を持っている必要はありませんが、手帳の等級でだいたいわかるようです。
もっと詳しく知りたい方は、厚生労働省の「特別児童扶養手当の支給に関する法律施行令」をご覧ください。
支給対象外
下記の児童は支給対象外となります。
- 児童が児童福祉施設等に入所しているとき
- 請求者や児童が日本国内に住んでないとき
- 児童が障害を理由とする公的年金を受給しているとき
肢体不自由児施設や知的障害児施設などの児童福祉施設に入所している場合は支給されません。(施設とは、母子生活支援施設・保育所・通所施設を除した施設です。)
支給額(令和4年4月から)
障害等級 | 手当額 |
---|---|
1級(重度障害児) | 52,400円 |
2級(中度障害児) | 34,900円 |
特別児童扶養手当の支給額は、障害等級1級が52,400円で、2級が34,900円です。
所得制限
所得とは、収入から給与所得控除、配偶者控除、医療費控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除等を引いた額です。前年分の所得が適用されます。
扶養親族の数 | 受給資格者 | 配偶者及び扶養義務者 |
---|---|---|
0人 | 459.6万円 | 628.7万円 |
1人 | 497.6万円 | 653.6万円 |
2人 | 535.6万円 | 674.9万円 |
3人 | 573.6万円 | 696.2万円 |
4人 | 611.6万円 | 717.5万円 |
5人目以降 | 1人につき38万円加算 | 1人につき21.3万円加算 |
受給資格者、受給者の配偶者および扶養義務者の前年の所得が限度額以上ある場合には、その年度の手当(8月から翌年7月まで)の支給は停止となります。
申請窓口
- 市区役所・町村役場が申請窓口
特別児童扶養手当の申請は、市区役所または町村役場が窓口です。
申請に必要なもの
特別児童扶養手当の申請手続きは、以下のものが必要です。
- 請求者と対象児童の戸籍謄本
- 世帯全員の住民票の写し
- 障害程度についての医師の診断書(所定の様式)
- 請求者の個人番号カード
- 請求者本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
- 印鑑
医師の診断書は所定の様式のため、市区役所・町村役場のホームページからダウンロードできるようになっています。印刷して医療機関等で記入してもらいましょう。
療育手帳(A1、A2)、身体障害者手帳を持っている方は、医師の診断書を省略できる場合もありますので、問い合わせの上申請することをおすすめします。
障害児福祉手当・特別障害者手当
障害児福祉手当・特別障害者手当は国の制度で、精神または身体に重度の障害のある方・児童に支給される手当です。
- 障害児福祉手当・特別障害者手当とは
-
- 障害児福祉手当:20歳未満の重度障害児が対象
- 特別障害者手当:20歳以上の重度障害者が対象
- 所得制限あり
- 毎年8月に現況届を提出
障害児福祉手当が20歳未満の重度障害児が対象の制度で、特別障害者手当は20歳以上の重度障害者が対象となっています。
支給対象者
支給対象は、精神または身体に重度の障害があり常時介護を必要とする在宅の方です。
- 身体障害者手帳1級または2級の一部の方
- 療育手帳Aの一部の方
- 極めて重度な精神障害、内部疾患、難病の方など
支給対象となる障害の状態はおおむね上記の通りですが、厳密には障害児福祉手当と特別障害者手当の障害程度の認定基準が異なります。
詳しくは厚生労働省のホームページをご覧ください。
支給額(令和4年4月から)
手当の名称 | 支給額 |
---|---|
障害児福祉手当 | 14,850円 |
特別障害者手当 | 27,300円 |
支給額は、障害児福祉手当が月額14,850円で、特別障害者手当が月額27,300円です。
毎年2月・5月・8月・11月に、3ヵ月分がまとめて振り込まれます。
所得制限
扶養親族の数 | 申請者 | 配偶者または養育者 |
---|---|---|
0人 | 360.4万円以下 | 627.8万円未満 |
1人 | 398.4万円以下 | 653.6万円未満 |
2人 | 436.4万円以下 | 674.9万円未満 |
3人 | 474.4万円以下 | 696.2万円未満 |
手当を受けている方は、毎年8月に現況届を提出し、引き続き手当を受けられるかどうか審査があります。
現況届を提出しない場合や、所得制限限度額以上の場合には、手当の支給が停止されます。
心身障害者福祉手当【市区町村の制度】
市区町村独自の制度で、心身障害者または心身障害児に手当が支給されるところもあり、障害の程度や支給額は自治体ごとに異なります。
いくつかの市区町村の福祉手当を参考にご紹介します。
練馬区の場合
心身障害者福祉手当 | 内容 |
---|---|
対象 | 区内在住の難病や心身に障害のある方 |
支給額 | 月額15,500円、月額10,000円 |
西東京市の場合
心身障害者福祉手当 | 内容 |
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対象 | 身体障害者手帳1・2級、愛の手帳1~3度、脳性まひ・進行性筋萎縮症、身体障害者手帳3・4級、愛の手帳4度 |
支給額 | 月額6,500円、月額5,500円 |
長野県信濃町の場合
重度心身障害者福祉手当 | 内容 |
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対象 | 療育手帳所持者、特別障害者手当、経過的福祉手当受給者等 |
支給額 | 年額10,000円 |
山梨県富士河口湖町の場合
町福祉手当 | 内容 |
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対象者 | 身体障害者手帳、療育手帳、精神保健福祉手帳を持っている方 |
支給額 | 月額3,500円、2,800円、1,300円 |
富山県舟橋村の場合
舟橋村心身障害者年金 | 内容 |
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対象 | 村内に1年以上居住している身体障害者手帳1・2級、療育手帳Aの方 |
支給額 | 年額60,000円 |
市区町村独自の福祉手当は、対象者や支給額が全く異なります。また、申請窓口も市区役所または町村役場、福祉事務所などそれぞれ違いますので、問い合わせてみることをおすすめします。
児童育成手当・障害手当【東京都制度】
東京都では、「児童育成手当・障害手当」という独自の制度があります。東京都の市区町村に住んでいる方が対象です。
- 児童育成手当・障害手当とは
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- 東京都に住んでいる方が対象の制度
- 育成手当:18歳までの児童を養育しているひとり親家庭または重度の障害がある父母
- 障害手当:20歳未満で都が定める障がい児が対象
- 所得制限あり
- 申請日の翌月分から支給
- 市区役所・町村役場の子育て支援課が申請窓口
児童育成手当・障害手当を聞いたことがない方もいるかもしれませんが、この制度は東京都独自の制度となっているので東京都民しか受給できません。
申請窓口は、住まいの市区役所または町村役場の子育て支援課です。
児童扶養手当と児童育成手当の違い
児童扶養手当と児童育成手当は、どちらも主にひとり親の方を対象とする制度ですが、児童扶養手当は全国が対象なのに対して、児童育成手当に関しては東京都に住んでいる方のみを対象とする制度です。
制度 | 手当の名称 |
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国の制度 | 児童扶養手当 |
東京都の制度 | 児童育成手当 |
児童育成手当は、児童扶養手当よりも所得制限が高く設定されています。そのため児童扶養手当の対象とならなかった方でも、児童育成手当は支給対象になる可能性があります。
児童扶養手当と児童育成手当のどちらも対象となる場合には、両方が支給されます。
育成手当の支給対象者
18歳になって最初の3月31日までの児童を養育していて、以下のいずれかに該当する方が対象となります。
- 父母が離婚した児童
- 父または母が死亡した児童
- 父または母が生死不明な児童
- 父または母に1年以上遺棄されている児童
- 父または母が裁判所からDV保護命令を受けている児童
- 父または母が法令により1年以上拘禁されている児童
- 婚姻によらないで出生した児童
- 父または母に重度の障害がある児童
重度の障害とは、身体障害者手帳1級・2級程度です。
対象外
- 児童が児童福祉施設等に入所しているとき
- 児童が里親に委託されているとき
- 児童が父と母と同居または生計を同じくしているとき(事実婚も含む)
前年の所得が所得制限限度額以上の場合は支給対象外となります。
育成手当の支給額
- 児童1人につき月額13,500円
児童育成手当の支給額は、月額13,500円です。
年に3回(6月・10月・2月)に分けて、4ヵ月分がまとめて口座に振り込まれます。
障害手当の支給対象者
20歳未満の児童を養育している方で、児童が次のいずれかに該当する場合が支給対象となります。
- 身体障害者手帳1級・2級程度の児童
- 愛の手帳1級~2級程度の児童
- 脳性まひ、進行性筋萎縮症の児童
- 特別児童扶養手当が知的障害または知的及び精神で認定されている児童
支給対象外
- 児童が児童福祉施設に入所しているとき
- 児童が里親に委託されているとき
また、所得が一定以上ある方も支給対象外となります。
障害手当の支給額
- 児童1人につき月額15,500円
障害手当の支給額は、児童1人につき月額15,500円です。
育成手当と障害手当の支給要件にどちらも該当している場合には、両方受給できます。
その他の助成・手当等
その他にも助成や手当がまだまだあります。国や都道府県で行っているものと、市区町村で独自に行っているものがあります。
都道府県や市区町村独自の場合は、制度の名称がそれぞれ違います。住まいの自治体の制度を検索または問い合わせてみましょう。
- 国・都道府県の助成
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- 未熟児養育医療
- 自立支援医療(育成医療)
- 小児慢性特定疾患医療費助成
- 重度心身障がい児者医療費助成
- 結核児童療育医療など
- ひとり親家庭のための施策
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- ひとり親家庭民間賃貸住宅家賃助成
- ひとり親家庭ホームヘルパーサービス
- 母子父子寡婦福祉資金貸付
- 母子福祉生活一時資金貸付
- ひとり親家庭自立支援給付金事業
- 母子生活支援施設など
- 市区町村独自の助成
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- 三人乗り自転車等購入費助成
- チャイルドシート・ベビーシート無償貸出など
どの制度も申請が必要
子どものいる世帯が受けられる助成や手当を色々ご紹介してきましたが、どの制度を利用するにも申請が必要です。
市区役所や町村役場等で紹介してくれることもありますが、ただ待っているだけで自動的に支給されるものはなく、自分で動いて申請しないと受給できません。(代理人の申請も可としている場合があります。)
申請に必要な書類は、ホームページからダウンロードできるようになっています。
助成・手当の多くは申請の翌月から支給となっていて、さかのぼっての受給はできませんので、早めに手続きすることをおすすめします。