私の家には、新聞紙を広げたサイズの花壇があります。

暖かくなると、毎年何の知識もない状態で買ってきた苗を植えていましたが、今回は栽培の手順を確認しながら、正しく楽しく育ててみることにしました。

毎回、あっちこっちに伸びて最後は収拾がつかなくなる家庭菜園ですが、農林水産省が情報提供する「野菜を食べようプロジェクト」を見たらその原因が分かりました。

野菜作りの基本を知る

毎年、春になると、花の苗を買いに行くついでに、目に入った野菜の苗を買ってきて、家の花壇へ植えています。買ってきた苗は、その日のうちに植えるので、植え付け時期はおそらくあっているでしょうが、こんな感じでいいのかと心のどこかで疑問に思っていました。

子供と一緒に買いに行くと「イチゴ食べたいなぁ」「今年もトマト植えようか」「おいしい枝豆って書いてあるよ」という感じで、スペースや日当たり、土壌との相性など、全く気にせず、無計画に植え付けします。

最終的に、なんだかんだと収穫でき家族で楽しんでいましたが、野菜を食べようプロジェクトで紹介されていた農畜産業振興機構のHPを確認したら、どうやら間違っている点がたくさん見つかりました。

トマト栽培のコツ

これまでミニトマトや大玉トマトなど、様々な種類のトマトを植え付けしたことがありますが、今回、初めて野菜を食べようプロジェクトの「野菜づくりで発見!楽しく育てておいしく食べよう」で、野菜作りの基本を学びました。

トマトの育て方のポイント

  • 種をまいて苗にするのは難しいので、4~5月に苗を買ってくる。
  • 水はけと日当たりのよい畑を選び、肥料をやり、よく耕しておく。
  • ミニトマトは、大玉トマトよりも育てやすいので、はじめての人でもだいじょうぶ。

※引用元:独立行政法人 農畜産業振興機構HPより

花壇は、日照時間はあまり長くない場所ですが、水はけは良く、ほぼ条件に該当しています。気になることは、肥料はあげたことはなく、土を耕したこともない点です。

さらに、トマト栽培のコツには、何となく聞いたことがある「連作」について書かれていました。

連作

  • 連作障害がおこりやすい。3年以上、ナス科の野菜(トマト、なす、ピーマン、じゃがいもなど)を栽培していない畑を選ぶ。

※引用元:独立行政法人 農畜産業振興機構HPより

連作とは、同じ畑で同じ野菜や同じ科や属の野菜を作り続けることだそうです。同じ種類の野菜だけではなく、遺伝子情報などの特徴が同じ科名でも連作になります。

連作すると、次第にその野菜が病気になる可能性が高まり、健康な野菜が作れなくなる「連作障害」が起こりやすくなります。

私の畑では、毎年のように、トマトを植えている気が・・・

興味がある野菜やこれまでに育てたことがある野菜は、何科なのか調べてみました。

科名 野菜の一例
ナス科 トマト、なす、ピーマン、じゃがいも
ウリ科 きゅうり、ゴーヤ、ズッキーニ
アブラナ科 小松菜、ブロッコリー、大根、白菜
マメ科 枝豆、インゲン豆、エンドウ豆
セリ科 人参、セロリ、パセリ、三つ葉
バラ科 イチゴ

連作障害を防止するために、毎年トマトを植えていた場所には、ウリ科のキュウリを植えることにします!

きゅうり栽培のコツ

きゅうりは、次々と実がなり、何日か見ないうちにズッキーニのように巨大化してしまうこともありますが、育てやすい印象の野菜です。

きゅうりについても、「野菜づくりで発見!楽しく育てておいしく食べよう」で、野菜作りの基本を調べました。

きゅうりの育て方のポイント

  • きゅうりの成長にあった温度は、18~25度C。苗が小さいころには、夜などの低温に注意する。
  • 根が酸素をたくさんほしがるので、土の中のすきまを多くするため、堆肥を多くほどこす。
  • 葉が大きく根も浅くはるので、水をたくさんほしがる。土のかんそうを防ぐため、水やりを忘れずに。
  • 成長が早く、つるがどんどんのびるので、早めにつるを支柱に結びつける。摘芯をおこたらない。

※引用元:独立行政法人 農畜産業振興機構HPより

きちんと調べれば、「成長が早い」「つるがどんどん伸びる」「早めに支柱に結びつける」「摘芯をおこたらない」ことがわかります。

笑い話のようですが、これまでは、朝顔を育てるときの小さな筒状の支柱を使っていました。当然、すぐに高さが足りなくなり、そこに長い支柱を増設して、あっちこっちに伸びるつるを巻き付けますが、最後の方は諦めて、地面に這わせていました。

全てが後手後手で、摘芯せずに伸びたい放題のつるに収拾がつかなくなる状況は、きゅうりの特性を知っていれば予想できたことですね。

連作障害が出にくい大葉

毎年、コキアと大葉(青じそ)が勝手に生えてくるので、大葉を数本残して、コキアはもう片方の花エリアの花壇へ植え替えています。

大葉は、暖かくなると前年にこぼれた種が勝手に発芽するので、確実に毎年同じ場所で何年も育てていますが、病気になったことも虫が発生したこともありません。連作が心配になり調べてみると、紫蘇は、連作障害が出にくい作物で、同じ場所で育てることが可能な野菜であることがわかりました。

連作障害が起こりやすい野菜と起こりにくい野菜があるとは、野菜作りは奥が深いですね。

初心者が家庭菜園をやってみた

私が植物を育てている花壇は2ヶ所あり、一方は花エリア、もう一方は野菜エリアと、マイルールを設定しています。

せっかく科名と連作障害を覚えて、野菜を育てたい気分になっているので、今年は、これまで花エリアだった花壇を変更してトマトを植えます。花を植えていた土であれば、連作の心配を回避できます。

今回は、トマトのナス科ときゅうりのウリ科として花壇を使用します。

植える前の土壌準備

トマトやキュウリの苗を植え付ける前に、土壌を整える必要があります。

これまでは、毎回ではありませんが、たまに「土の再生材」と書かれた土に混ぜるだけの土をまいたことはありますが、きちんと土作りをするのは初めてです。

育てる野菜によって肥料の配合に違いがありますが、野菜を育てるのに向いているという「有機配合」と書かれた配合肥料を、裏面の説明書きに従って土へ混ぜました。

土を掘り起こすと、大きな石や根っこの塊が出てきました。土を細かくふかふかにして土壌を整えると、なんだか立派な野菜が実りそうな予感がしてきます。

苗の植え付け

苗は、プラムミニトマトと大玉な桃太郎トマト、節成りキュウリを選びました。

ポットから苗を取り出して、掘った穴へ苗を植えます。

最後にたっぷりと水をあげたら、植え付け作業はひとまず完成です。

支柱を立てる

しばらくすると、しっかりと根が張り、成長してきたので、まっすぐに育つようにわき芽を摘み、支柱を立てました。

きゅうりは、育て方サイトでは、支柱を格子のようにして支える立て方が記されていたのですが、三角柱で継ぎ足せば連結もできる大きな支柱を見つけたので、タワー状タイプで代用しました。

収穫する

ミニトマトは、前年度までとは皮の硬さが違う、薄くておいしいものが次々と実りました。今までとは違う品種だった可能性はありますが、ひとまず大成功です。

大玉トマトは、最終的に5~6個しか収穫できなかったです。全然赤くならなかったので、しばらく放置している期間が長かった印象があります。

その横で、ミニトマトは実ができては赤くなり、どんどん収穫できたので、なおさら待たされた気がします。

きゅうりは、最初の頃は2~3日おきに1本ずつ収穫していましたが、最盛期は1日おきに2~3本が実り、ちょっと見逃すと巨大化したものが葉っぱの陰から出てくるような、大盛況状態でした。

家庭菜園の振り返り

終わってみると、実り以上に想定外の収穫がありました。

家族が野菜収穫のお手伝いをしてから帰宅することが習慣になったり、お散歩してる人が「成長を楽しみに見てます」と話しかけてくれたり、気難しそうなおじさんが「雨に当てると実が割れるぞ」と教えてくれたりと、自分以外にも気に掛けてくれる人がいて嬉しくなりました。

消費できない収穫量を解決するために、きゅうりをたくさん使って作るパリパリ漬けや保存が効くピクルス、ミニトマトのカンタン酢漬けなど、料理のレパートリーも増えました。

家族で楽しめた家庭菜園ですが、来年のために反省すると、途中で放置した期間にジャングルのように伸び放題になる枝や葉っぱの問題や、可愛いサイズだったコキアが予想以上に大きくなるので一緒に植えないなど、いくつか改善点が見つかりました。