本来食べられるはずの食品を捨てることを「食品ロス」と言います。家庭から排出される食品ロスは、令和2年度の推計で247万トンです。
家庭から発生する食品ロスの原因ひとつに、野菜の皮など食べられるところまで厚くむき捨てるなどの「過剰除去」があります。
過剰除去を軽減するために、今回は、いつも捨てがちな野菜の部分を使い切るメニューを作ってみました。野菜をムダなく使う調理方法は、食品ロスの削減だけではなく、長期保存や時短など、役に立つことがあるので、忙しい人にもおすすめです。
野菜の捨てがちな部分を使い切る
普段は捨ててしまう部分でも、調理を工夫すると美味しく食べるられる野菜があります。
大根の葉っぱのふりかけ
大根やかぶの葉っぱは、刻んで塩をふっておくと、保存が効いて生タイプふりかけのようにパパッと使えるので大変便利です。そのまま使うには少しクセが強いので、下茹ですることをおすすめします。
大根の葉の塩漬け
葉っぱの部分だけをバラバラに切り落としてもいいですが、私は束ねたまま扱った方がラクなので、根元を残して切り落とします。根元を少し残して葉を切り落とす場合は、十字に切り込みを入れてから下茹ですると、内側までバランスよく火が入ります。
シャキシャキとした歯ごたえが醍醐味なので、茹で時間はそれほど長くなくて大丈夫です。写真のように、葉の部分がなく茎部分だけのときは、私は塩を入れずに茹でますが、毎回キレイな緑色に仕上がります。
茹で上がったら、水にさらして色止めします。すぐに使わないときは、このまま袋に入れて塩を多めに振りかけておくと、冷蔵庫で2~3日保存できます。
大根葉を、適当な大きさに刻みます。しっかりと絞って、塩を振って、乾煎りすると、生タイプのようなふりかけの完成です。
大根の葉の菜飯
大根の葉っぱの塩漬けは、そのままご飯にかけてもいいですが、様々なものと一緒に混ぜると、味に深みが出るのでよりおいしく召し上がれます。
大根の葉を使った菜飯に合う食材は、次のものがあります。
- 塩昆布
- かつお節
- ごま
- 大葉
- しらす・じゃこ
- 焼き鮭・鮭フレーク
- 天かす
- 炒り卵
- 梅干し・カリカリ梅
- チーズ・・・など
大根の葉と色々な食材を組み合わせて、自分好みの菜飯を見つけてみてはいかかでしょうか。
私が、有り合わせで作るときには、常備してあるわかめご飯の素や白ごまを加えます。夏の終わりに塩漬けしたシソの実は、菜飯のアクセントになるので、家族から大好評です。
シソの実の塩漬けは、きちんと瓶詰すれば、冷蔵庫で半年以上保存できるので、いい香りと爽やかな風味がいつでも楽しめます。
シソの実は、貯めた水に浸して何回か変えながら汚れを落として、ザルにあげ、軽く乾いてから茎に沿ってこそぐように指を滑らせると、プチプチと簡単に外れます。シソの実と塩が層になるように、煮沸消毒した瓶へ交互に入れてよく混ぜれば、あとは冷蔵庫で放置して完成です。
ピーマンを種ごと使ったレシピ
緑色のピーマンは、完熟する赤ピーマンの未熟な状態なので、種やワタも柔らかく、加熱すると食べやすくなります。
ピーマンを種ごと調理すれば、調理工程の「ヘタ・種・ワタを取る」や「残った種を洗い流す」が省かれ時短になり、カリウムやピラジンといった栄養素も摂取できます。
種ごとピーマンの肉詰め
時間がないときや手軽に作るときのレパートリーのひとつに、ピーマンの肉詰めはいかかでしょうか。
種ごと使ったピーマンの肉詰めは、種を除いたときと比べると、焼くときに肉がはがれにくくなるメリットがあります。ピーマンをまるまる全部使うレシピは、栄養価が上がり、ボリュームアップになり、簡単なのに手抜きだと思われない、良いこと尽くしのメニューです。
- ピーマンを縦半分に切り、内側に小麦粉を軽く振りかける。
- ボウルに、ひき肉、塩コショウ、玉子、パン粉、牛乳を入れてよくこねる。
- 肉だねをピーマンの個数に等分したら、適量をピーマンに詰める。
種の両端にも肉だねを詰めます。 - フライパンに油を引いて、肉側を下に焼き色が付いたら返す。
- 中まで火が通ったらできあがり。
お好みのソースをかけましょう。
・トマト味(ケチャップ、ソース、バター)
・照焼き味(しょうゆ、砂糖、和風だし、水、水溶き片栗粉)
・中華風味(オイスターソース、しょうゆ、砂糖、ガラスープの素、水)
私の場合、ピーマンの種とワタは残しますが、ピーマン嫌いな娘からの要望で、ヘタ部分を取ります。ヘタは、苦みと硬さがあるので、気になる方は取り除きましょう。
種ごと無限ピーマン
人気の無限シリーズ「無限ピーマン」も、種やワタごと全て使って、全部おいしくいただきましょう。
- ピーマンを縦に4等分に切る。
- 耐熱容器にピーマン、ツナ缶、鶏ガラスープの素、しょうゆ、ごま油を入れる。
しょうゆの代わりに、めんつゆや塩コショウでも可。 - 全体を混ぜたら、ラップをする。
- 電子レンジで様子を見ながら2分加熱する。
- ざっくりと混ぜて加熱時間が足りないようなら、様子を見ながら追加してできあがり。
仕上がりは、少しシャキッとする感じと柔らかくトロける感じがあり、どちらもおいしいので、お好みで加熱時間を調整しましょう。
我が家では、ピーマンが苦手な娘からは、ピーマンの全体量が少し増すため反感を買いますが、ピーマンが好きな息子や私にとっては、種も気にならずおいしくいただけるので、最近は種ごとまるまる調理するのが定番になっています。
ブロッコリーの茎レシピ
ブロッコリーの茎は、クセがなく、外側の筋っぽい部分を削ぎ落とせば、ブロッコリーの房と同じように食べることができます。ブロッコリーを茹でるついでに、一緒に茹でておくと、サッと使えてとても便利です。
ブロッコリーの下処理
ブロッコリーの茎は、外側の皮をそぎ落とせばおいしくいただけます。房になっている蕾部分と同時に処理すれば時短になり、調理工程がスムーズです。
- ブロッコリーの蕾と茎に切り分ける。
- 茎を横に寝かせて、繊維が多い部分の外側を切る。
4方向の角を残して四角になるように切ってから、角を削ぐように八角形にするとよい。 - ブロッコリーと一緒に、塩を入れたお湯で茎を茹でる。
メニューにもよりますが、硬めで大丈夫。 - 茹で上がったらザルにあげて、そのまま常温で粗熱を取る。
ブロッコリー茎のレシピ
茹でた茎は、ブロッコリーの蕾部分とは違う食感ですが、蕾部分が合うレシピなら、同じようなメニューでおいしく召し上がれます。
- そのままソースにディップする
野菜スティック、バーニャカウダなど - フライパンで炒める
バターソテー、野菜炒め、パスタなど - オーブンでグリルする
グラタン、アヒージョ、ピザなど - お鍋で煮る
スープ、味噌汁、ラタトゥイユなど
茎を乱切りにしてグラタンやシチューに入れると、じゃがいもと間違えて一瞬「アレ?」ってなります。大根の食感に近い気もしますが違う食感で、加熱時間が短いとシャキシャキして、長いとトロトロになるので、色々な料理に加えて試してみましょう。
「食品ロス削減」食べもののムダをなくそうプロジェクト
大切な資源の活用や環境への配慮から、消費者庁は「食品ロス削減」食べもののムダをなくそうプロジェクトに取組んでいます。
食品ロスは、外食産業や食品製造業などの事業活動から発生する「事業系」と、日々の生活において排出される「家庭系」の2つの発生源があります。
利用主体 | 令和元年 | 令和2年 |
---|---|---|
食品関連事業者 | 309万トン | 275万トン |
一般家庭 | 261万トン | 247万トン |
※引用元:農林水産省食品ロス量(令和2年度推計値)
令和2年の食品ロス量は522万トンで、食品ロスの推計を開始した平成24年度以降で最少になりました。事業者と消費者が、意識して行動した成果が出てきていますね。
食品ロスの約半分は、家庭から発生しています。私たちが個人でできることを意識するために、家庭での食品ロスの原因を下記にまとめました。
- 食べ残し
作りすぎて、食べきれないなど - 直接廃棄
期限切れ等により、手つかずのままで捨てる - 過剰除去
野菜の皮など食べられるところまで厚くむき捨てる
食品ロスの現状を意識して、自分たちが家庭でできることをこれからも実行していきたいと思います。
野菜を食べようプロジェクトの取り組み
農林水産省は、お手頃価格で購入できる野菜について情報提供する「野菜を食べようプロジェクト」を実施しています。
野菜を食べようプロジェクトの活動や取組は、こちらから確認できます。
株式会社アルビノは、「野菜を食べようプロジェクト」野菜サポーターです。