自己破産したら、官報に個人情報が載って、友達や仲間にバレるから、自己破産だけはしたくないと思っている人も多いと思います。

しかし、官報は金融系や不動産関係の人も利用するので、そのような職業であれば偶然友人の目に留まることがないとは言えませんが、一般の人に知られることはまずないと考えていいでしょう。

この前、自営業の叔父が亡くなり、残された家族が「誰から借入しているのか分からないから、貸付している人は2ヶ月以内に名乗り出てほしい!」ということを官報に掲載しました。

こういった内容も記載されていますが、その場合もお金を貸す業者へ向けて知らせたものなので、一般の人が目にすることはまずありません。

それでは「官報」について一緒に学んでいきましょう。

国の新聞のような位置付けの官報

官報とは、内閣府が法律・政令・条約などを国民に知らせるために発行している新聞のようなもののことです。

国立印刷局で行政機関の休日を除き毎日発行され、印刷物やインターネット配信で提供されています。

憲法改正や総選挙、皇室の行幸啓(外出など)、会社の決算や合併、政府機関関係や地方公共団体などの様々なことが載っていますし、裁判所で行われた破産や再生に関係した内容も記載されています。

官報を見る職業の人

官報は新聞や広報誌のようなものですが、一般の人はほとんど見ることはありません。

一般の人の中には、官報というものがあること事態を知らない人もいるでしょうし、読んでいて楽しい内容ではないので、毎日見ている人はほとんどいないのではないでしょうか。

職業によっては、官報の情報が必要不可欠になります。法律事務所は法律の一部が変わる議決の情報が必要だったり、大きな会社では決算や合併が影響することから見ていると考えられます。

官報の内容の中でも、破産関係の情報を隅々までチェックする職種はいくつかあります。

官報を見る人
  • 市区町村役場や税務署
  • 個人信用情報機関
  • 金融関係
  • 不動産関係
  • 警備会社や保険会社

必ずしも上記の職業の人が全員見ているとは限りませんが、各社の担当の人は閲覧しています。

官報を見る方法

官報本紙の取扱店は、東京都は複数箇所で販売しておりますが、多くは都道府県ごとの指定された各1ヵ所の官報販売所で取り扱っています。

購入価格は、定期購読1,520円(税別・配送料別)で購入可能です。一部購読130円(税別)で、号外などはページ数によって金額が変わり、送付を希望される場合には別途郵送料がかかります。

ネットの場合は、独立行政法人国立印刷局が提供しているインターネット版「官報」で閲覧できます。直近30日間分の官報情報(本紙、号外、政府調達等)が全て無料です。

直近30日間分よりも以前の内容を知りたい方やネット環境が整ってない方は、国立図書館や利用可能な図書館で閲覧できます。

自宅のパソコンから官報を閲覧する

自宅のパソコンから、独立行政法人国立印刷局が提供しているインターネット版「官報」を見てみました。

私が閲覧した日にちの官報は、本紙・号外3つ・政府調達・特別号外2つの合計7つに分類されていました。

そのうちの本紙「公告」欄に裁判所の項目があります。

初めの裁判所項目には、亡くなった方の「相続権」のことが記載されていて、「公示催告」「失踪」「除権決定」と続き、その次に「破産」「免責」「個人再生」などの詳細が記されていました。

私が閲覧した日の破産や再生などの債務整理のページ数は全部で17ページにおよび、個人名や会社名が1ページ毎に13~20人ほど載っていました。件数にすると200件以上が毎日(休日を除き)記載されていることになります。

官報に記載される内容

破産手続終結を例に記載される内容を見てみましょう。

官報に書かれている内容
  • 平成○年(フ)第○○○号
  • 住所
  • 破産者氏名
  • 決定年月日
  • 主文:破産手続きを終結する
  • 理由要旨:配当が終結し、債権者集会は終結した
  • ○○地方裁判所

破産手続終結以外にも破産管財人変更や小規模個人再生手続開始などの項目の違いによって、主文の文言や記載内容は異なります。

図書館で官報を閲覧する

私が住んでいる地域の図書館で、コンピューター端末による「官報検索サービス」があるようなので行ってみました。

入り口から館内に入ると、利用者が検索できるパソコンの前に「利用希望の方はカウンターへお声かけください」と書いてあったので、カウンターで官報を見たい旨を伝えました。

奥から別のスタッフが出てきて、パスワード等を入力し、官報の検索画面をセットしてくれました。図書館の利用カードや身分証名証の提示は求められませんでした。

図書館のHPでは「1回1時間まで。延長可能」と書いてあったのですが、利用者がいなかったせいかスタッフからは特に説明はありませんでした。

図書館で官報検索サービスを利用する

官報情報検索サービスは、独立行政法人国立印刷局の官報が検索できます。日付や記事単位の検索が可能です。

早速、キーワード検索をしてみました。まず「1:掲載日」を入れます。掲載日は1947年(昭和22年)5月3日から本日までの範囲で入力できます。

次に「2:検索キーワード」を入力します。

ここで「3:裁判所関連を除く」のチェックを外さないと、裁判所関連の情報は省かれてしまいます。

「4:検索実行」をクリックすると、該当している記事がいくつ存在するかのページになります。

検索結果件数のページでは「5:条件に一致する記事件数」が示されます。

表示する順番を、「6:一覧表示の表示順」古い記事からか新しい記事からかで選択して、「7:検索結果一覧表示」をクリックします。

検索結果一覧のページでは、一覧で表示する件数を変更していない場合には、20件ずつ表示されます。

表示形式欄の「テキスト」をクリックすると記事が表示されます。

図書館の官報で個人を指定して調べる

私は自己破産をしたことはないのですが、同姓同名が記載されている可能性もあるので、検索キーワードを「破産 私の氏名」で入力しました。すると条件に一致する記事が32件存在しました。

ちなみに「破産者 私の氏名」は27件で、自己破産後に受ける「免責 私の氏名」は29件と記事数が異なりました。

上記の中で、見ず知らずの同姓同名さんの「テキスト」をいくつかクリックしてみました。

事例その1
  • 免責許可決定
  • 平成○年(フ)第○号
  • ○○市○○区○丁
  • 破産者 氏名
  • 1 決定年月日 平成○年○月○日
  • 2 主文 破産者について免責を許可する。
  • ○○地方裁判所第○民事部
事例その2
  • 破産手続廃止及び免責許可決定
  • 平成○年(フ)第○号
  • ○○市○○区○丁目○番
  • 破産者 氏名
  • 1 決定年月日 平成○年○月○日
  • 2 主文 本体破産手続を廃止する。
  • 3 理由の要旨 破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足する。
  • 4 主文 破産者について免責を許可する。
  • ○○地方裁判所民事第○部

検索キーワードとして「自己破産 氏名」で検索すると「検索結果が0件でした」となりました。自己破産は「破産」や「破産者」、自己破産後に希望する「免責 氏名」などで検索すると該当するかもしれませんね。

「個人再生 氏名」も「検索結果が0件でした」となりました。後から気付いたので確認していませんが、小規模個人再生の「再生計画」「再生債務(者)」と記入すれば、個人再生を行った人が特定できたかもしれません。

官報情報検索サービスのまとめ

ずいぶん前になりますが、官報に載ると言っていた知り合いがいることを思い出しました。大まかな内容は話してくれた気もしますが、特に相談を受けた訳ではないので、詳細までは覚えていませんでした。

10年も経っていないような気もしますが、一応15年程前から現在に設定して、当時住んでいた「○○市」と、その人の「フルネーム」を漢字で記入すると当時の記事が出てきました。

私がそこから学んだことは、記事の詳細内容ではなく、裁判を介して債務整理した人を特定することは、何年前の情報であっても知ることは可能だということです。

例えば、ヤミ金と言われている貸金業者は、破産者が正規の金融機関や消費者金融から借り入れできないことをいいことに、破産者を狙って高利で貸付を行います。官報で調べた住所へダイレクトメールを送ってきます。しかし、無視し続ければ自然となくなりますので返信しないで下さい。

官報に破産したことが載ってしまうデメリットは、あまりありません。なぜなら、一般の人で定期的に官報の裁判記事を見ている人はいないと考えられるからです。

ただし、個人を特定して記録を調べる方法はあります。家族や身内など極めて近い人には、後々のトラブル回避のためにも、破産したことを説明しておいたほうがいいかもしれませんね。