源泉徴収票で支給された年収を見るとこんなに稼いだかなと驚くことがあります。

実際に貰った給料はもっと少なかった気がするのですが合っていますか?

給与明細書を確認してみると、支給額から様々な項目で引かれていることに気付くと思います。

1年間の所得が記入された総支給額には、賞与や社会保険などが含まれますが、実際に銀行の指定口座に振り込まれるときには様々な項目が差し引かれて手元に届くため、支給された年収と月々の手取り額とで差を感じてしまうのかもしれませんね。

自分の給料から何の費用がどのくらい差し引かれるかを知って、手取り額を把握してみましょう。

年収別の手取り

年収は基本給や各種手当、交通費、賞与などを含む総支給額のことを指します。年収から保険料や税金などが天引きされて手元に届く差引支給額が手取りです。

手取り=年収-(保険料と税金)

収入が増えるほど徴収される保険料や税金は上がります。扶養家族の人数や事業内容によって保険料は変わりますが、手取りの目安としては次のようになります。

年収 手取りの割合
1,000万円以下 年収の7割~8割
1,000万円超~2,000万円以下 年収の6割~7割
2,000万円超 年収の5割~6割

給料から引かれる保険料

社会保険を広い意味で使う場合、健康保険、介護保険、厚生年金保険、労災保険、雇用保険の5つの保険制度のことを指します。

給与計算上では健康保険、介護保険、厚生年金保険の3つの「社会保険」と労災保険、雇用保険の「労働保険」とに分けられます。

ケガや失業などで給付を受ける際に対象になっている保険加入者のことを被保険者と言います。保険料を負担する人は保険の種類によって被保険者と事業主とで違いがあります。

保険料を負担している人や割合を下記に簡単にまとめてみました。

保険料の負担割合

【社会保険】

  • 健康保険
    被保険者と事業主で半額ずつ負担。
    規約によっては事業主の負担分が多いこともある。
  • 介護保険
    被保険者と事業主で半額ずつ負担。
  • 厚生年金保険
    被保険者と事業主で半額ずつ負担。
  • こども・子育て拠出金(※1)
    事業主が全額負担。

【労働保険】

  • 雇用保険
    被保険者と事業主が一定の割合で負担。
    被保険者より事業主の負担分が多い。
  • 労災保険(※2)
    事業主が全額負担。

※1:こども子育て拠出金は子育てを支援するための税金で、社会保険を納めるときに一緒に徴収されていますが、事業主が負担しているので給料から引かれることはありません。
※2:労災保険は労働中や通勤中にケガや病気になったときに給付される保険です。事業主の家族以外に従業員がいる会社は、加入義務があります。

給料から引かれる税金

給料から引かれる税金は所得税と住民税の2つです。

強制的に引かれる税金
  • 所得税(国税)
    今年の所得に対して課税される
    自分で税額を申告して納める申告納税方式
    所得が基準を超えると税率が高くなる超過累進課税方式
  • 住民税(地方税)
    前年の所得に対して課税される
    自治体が申告書等にもとづいて課税する賦課課税方式

厚生年金保険料の計算

厚生年金保険料について説明する前に、厚生年金保険制度を確認しておきましょう。

年金保険とは老後や障害、死亡のリスクに対して、本人や家族が生活できるように皆で支えていく制度のことです。

年金保険は大きく分けると、国が社会保障する「公的年金」と、個々で公的年金に上乗せする「私的年金」の2つがあります。日本国内に在住している20歳以上60歳未満の全ての人は、国民年金か厚生年金のどちらかの公的年金に加入しています。

年金 詳細
公的年金 国民年金 老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金、寡婦年金など
厚生年金 上記&老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金など
私的年金 確定給付企業年金、確定拠出年金、厚生年金基金、国民年金基金、個人年金保険など

厚生年金保険の適用を受ける企業で働く人が加入するのが厚生年金です。加入者は国民年金(基礎年金)と厚生年金の2つの制度に加入していることになります。

国民年金と厚生年金の違い

20歳から60歳までの全員が加入している公的年金ですが、本人や配偶者の働き方によって加入する年金に違いがあります。

国民年金と厚生年金は公的な保険制度という点では同じですが、いくつか異なるところがあるので、違いやシステムについて確認していきましょう。

公的年金制度と被保険者の種類

保険に加入している人を被保険者と言いますが、公的年金保険の被保険者は働き方によって次の3つに分けられます。

被保険者の種類
  • 第1号被保険者:自営業者、フリーター、無職、学生など
  • 第2号被保険者:民間企業の役員や従業員、公務員、私立学校の教職員
  • 第3号被保険者:第2号に扶養されている配偶者

第1号被保険者(自営業者や無職など)と第3号被保険者(会社員や公務員などの配偶者)は国民年金、第2号被保険者(会社員や公務員など)は厚生年金に加入しています。

公的年金制度の仕組み

年金保険の構造はよく2階建てや3階建ての建物に例えられます。

1階部分に相当する国民年金は、全員が共通して加入する部分で基礎年金とも呼ばれています。

2階に相当する厚生年金は、国民年金にプラスされる部分で、国民年金だけの人よりも充実した保障が受けられます。

厚生年金保険の支給
  • 老後の年金:所定の年齢に達すると支給される
    老齢基礎年金+老齢厚生年金
  • 障害の保障:病気やケガなど生活が制限されたときに支給される
    障害基礎年金+障害厚生年金
  • 死亡の保障:加入者が亡くなったときに生計を共にする家族に支給される
    遺族基礎年金+遺族厚生年金

国民年金と厚生年金の相違点は、基礎年金に厚生年金が上乗せされることだけではなく、納め方にも違いが見られます。

項目 第1号被保険者 第2号被保険者 第3号被保険者
年金保険の対象者 被保険者 被保険者と配偶者 第2号の扶養
保険料の負担割合 全額自己負担 労使折半※1 自己負担なし
保険料 16,590円(令和4年度) 4月~6月の給与月額により決定 配偶者加入の保険が負担

※1:労使折半とは事業主(企業)と被保険者(労働者)が半分ずつ負担することです。

令和4年度を例に第1号被保険者と第2号被保険者を比較してみると、例えば夫と扶養する妻がいる家庭の場合、夫の働き方によって2名分の年金保険額に違いがあります。

被保険者別による納付額の違い
  • 自営業者と扶養する配偶者の場合
    第1号被保険者と第1号被保険者・・・16,590円×2人分の33,180円を毎月納める
  • 会社員(月額報酬30万円)と扶養する配偶者の場合
    第2号被保険者と第3号被保険者・・・企業が半額負担するので54,900円÷2の27,450円を毎月納める

厚生年金は給与額によって保険料が異なります。本人分と扶養する配偶者の計2名分であっても金額による違いはなく、扶養する配偶者がいる場合は本人の基礎年金と厚生年金に加え扶養している配偶者の基礎年金の3つを賄っていることになります。

厚生年金はいくら払うのか

厚生年金保険料の基本
  • 毎年4月~6月の報酬平均額から標準報酬月額が決定する
  • 保険料は事業主と被保険者が半分ずつ負担する
  • その年の9月から翌8月までの1年間は同額を納める
  • 標準報酬月額の18.3%が保険料額になる

厚生年金保険料は、会社で計算してくれますが、どのように算出されるのか一目でわかるので一緒に見ていきましょう。

厚生年金保険料は毎年4月~6月までの報酬総額から平均額を算出して「標準報酬月額」が決定されます。標準報酬月額は1等級の8.8万円から32等級の65万円までの32区分に分類されます。

標準報酬月額を決めるための総額は基本給の他に通勤手当や役職手当なども含まれます。残業が恒常的に発生している場合はその賃金も加算しますが、臨時で支給されるお祝い金や出張旅行費などは除きます。

社会保険料の平均月額の計算

【会社員Aさん】

  • 4月:基本給22万円+能率給2万円+通勤手当0.5万円+残業手当1万円
  • 5月:基本給22万円+能率給2万円+通勤手当0.4万円+残業手当1万円
  • 6月:基本給22万円+能率給2万円+通勤手当0.6万円+残業手当3万円

(4月25.5万円+5月25.4万円+6月27.5万円)÷3か月≒26.1万円/月

3か月間の給与から計算した平均26.1万円が、1~32等級のどの区分に分類されるかを確認します。

自分の平均額がどの標準報酬月額に区分されるのかを日本年金機構の「厚生年金保険料額表」に照らし合わせて等級を確認します。

会社員Aさんの例では、3か月の報酬月額が26.1万円だったので、17等級の標準報酬月額26万円になります。この標準報酬月額は、後述する社会保険料の計算のときにも基準となります。

厚生年金保険料は等級を横に見ていくと、全額と折半額が表示されています。

Aさんを例に見ると、報酬月額の平均額範囲が17等級なので、全額「47,580.00」折半額「23,790.00」となります。厚生年金保険料が47,580円でその半額の23,790円を事業主と被保険者で折半するという意味です。

保険料は保険料率から次の計算で算出することもできます。

厚生年金保険料=標準報酬月額×厚生年金保険料率18.3%

厚生年金保険料率は平成29年9月まで段階的に引き上げられていましたが、現在は18.3%が続いています。

標準報酬月額26万円×保険料率18.3%=47,580円

先程の17等級の区分を横に見たときと同額の全額47,580円になりました。その半分は事業主が負担してくれるので、半額の2等分にすると折半額23,790円と同じ金額になりましたね。

厚生年金保険料の変更

標準報酬月額が決定したらその年の9月から翌8月まで使用し、18.3%を乗じた金額を1年間納めることになりますが、給与額が大きく変動したときには保険料が改定される可能性があります。

社会保険料が改定されるタイミングは次のどちらかの手続きをしたときです。

厚生年金保険料の改定
  1. 定時決定(算定基礎届)
    年に一度4月5月6月の賃金から標準報酬月額を決定し直す手続き
  2. 随時改定(月額変更基礎届)
    賃金が大幅に変わったときに定時決定を待たずに改定する手続き

雇用契約や給与形態の変更、昇給、降給など、標準報酬月額が大きく変更するときには、期間内であっても月額変更手続きが行われて保険料が変更されることがあります。

年の途中で標準報酬月額を変更する手続きを随時改定と言いますが、賃金が増減されたからといって必ずしも随時改定される訳ではありません。随時改定は次の3つの条件を全て満たしたときです。

随時改定される条件
  1. 固定的賃金が変動した
  2. 支払基礎日数が17日以上ある(※1)
  3. 変動前の標準報酬月額に2等級以上の差がある(※2)
    ※1:支払基礎日数とは月給制は暦日数、時給制は出勤日数のことです。
    ※2:短時間労働者は2等級以上でなくても随時改定の対象となることがあります。

給料が上がったまたは下がったからといって、すぐに保険料が変わる訳ではありません。随時改定により保険料が変わるタイミングは、給与額が大きく変動してから3か月間支給されたあとに変更されます。

例えば、11月に支給される給料から金額が大きく変動する場合、11月12月翌年1月の3か月間の給料を計算して、月額変更届を提出するので、実際に保険料が変更されるのは3月支給分の給料からになります。

賞与にかかる年金保険料

賞与やボーナスにも給料と同じように厚生年金保険料がかかります。

年4回以上支給されるボーナスは標準報酬月額に組み込まれますが、年3回以下のボーナスの場合は標準報酬月額に当てはめるのではなく、金額を1,000円未満を切り捨てて別枠で計算します。

ボーナスの保険料は保険料率を乗じて算出します。

ボーナスの厚生年金保険料=賞与額(千円未満切り捨て)×厚生年金保険料率18.3%

ボーナスに掛かる年金保険料により、将来受け取る年金額が増額されます。

健康保険料の計算

健康保険料について説明する前に、健康保険制度を確認しておきましょう。

健康保険は病気やケガ、出産、死亡などいざというときに備える医療保険制度です。具体的には、医療機関を利用したときに治療費の一部が軽減され、死亡時には保険金、出産時には出産育児一時金などが給付されます。

個人が任意で加入する民間の医療保険と区別するために、公的医療保険とも呼ばれています。

日本国内に在住している人は、何かしらの公的医療保険に加入しています。

健康保険 加入者例
全国健康保険協会(協会けんぽ) 中小企業に勤務する人と家族
組合管掌健康保険(組合健保) 大企業に勤務する人と家族
共済組合 公務員や私立学校の人と家族
国民健康保険 自営業者、農業を営む人、非正規労働者、無職
後期高齢者医療制度 75歳以上の高齢者

一般的に民間企業に勤めている会社員や条件を満たしているパートやアルバイトなどの協会けんぽや組合健保は「健康保険(社会保険)」、自営業者や年金受給者などは「国民健康保険」に加入しています。

健康保険(社会保険)と国民健康保険の違い

健康保険(社会保険)と国民健康保険とは公的な保険制度という点では同じですが、いくつか違うところがあります。

項目 健康保険 国民健康保険
運営 全国健康保険協会
企業が設立した健康保険組合
市区町村と都道府県
対象者 被保険者とその家族 被保険者
保険料の決定 4月~6月の給料の平均額 前年の1月~12月の所得+加入者数+年齢
家族が増えたときの保険料 同額 増額
保険料の負担割合 被保険者と事業主で負担 全額自己負担
給付制度
傷病手当 病気やケガで連続3日以上会社を休んだ時 給付なし※1
出産手当金 出産で仕事を休んだ時 給付なし※2

※1:新型コロナウイルス感染症による傷病手当は適用期間内の特定の人を対象に支給されます。
※2:出産手当は出産育児一時金(原則50万円支給)とは別の手当です。

国民健康保険は市区町村と都道府県が運営し、保険料は前年の1月~12月の所得や加入者数などによって計算されます。

健康保険(協会けんぽや組合健保)は全国健康保険協会や企業が設立した健康保険組合が運営し、保険料は4月~6月の給料の平均をもとに計算されます。

協会けんぽは都道府県ごとに保険料率が設定され、被保険者と事業主とで2分の1ずつ負担するのが原則ですが、組合健保の場合、規約によっては事業主の負担割合を増やすことも可能です。

国民健康保険は扶養する家族が増えると保険料も増えますが、健康保険は扶養する家族が増えても保険料に影響はありません。

健康保険料はいくら払うのか

健康保険料の基本
  • 毎年4月~6月の報酬平均額から標準報酬月額が決定する
  • 保険料は事業主と被保険者が半分ずつ負担する
  • その年の9月から翌8月までの1年間は同額を納める
  • 標準報酬月額に保険料率を乗じた金額が保険料になる

健康保険料は、事業主や企業が手続きする際に計算してくれますが、どのように算出されるのか一目でわかるので一緒に見ていきましょう。

社会保険料は毎年4月~6月までの報酬総額から平均額を算出して「標準報酬月額」が決定されます。標準報酬月額は1等級が5.8万円から50等級が139万円までの50区分に分類されます。

社会保険料の平均月額の計算

【会社員Bさん】

  • 4月:基本給20万円+通勤手当0.6万円+技能手当2万円+時間外手当2万円
  • 5月:基本給20万円+通勤手当0.4万円+技能手当2万円+時間外手当1万円
  • 6月:基本給20万円+通勤手当0.5万円+技能手当2万円+時間外手当1万円

(4月24.6万円+5月23.4万円+6月23.5万円)÷3か月≒23.8万円/月

3か月間の給与から計算した平均23.5万円が、1~50等級のどの区分に分類されるかを確認します。

会社員Bさんの例では、3か月の平均額が23.8万円だったので、19等級の標準報酬月額24万円になります。

  • 18等級:報酬月額21万円以上23万円未満の場合
    ⇒標準報酬月額22万円
  • 19等級:報酬月額23万円以上25万円未満の場合
    ⇒標準報酬月額24万円
  • 20等級:報酬月額25万円以上27万円未満の場合
    ⇒標準報酬月額26万円

協会けんぽの場合、各都道府県支部ごとに健康保険料率は異なり、全国健康保険協会(協会けんぽ)の「都道府県毎の保険料額表」で調べることができます。

私は普段、埼玉県の従業員の社会保険料を計算しているので、一例として埼玉県の令和4年度で、先程の会社員Bさんを見てみましょう。

Bさんの平均月額23.8万円が含まれる報酬月額は「23万円以上25万円未満」の欄なので、等級19の区分に該当します。ちなみに等級19の横の(16)は、厚生年金保険料の16等級を表しています。

19等級の欄を横に見ていくと、全額「23,304.0」折半額「11,652.0」と書いてあります。健康保険料が23,304円でその半額の11,652円が双方の負担額という意味です。

保険料は保険料率から次の計算で算出することもできます。

健康保険料=標準報酬月額×健康保険料率

令和4年の埼玉県は、介護保険第2号被保険者(40歳以上65歳未満の医療保険加入者)に該当しない場合、健康保険料率は9.71%です。

標準報酬月額24万円×保険料率9.71%=23,304円

先程の19等級の区分を横に見たときと同額の全額23,304円になりました。その半分は事業主が負担してくれるので、半額の2等分にすると折半額11,652円と同じ金額になりましたね。

4月~6月の給与平均額から標準報酬月額が決定し、9月から翌年の8月までこれに準じた健康保険料額が給与から引かれることになります。

パートの健康保険料

パートやアルバイトでも給料から健康保険料が引かれる場合があります。

一般的に、所定労働時間や所定労働日数が正社員と比べて4分の3以上あるパートやアルバイトの人は社会保険の加入対象になります。

例えば、正社員が1週間に40時間働く職場で週30時間以上のパート勤務、または正社員が1か月20日働く職場で15日以上出勤するケースが該当します。

2022年10月から社会保険の適用範囲が拡大され、4分の3基準を満たしていなくても次の条件の全てに当てはまる場合は社会保険の加入対象者になりました。

パートの社会保険加入条件
  1. 週の所定労働時間が20時間以上
  2. 2か月を超えて働くことが見込まれる
  3. 月額賃金が8.8万円以上(賞与や時間外労働などを除く)
  4. 学生ではない(定時制や休学中などを除く)
  5. 被保険者数の合計が100人を超える企業(短時間労働者を除く)
    ※2024年10月からは常時100人から50人へ改正されます

社会保険に加入している家族が扶養の範囲内で勤めていた人は、第3号被保険者となるので、自身で保険料を払うことなく国民健康保険に加入している状態です。

社会保険の加入条件に該当する場合は、親や配偶者から扶養が外れて個人で社会保険に加入することになります。

加入条件を満たしているのに社会保険に入らずに未加入なことが判明した場合は、2年間に遡って追徴され、翌月までに現金で納めるリスクが生じます。

社会保険の加入は義務付けられているので、入りたくない人は、労働時間や日数を調整して条件を超えないようにしましょう。社会保険の加入条件をクリアしなくても、年収130万円以上になると扶養から外れるので、自身で国民健康保険を支払うことになります。

これから働こうと考えている人は、家族の扶養の範囲内で働くか、扶養を外れて社会保険に加入するか、自己負担で国民健康保険と国民年金に加入するかなど、自分に合った働き方を見つけることが大切です。

健康保険料が途中で変更するケース

健康保険料は標準報酬月額が決定すると毎月同じ金額を納めていくことになりますが、次のようなときには途中で保険料が変更します。

保険料の変更
  • 年に一度4月~6月の賃金から標準報酬月額を決定し直すとき
  • 給与額が大幅に変わり定時決定を待たずに改定するとき
  • 都道府県の保険料率が改定されたとき
  • 保険料率の異なる都道府県へ転出したとき

定時決定(算定基礎届)と随時改定(月額変更基礎届)手続き

厚生年金の項目で詳しく説明しましたが、年に一度標準報酬月額を見直す「定時決定」か、標準報酬月額が大きく変更する「随時改定」のときに健康保険料が変更する可能性があります。

随時改定は具体的に次の3つの条件を全て満たしたときに標準報酬月額が変更されます。

月額変更届が出される目安
  1. 固定的賃金が変動した
  2. 支払基礎日数が17日以上ある(※1)
  3. 変動前の標準報酬月額に2等級以上の差がある(※2)
    ※1:支払基礎日数とは月給制は暦日数、時給制は出勤日数のことです。
    ※2:短時間労働者は2等級以上でなくても随時改定の対象となることがあります。

都道府県の保険料率が改定された

令和4年度の協会けんぽの保険料率は、47都道府県のうち、引き上げが29個、引き下げが18個と全ての地域が変更されました。

都道府県単位の保険料率が変更されると保険料も変わります。

異なる都道府県へ転出した

保険料率は都道府県ごとに違いがあるので、これまでと異なる都道府県へ転出した場合は、保険料が変更される可能性があります。

介護保険料の計算

介護保険料の基本
  • 40歳になる月から65歳になる前月までは第2号被保険者となり健康保険料と一緒に天引きされる
  • 第2号被保険者の保険料は事業主と被保険者が半分ずつ負担する
  • 標準報酬月額に保険料率1.64%を乗じた金額が保険料になる
  • 65歳以上は第1号被保険者となり年金から天引き

介護保険は介護を必要とする高齢者とその家族がサービスを受けられる制度で、40歳以上の人が加入しています。

会社員や公務員など厚生年金加入者の介護保険料の支払い方法は、40歳から64歳までと65歳以上とで異なります。

65歳以上は自動的に第1号被保険者となり、各自治体ごとに計算される基準額と本人や世帯の所得状況などから算出され、年金から天引きされます。

40歳から64歳までは第2号被保険者に該当し、介護保険料は加入している健康保険によって違いがあります。介護保険料は健康保険料と一緒に給料から天引きされます。

介護保険料はいくら払うのか

協会けんぽの場合は、介護保険料は健康保険料でも説明しましたが、全国健康保険協会(協会けんぽ)の「都道府県毎の保険料額表」で調べることができます。

「介護保険第2号被保険者に該当する場合」の欄を下に見ていくと該当する等級のラインと重なる枠が介護保険を含んだ健康保険料です。

ここで示された金額は健康保険料と介護保険料の合計金額で、保険料は事業主と被保険者が半分ずつ負担するので給料から引かれる金額は折半額の金額になります。

東京都を例に標準報酬月額24万円の19等級を見てみると13,740円となっています。介護保険に該当しない19等級を参考に見てみると11,772円が健康保険なので、差額の1,968円が介護保険料となります。

保険料は介護保険料率から計算することもできます。

介護保険料=標準報酬月額×介護保険料率1.64%

先程と同じ19等級の標準報酬月額24万円をこの公式に当てはまてみると、24万円×1.64%=3,936となり、この半分の1,968円が負担する介護保険料です。先程の表の時と同じ金額になりましたね。

細かい話になりますが、介護保険料が徴収される「40歳から64歳まで」の期間とは「40歳になる月から65歳になる前月まで」を指します。法律上、年齢に達したときとは『誕生日を迎える前日』とされているので、1日生まれの人は注意が必要です。

誕生日で押さえておきたいポイント
  • 4月1日生まれの人が40歳になる場合⇒前日は3月31日なので3月から徴収される
  • 4月2日生まれの人が40歳になる場合⇒前日は4月1日なので4月から徴収される
  • 4月1日生まれの人が65歳になる場合⇒前日は3月31日なので3月の前月の2月まで徴収される
  • 4月2日生まれの人が40歳になる場合⇒前日は4月1日なので4月の前月の3月まで徴収される

雇用保険料の計算

雇用保険料について説明する前に、雇用保険を含む労働保険の役割や加入条件について簡単に確認しておきましょう。

雇用保険は雇用安定を図る制度で、失業など雇用が継続できなくなったときに、生活の保護や再就職の促進を目的にしています。最近だと新型コロナの影響で休業した従業員に「雇用調整助成金」が支給されたのも、最初は雇用保険の加入者だけとされていましたね。

会社や事業主が全額負担している労働保険は、勤務中や通勤中の事故などで病気やケガしたときに本人や家族の保護を目的にしています。

労働保険に加入し一定の条件を満たすと、次の手当や給付金を受けることができます。

労働保険の補償
  • 基本手当
    失業手当と呼ばれるもので退職前の賃金の一定割合が3か月~1年程支給される
  • 技能習得手当
    公共職業訓練等を受講した場合に受講手当や通所手当が支給される
  • 傷病手当
    病気やケガで就労できない場合に賃金の一定割合が支給される
  • 再就職手当
    再就職した場合に一定の要件を満たすと支給される
  • 専門実践教育訓練
    受講費用の50%(上限40万円/年)が支給される
  • 育児休業給付
    育児休業中に原則として子が1歳になるまで賃金の67%または50%が支給される
  • 介護休業給付金
    家族の介護で休業した場合に最大93日まで賃金の67%が支給される・・・など

賃金の一定割合が給付される手当では、基本給の他に通勤手当や扶養手当など恒常的に発生する賃金が対象です。

雇用保険に加入するには次の2つの条件を満たす必要があります。

雇用保険の加入条件
  1. 最低31日以上雇用される見込みがある
  2. 労働時間が週20時間以上ある

正社員だけではなく、パートやアルバイト、日雇労働者なども条件をクリアした場合は雇用保険の加入対象になります。

雇用保険料はいくら払うのか

雇用保険料の基本
  • 業種によって3つの保険料率がある
  • 保険料は被保険者より事業主が多く負担している
  • 給与額の0.5~0.6%の保険料を納める

雇用保険料は雇用保険料率から計算します。

雇用保険料=所得額×雇用保険料率

保険料率は業種によって3種類があり、労働者と事業主でも負担割合に違いがあります。

保険料率は雇用保険の受給状況によって毎年見直されるのですが、令和4年10月より労働者と事業主の両方の負担率が0.2%ずつ増えました。

業種 労働者 事業主 合計
一般 5/1,000 8.5/1,000 13.5/1,000
農林水産・清酒製造 6/1,000 9.5/1,000 15.5/1,000
建設 6/1,000 10.5/1,000 16.5/1,000

各種手当や給付金、助成金などを多く利用する業種は保険料率が高くなるので、一般事業は低く、建設業は高い傾向があります。

雇用保険料は毎月の給与額に雇用保険料率を乗じた金額なので、通勤手当や残業手当など変動する人は毎月金額が異なります。通勤手当は課税非課税に関わらず全て賃金として含めて計算されます。

加入者が基本給20万円+非課税通勤費1万円+技能手当1万円+時間外手当2万円=24万円/月の場合

【一般事業Cさん】

  • 本人負担額:24万円×5/1,000=1,200円
  • 企業負担額:24万円×8.5/1,000=2,040円
  • 合計3,105円

【農業Dさん】

  • 本人負担額:24万円×6/1,000=1,440円
  • 企業負担額:24万円×9.5/1,000=2,280円
  • 合計3,720円

【建設業Eさん】

  • 本人負担額:24万円×6/1,000=1,440円
  • 企業負担額:24万円×10.5/1,000=2,520円
  • 合計3,960円

保険料で1円未満の端数が出た場合は、法律では50銭以下切り捨て、50銭超切り上げと定められていますが、慣習的な特約がある場合は会社が負担するケースもあります。

源泉徴収所得税の計算

給料から天引きされる税金は所得税と住民税の2つがありますが、この2つは似ている部分もありますが、それぞれ違う特徴があります。

大きな違いは、源泉所得税はこれから得る所得を予測して納めますが、個人住民税は前年の所得が確定したあとに徴収される点です。

税金の計算方法の前に、まずは源泉所得税額について所得税と源泉徴収を確認してみましょう。

所得税法では課税される所得の種類は10種類あります。

所得税の種類

利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得

1年間に生じた10種類の所得は、それぞれ異なる方法で金額と所得税等を計算し、毎年、税務署に確定申告書を提出する必要があります。

しかし、対象者全員が確定申告を行うと混雑や申告忘れなどが起こるので、給与所得は支払われる給料から事前に事業主が所得税分を差し引いて、納税義務者の代わりに代表で納税することで回避しています。

事前に一定額を差し引いて本人の代わりに納めるシステムを「源泉徴収制度」と言い、事業主は従業員から給与や賞与、退職金を源泉徴収する義務があります。

源泉徴収は一定税率で税額を差し引くので、最終的に確定された年間の所得と毎月引かれている源泉所得税とで誤差が生まれます。そこで源泉徴収した金額と確定した税金額の過不足分を、年末調整で精算しています。

源泉徴収所得税はいくら払うのか

源泉所得税額の基本
  • 源泉所得税は賃金と扶養親族の数で税額が決まる
  • 計算のベースになる賃金は月給から社会保険料等を引いた額
  • 源泉所得税の他に復興特別所得税も徴収される

源泉所得税は金額や扶養家族の人数で算出されます。給与所得は月払いなのか日払いなのかによっても違いがあります。

国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表(令和4年分)」を参照すると一目でわかるので一緒に見ていきましょう。

源泉徴収税額表は給与所得(月額表)と(日額表)、賞与、退職所得があります。

給与所得の源泉所得税は「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が基準になるので、月ごとに給与額が違う場合は徴収される税額にも違いが出ます。

税金の対象となる給与額の範囲は、支給額から下記の保険料を控除した金額です。

控除される保険料

健康保険料、介護保険料、厚生年金保険、厚生年金基金、雇用保険料・・・など

例えば次のような給与額から源泉所得税を計算するとしましょう。

会社員Fさん:扶養親族等の数1人(税額表甲欄)

支給 控除
基本給 180,000 健康保険 9,710
残業手当 16,000 厚生年金保険 18,300
非課税通勤費 6,000 雇用保険 620
課税通勤費 4,000 住民税 8,000
課税対象額 200,000 控除合計額 28,630
総支給額 206,000 差引支給額 171,370
  • 課税支給合計:180,000+16,000+4,000=200,000
    非課税通勤費は計算対象から除外する
  • 社会保険料計:9,710+18,300+620=28,630
    社会保険料と労働保険料は控除対象ですが住民税は含まれません
  • 控除後の金額:200,000-28,630=171,370

月額表を参照に控除後の金額を「その月の社会保険料等控除後の給与」に当てはめます。

Fさんを例に見ると、保険料等を控除した後の171,370円が含まれる行の「171,000以上173,000未満」と、「甲欄の扶養親族等の数1人」が交わるところ2,140円が源泉所得税の金額になります。扶養親族がいない場合は0人の欄3,770円となります。

源泉所得税での扶養親族は、合計所得95万円(給与収入150万円)以下の配偶者と生活を共にする合計所得48万円以下の16歳以上の親族のことを指し、扶養する人数が増えるほど徴収額は減少します。

多くの人は甲欄のいずれかに該当しますが、2か所から給与を貰っていて、もう一方の会社で「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人は乙欄の金額が適用されます。

日額や時給計算で使用する日額表では、甲乙以外に2か月を超えて雇用されることがない場合に適用される丙欄があります。

個人住民税の計算

住民税の計算方法について説明する前に住民税はどのようなものなのかを確認しましょう。

住民税とは都道府県や市区町村の行政サービスを利用するための費用をその地域に住む人たちで負担する地方税のことです。住民税が充てられる行政サービスには、教育や福祉、上下水道、ごみ処理、環境保全などがあります。

その年の1月1日時点に住所がある市区町村で住民税が課税されるのですが、課税所得が一定金額以下の人は免除されます。

住民税は都道府県民税と市区町村民税の2つから成り立っていて、自治体によって標準税率に違いがあります。

基本的に入社2年目になると、前年所得をもとに算出された住民税が6月~翌年5月まで給与から天引きされます。自治体が1月~12月分の所得から割り出した住民税の金額は、毎年6月頃に送られてくる納税通知書で確認することができます。

住民税はいくら払うのか

個人住民額の基本
  • 住民税は前年1月~12月の所得で税額が決まる
  • 6月~翌5月までの12等分された金額が給料から引かれる
  • 道府県民税(都民税)と市町村民税(区民税)を合わせて住民税と言う
  • 負担額は所得金額に応じた所得割と全員定額な均等割の2つの合計
  • 住民税は

住民税は前年1月から12月までの所得に応じて決まる所得割と、所得金額に関わらず均等に負担する均等割の2つから成り立っています。

内訳 道府県民税(都民税) 市町村民税(区民税)
所得割 4% 6%
合計10%
均等割 1,500円 3,500円
合計5,000円

所得割の標準税率を採用している自治体の税率は上記の通りですが、条例によっては税率を変えることができるので、全国一律ではありません。

均等割の標準税率を採用している自治体は、道府県民税(都民税)1,500円、市町村民税(区民税)3,500円の合計5,000円になります。均等割も自治体によっては条例で過課税を採用しているところがあるので、住んでいる地域によっては税額がこれよりも高くなります。

差がある住民税の例
  • 政令指定都市:道府県民税2%・市町村民税8%
  • 横浜市:県民税2.025%・市民税8%/県民税1,800円・市民税4,400円
  • 綾瀬市:県民税4.025%・市民税6%/県民税1,800円・市民税3,500円
  • 名古屋市:県民税7.7%・市民税2%/県民税2,000円・市民税3,300円
  • 福島県:県民税2,500円・市町村民税3,500円・・・など

住民税の課税の仕組みは、国や地方公共団体が確定申告書や給与支払報告書などから税額を計算し納税者に通知する「賦課課税(ふかかぜい)方式」なので、正確な計算は税理士などの専門家でなければ難しいです。

所得割額

正確な住民税の金額は納税通知書を見るのが確実ですが、簡単に所得割の計算方法について説明します。

所得割額=(所得金額-給与所得控除額)×税率10%-所得控除額

税率10%は多くの自治体が採用している道府県民税(都民税)率と市町村民税(区民税)率を合わせた標準税率の数字です。お住まいの地域によっては税率が異なることがあります。

給与所得控除は自営業者の経費のようなもので、給与所得を得ているサラリーマンが認められている必要経費と考えるとわかりやすいかもしれませんね。

給与所得控除額の算出方法(速算表)

給与の収入金額 控除額
162.5万円以下 55万円
162.5万円超180万円以下 収入金額×40%-10万円
180万円超360万円以下 収入金額×30%+8万円
360万円超660万円以下 収入金額×20%+44万円
660万円超850万円以下 収入金額×10%+110万円
850万円超 195万円

給与所得控除額を引いた金額に税率10%を乗じます。

さらに該当する所得控除がある場合は控除します。

住民税の控除の種類

基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除、医療費控除、社会保険料控除、医療費控除、寄付金控除、寡婦(寡夫)控除、生命保険料控除、住宅ローン控除など

基礎控除は所得額2,400万円以下の人は一律43万円が適用されます。

個人住民税の基礎控除

合計所得金額 控除額
2,400万円以下 43万円
2,400万円超2,450万円以下 29万円
2,450万円超2,500万円以下 15万円
2,500万円超 0円

所得割は給与所得だけではなく不動産所得や雑所得などの所得金額も課税されるので、自治体から送られてくる納税通知書で課税所得金額を確認しましょう。

その他の項目

会社が従業員の資産を支援するシステムを利用している人は、給与から毎月一定額を天引きされて自動的に貯蓄されています。

給与から先取される貯蓄等
  • 財形貯蓄
  • 確定拠出年金(企業型)
  • 退職積立金
  • 旅行積立金・・・など